労働基準法一部改正

埼玉労働局労働基準部監督課

今般、労働基準法の一部が改正公布(7月4日)されました。施行日はまだ決まっていませんが16年1月1日となる予定です。
今回の改正について、衆参議院で計19本の「付帯決議」がありました。最大の焦点となった「解雇」(下記2(1))については、両院とも「解雇ルールの策定については、最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理とこれに基づく民事裁判実務の通例に則して作成されたものについて使用者側に立証責任を負わせている裁判上の実務を変更するものではないとの立法者の意思及び本法の精神の周知徹底に努めること」と決議しています。また参議院では、上記に加え「使用者に対し、東洋酸素事件(東京高裁昭和54年10月29日判決)等整理解雇四要件に関するものを含む裁判例の内容の周知を図ること」と決議しています。
☆改正法の概要

  1. 有期労働契約(法第14条)
    (1)有期労働契約の期間の上限(第1項)
    ア原則3年(現行1年)
    イ高度で専門的な知識等を有する者及び満60歳以上の者は5年
    (2)「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準」を定め、当該基準に基づき労働基準監督署が必要な助言及び指導を行なう(第2,3項)。
    (3)有期労働契約に関する暫定措置
    有期契約労働者は、一定の場合を除き(注)、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、いつでも退職することができる。(施行3年経過後の検討に基づく必要な措置が講じられるまでの暫定措置)
    (注)暫定措置が適用されない場合は
    1一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約の場合
    2前記1(1)イの場合
  2. 労働契約の終了
    (1)解雇(法第18条の2)
    「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
    (2)解雇理由の明示(法第22条第2項)
    解雇を予告された労働者は、解雇前においても、使用者に対し、当該解雇の理由について証明書を請求することができる。
    (3)就業規則(法第89条第3号)就業規則の必要記載事項に「解雇の事由」を含める。
  3. 裁量労働制について
    1専門業務型裁量労働制(法第38条の3)
    労使協定により健康・福祉確保措置及び苦情処理の導入を要することとする。
    2企画業務型裁量労働制(法第38条の4)
    ア事業場要件の廃止
    「事業運営上重要な決定が行なわれる事業場において」の文言を削除し「指針」(大臣告示)において、対象業務の明確化を図る。
    イ導入、運用等に係る手続について、労使委員会の決議の全員合意要件の緩和など、簡素化する。
  4. 施行期日
    公布の日から起算して6か月を超えない範囲内において政令で定める日

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