------7月29日(土)------

10時に緑荘をチェックアウトし朝食(練乳パン、ベーコンポテトパン、アイスティー)。今日はまず予定通りに福岡アジア美術館(HP)に向かう。企画展は「古代アンデス・シパン王墓の奇跡、黄金王国モチェ発掘展」なるものであったが、正直「アジア美術じゃないじゃん」と思う。しかも1100円もする。興味深いものだったけど、美術館のポリシーを感じない企画展なので観てやらない。だってアンデスって南アメリカじゃん。多分他のところであれば観たと思う。詳しくはアジア美術館のHPを。福岡アジア美術館は、つい数年前に建てられた新しい美術館である。基本理念は、「古代からアジア文化の窓口であった地理的、文化的な特質をふまえ、アジアの交流拠点都市として云々」ということらしい。とりあえず僕たちは常設展の方を観ることにする。僕たちが観に行った期間の展示は、「アジアの現代美術2」と「インドのフォークアート」からなっていた。入場料は一人200円、写真撮影も可能(もちろんフラッシュはダメ)。撮影可能の美術館には懐の大きさを感じる。著作権以外の問題もいろいろあるんだろうけど、どこの美術館でも写真撮影は認めてもいいんじゃないだろうか?ケチ臭いこと言わないで。

(これはアジアの現代美術。名前は忘れた。)

(草原に佇む青年。こんな事だって出来ます。)

(これはインドのフォークアート。けっこう好きかも。)

昼食は、アジ美の入っているビルでパスタ。三食ランチ(ミートソース&クリームソースのスパ、イカと野菜のフライ)とビール。パスタは普通の味。給食のお皿みたいなのに乗せられて運ばれてきたけど、盛りつけも味気なく情けない。西山は安いランチをたのんでいたけど、その安さ以外に書くべき事は何もない。 本屋で文庫本を購入し、ウエンディーズでコーラを飲みながら本を読む。そこで買った本は、村上春樹の「雨天炎天」なるギリシャ・トルコ紀行。旅先で旅行記を読むというのはなんとも不思議なものだった。ラーメン屋に行ってざるそばを頼むとか、タマネギを刻みながら鼻血を出すとか、そんな感じ。やはり旅行記というものは、家で読んで「行きてー」というのが正しい読み方じゃないかと思う。あっちで読んでる間は全然思わなかったけど、こっちで読んでみるとやっぱり「行きてー」と思うから。

夕食はラーメン。名古屋のみそかつのように、福岡に来たらとんこつラーメンでしょう。西山が「あそこは面白い」というラーメン屋「一蘭」へ。ここはチェーン店になっていて、歩いていると結構そこかしこで見かけたのだけど、飯時になるとどこでも行列が出来ていた。食券を買い中に入ると何ともおかしな店の作り。「吉牛」のようなU字型のカウンターになっていて、一人一人の席が投票所のような木のついたてで仕切られている。イスに座ると、目の前は赤いのれんがかかっていて、調理場の様子も覗かなければ見ることが出来ない。何でも、「人に見られるのを気にせず満足ゆくまでラーメンを味わって欲しい」という願いがあるかららしい。テーブルには黄色い紙と鉛筆が置いてあり、麺(かたい・普通・やわらかい)というふうに麺のかたさやスープの味など自分好みのラーメンにカスタマイズできるようになっている。味はというと、とんこつスープがけっこういける。福岡では二つの店でラーメンを食べたけど、こっちの麺は細麺が主流のようである。西山の言うとおり、確かに面白いラーメン屋だった。

(なんとこのラーメン屋はホームページをもっている。アドレスはこちら。写真はちょっとわかりづらいかな?→)


食事を終え、「親不孝通り」(歌舞伎町みたいな所。規模はそれ程大きくないが、俗称であるこっちの方が一般的に使われているようだ。福島市で言えば「オカマ通り」、それよりは全然大きいけど。)近くの宿泊先であるビジネスホテルへ。一泊シングルで4700円。新しく建てられたホテルのようでキレイで清潔。部屋の鍵はカードキー、ユニットバスのトイレはウオッシュレット!。昨日の「緑荘」とのギャップはものすごいものがあるなぁとしみじみとする。ビールを飲みつつ日記を書いて12時前には就寝。


------7月30日(日)------

ホテルを10時にチェックアウトし朝食を吉牛で。何も福岡に来てまで吉牛で食べることもないのにと思いつつ牛鮭定食を食べる。吉牛の鮭ってやわらかいし塩味も適当でおいしくないですか?西山と合流してバスで博多駅へ。

とりあえず今日の宿泊先のホテルに荷物を置き、地下街をぶらぶらとする。お茶でもしようかという事になり、西山ママも認める喫茶店「ばん」へ。僕は創作冷製珈琲、西山はパールミルクコーヒー。簡単に言えばアイスコーヒーとタピオカ入りアイスカフェオレのことです。パールミルクコーヒーの方はタピオカを真珠に見立てているのだろうけど、それをストローで吸い込むようになってるから以上にストローが太い!ストローというよりホースといった方が適当ではないのか?というほどの太さ。厨房ではとぐろ状のホースとはさみが置いてあったりして・・・。アイスコーヒーは少し甘みが加えられていたけど、控えめでなかなか美味しかった。

(創作冷製珈琲)
(ストロー太い)

少し歩いて時間をつぶしデパート内のレストラン「洋食 浅草軒」で昼食。チーズ入りトマトソースのロールキャベツとエビのトマトクリームオムライス。ロールキャベツが美味しかった。今度自分でも作ってみよう。ちなみにここのウエイトレスの制服は、レトロな可愛さでなかなかそそるものがありました。

ここ何日か歩き通しで足も疲れていたので、今日は早めにホテルにチェックインし読書をすることにする。途中の本屋さんで雑誌「BE−PAL」を購入する。海に潜ってみたくなる。ダイビングとまではいわなくても、シュノーケリングだけでも十分面白そうだ。福島の海はキレイじゃないから、潜るのにはあんまり適していない気がするけど。

ホテルの部屋で本を読んでのんびりとする。西山は横で昼寝をしている。これよこれ。帰ってきてから「福岡でどこ見てきたの? 太宰府?」とか聞かれたけど、はっきり言ってどこにも行ってない。僕はこういう時間の過ごし方が好きなんだなぁと思う。あとには何も残らないかも知れないけど、こういう旅行の仕方があってもいいんじゃないかしら。
外も次第に暗くなってきたし、お腹もすいてきたという事で夕食をとりに外出する。今日はずっと「無性に肉が食いたいデー」だったので、夕食は焼鳥屋で生ビールを片手にいろんな肉を食べる。焼鳥屋というよりは串焼き屋という雰囲気で、とり、ぶた、うしの肉を心ゆくまで堪能する。それにしても生ビールは美味い。ビバ!夏の生ビール!なんかすごく気持ちよくなっちゃって、すこし酔っぱらってしまいました。生ビールは最高ですね。 ホテルに帰ると西山ママから電話があり、あせる西山。どうも連絡にいき違いがあったらしくて、かなりやばい事態になる。今日の所はとりあえずぶっちぎってF1を見ながら眠りにつく。バリチェロ初優勝おめでとう。


------7月31日(月)------

福岡滞在も今日が最後、東京行きの高速バスは夜7時に出発の予定。振り返ってみると福岡の4日間はあっという間だった。昼の10時から夜までずっと出ずっぱりだったから、一日一日は長く感じられたんだけど、やっぱりそういうものですよね。今度僕が福岡に来るのはきっと冬ぐらいになるんだろうな。西山のいうとおり福岡の冬は暖かいのだろうか?
ホテルをチェックアウトし朝食(クロックムッシュサンド、ミネストローネ)。パンは冷めていて美味しくない、店員の女の子は愛想が悪いダメパン屋。おとといのパン屋と同じチェーン店なんだけど、場所によってずいぶんと違うんだなぁ。
バスセンターのコインロッカーに荷物を置いて、天神駅周辺の大名をぶらぶら。大名は、基本的な街の作りとしては若者向けのお店やカフェなどがあるのだけど、昔ながらの灯籠屋や古本屋なんかもあったりしてけっこう面白い街だ。大名で一番インパクトのあったお店は、西山に連れられていった「悪徳屋」というお店。昭和やそれ以前の時代のタンスなどの家具類、鞄や帽子なのど小物類、薬局にでも置かれたのだろうか謎の男の子の胸像、などなど所狭しといろいろなものが無造作に置かれている。店内は暗く、古ぼけた扇風機がカラカラと音をたてている。いいなぁ、こんなお店。江戸川乱歩的時代感がなんともいえず。店の奥には店の主人が座っているんだけど、白のランニングシャツ(決してタンクトップとは言うまい)にカーキ色した旧日本軍風の短パン、そして黒縁のメガネ。ここまで徹底してると嬉しくなっちゃいますね。20代〜30代と見受けられる顔に、日焼けしたがっちりとした体をしてるだけに、そのカッコにはかなりの違和感があったけど。それはそれはものすごぉく。それがかろうじて僕を現代に押し止めたけど、歳をとってやせこけた体の店主であったならば、僕の時間軸はぐらぐらに混乱しただろうと思われる。また来ようこのお店。
デザートを食べる。イチゴとブルーベリーのミルフィーユ、エスプレッソのグラエータ。ミルフィーユはサクサクのパイにカスタードクリーム、そしてブルーベリーのソース、傍らには小イチゴとブルーベーリーが添えられている。カスタードはとろけるようにやわらかさで、そのほのかな甘さとイチゴとブルーベリーのさわやかな酸味が絶妙なバランス。すごく美味しい。グラエータは、さくさくコーヒーシャーベットの上にバニラアイス、そしてそこにココアパウダー。これまたバニラのひかえめな甘さとコーヒーシャーベットのさっぱりとした苦みの完璧なバランス・・・。ここのデザートは大当たりだった。ここもまた来よう。

(激美味のミルフィーユ、最高)

(これは一風堂の赤丸ラーメン)
昼食は「一風堂」というラーメン屋で食べる。ここも食事時になると行列の出来るお店らしい。僕は辛みその入ったとんこつラーメン「赤丸」、西山はオーソドックスなとんこつ「白丸」を注文する。さすがに行列ができるだけあって美味しかった。「一蘭」とこっちだったら、僕はこっちのラーメン屋をおすすめします。「一蘭」は面白いスタイルだけど一回でいいやという気がします。「一蘭」はクラシック、「一風堂」はジャズが流れていました。なんか変ですよねぇ、ラジオとか有線じゃないこっちのラーメン屋は。

「ずいぶん前から気になっているお店」という喫茶店へ。どうも一人では入りづらいらしい。おしゃれだとか堅いとかではなく、「怪しい」(「妖しい」でもいいかも)雰囲気であるからという事だが・・・。・・・確かに・・・。およそ外からでは喫茶店とは思えない。「フッコ」って・・・。意を決して店内にはいると、部屋の手前ではコーヒー豆の販売、奥が喫茶室という店の作り。カウンターの奥には中島らもに似たちょっとダサめのヒゲの若おやじ。確かに一人では抵抗があるかも・・・。席はカウンターのみで7席ぐらい。一番奥にはピクリとも動かず物思いに耽る少年が。まぁとにかくカウンターに座り、僕はアイスオレ、西山はハチミツ入りコーヒーを注文する。カウンターのすぐ向こうでコーヒーを作っているのが見える。見ているだけでも楽しい。鼻歌まじりの中島らもなんだから更に楽しい。味の方はシンプルで素朴な味で、すっとした美味しさ。「らも、やるな・・・」という感じ。らもの「コーヒーが好き」という気持ちが伝わってくるようだ。「悪徳屋」もそうだけど、そういう店主の「顔」(あるいは「気持ち」)が見えるお店というものはすごくいいお店だと思います。

(←なんともいえない店構え)


フッコを出てお土産を買いにデパートへ。いろいろ歩いたのだが、生ものはヤバイかもという事で乾物にする。福岡と言えば明太子だということで、乾物への妥協の産物「明太子せんべい」を2箱購入。えびせんべいだっけ?あの平べったい薄い円形のせんべい、マヨネーズ付けたりして食べるやつ。あんな感じのせんべいです。お土産も買ったし、後はバスセンターに向かうだけ。19時発で東京の新宿には翌朝の7時に到着の予定。その間食事は出ないので(厳密に言えば変なパンとお茶が出た)、バスに乗る前に食事をとる。デパート内のお好み焼き屋。ソースかかりすぎでしょっぱいけどボリュームがあって美味い。
いよいよバスの出発の時間も近づいてきて、西山ともまたしばらくのお別れ。何度目だろう?今年の3月に西山が福岡に帰ったとき、6月に西山が福島に来たとき、そして今回は3度目だ。少しは慣れたといえやはり別れは寂しいものだ。それでも悲しい時こそ笑顔でさよならだ。今度は11月に西山がこっちに来るって言ってるし、3ヶ月の辛抱(長いけど仕方ない)。福岡でいろんな所に行ったのは楽しかったし、また会えるよすぐ。それじゃぁまたね!

バスに乗り一人になって、夜の高速道の過ぎていくオレンジ色の街灯を見るともなく眺める。いろんな考えが頭の中をめぐっては過ぎ去っていく。考えは四散し、なかなか眠ることができない。やはり寂しい。そしてしばらくの空白の時間を費やし、いつの間にか僕は眠りについていた。


------8月1日(火)------

6時半に諏訪湖パーキングエリアに到着。朝日の降り注ぐ湖がキレイだ。 9時新宿駅到着。クラミツ氏と合流し一路福島へと向かう。途中覆面パトに捕まるも無罪放免。いい人。 黒磯駅で知人のグループ展を見る。山内とそこで合流。3人で二本松へ。


------追記 福岡への旅を終えて(8/31)------

時期的には西山が6月に来て帰ってから2ヶ月ぶりに彼女に会いに行ったわけだが、教採の2日目終了後即出発という強行スケジュールであった。金銭的にもお互いの時間的にも1週間が限度だったんだけど、正直言えばもっと長く滞在したいというのが本当のところだった。まぁこれは仕方ないけど、僕はあくまで旅行者なわけだし、宿泊費もバカにならないから。実際に西山と一緒にいれたのは4日間だけだったけど、僕には充分満足のいく旅行だったと思う。特に「どこに行った何をした」というわけではないけど、いっしょにいれただけで楽しいものだったし。しかしあのミルフィーユは美味かったな・・・。
9・10月は西山の方が忙しいようで、残念だけどまぁ僕も控えようということで次回は11月。福岡から帰ってきてからもう一ヶ月が経ち、あと2ヶ月の我慢になった。今度はあっちがこっちに来ると言うことで、僕の菊大使の姿も見れるんじゃないかと思っている。日本縦断旅行計画も少しずつ練ろうかな。下通って福岡まで車で行けるのかな?2日みとけば大丈夫だよね、車の方が心配だけど・・・。そして福岡から福島の途中でいろんな所(広島・大阪・名古屋・・・・)へ滞在すると。それとはまた別に、菊大使の賞品として貰える旅行資金で2人でまた海外にも行けるし、かなり旅行充実しそうな予感。菊大使の旅費でどこ行こう?またバリに行くのもいいけど、タイとか台湾とかも行ってみたいなぁ。なんか膨らみますね。
毎回のことだけれど今回もまた「もっと写真撮ってくればよかった」と思う結果になった。36枚撮りで5本しか撮ってこなかった。西山の写真も少ないし。今回の福岡日記に関しても言えるけど、文章に見合った分の写真を撮ってこないとな。最後の方なんてめんどくさくて記録的な写真をあんまり撮らなかったし。まぁこれはまた次回という事で。次回はいつだろう?多分、今度福岡に行くのは1月になると思う。

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