-+-+-2006 青森日記-+-+-
------2006 青森日記------



------8月6日(日) 青森晴れ------
(01:50郡山-02:50菅生-04:00平泉-04:40紫波 06:30紫波-07:30花輪-08:10大鰐弘前)

 日記に書いていた、青森県でやっている奈良美智の「AtoZ」を観に行く事にする。青森という場所の事もあって、夏休みにしか行けないだろうと思っていた。十月まで会期は続くようだけど、この熱が冷めてしまっては400km以上の距離を運転する事はきっとできないだろうから。一昨日東京の二拍三日の研修から帰ってきたばかりで、その前は一拍二日で部活合宿をしてきたことを考えると、結構無茶とも言えるけれど、今を逃したらきっと行けなかったはず。身体の疲労は回復してないけれど精神的には今しかなかった。


 行くとなれば早い内にということで、日曜日の深夜に家を出る。運転が疲れたらどこかで少し寝て(バルケッタと違い、今の車は後部座席の二列三列をフラットにする事が出来る)いけば、明日の朝には着くだろう。今回の旅では高速を使う事にする。片道9千円弱と結構な金額だけれど、無駄に時間と労力の消費は避けたかった。時間を金で買うとはこういうことなんだろうと思う。

 何度かパーキングエリアでトイレに行ったりストレッチをしたりして青森へ向かう。青森まで行くのに一つしか観ないのは物足りないので、まず初めに最近(今月?)開館したばかりの青森県立美術館に行く。青森県にはこれまで県立の美術館は無かったのだろうか?だとしたらそれは凄い事だ。途中、事故で通行止め区間があり、その直前で仮眠をとる。足を伸ばせるって素晴らしい。県立美術館のある青森ICまで高速で行くつもりが、ガソリンが足りなくなり止むなく大鰐弘前で高速を降りる。AtoZはここからすぐ近くでやってるのだけど、まだ開くまでは時間があり、当初の予定通り県立美術館へ。県美はあの有名な三内丸山遺跡のすぐ隣にある。へー、三内丸山遺跡って青森県なんだー。しかし冬厳しいこの土地に、4千年以上昔から人が住んでいたんだなーと思う。

 ガソリンを入れたり道に迷いながらも約一時間ほどで到着。十時前というのに結構駐車場には車が入っている。駐車場はかなり広く交通整理の人達もいる。開館したばかりとは言え、美術館にそれだけの人が来るとは嬉しい。明日までねぶた祭りがありそれも恐らく関係しているのだろうけど。美術館は白い直線的な建物で青い空にすごく映える。中も白で統一されていて、コインロッカーやトイレ(僕はこの手の建物でトイレをチェックせずにはいられない)のデザインも綺麗。館内は写真撮影禁止都の事でそれ以外は写真を撮る事は出来なかったけれど、エレベーターのボタンなどのアイコン類やいろんな場所で見られるタイポグラフィーにも気が配られている。使われているパソコンはiMac。そう内装の所々で感じられるのはアップル的なデザイン。ここにはmacbookもピタリとハマルだろうと思う。カタログによると菊地敦己というアートディレクターが関わっているらしい。


(青森県立美術館遠景)

(青森県立美術館近景)

(コインロッカー)

(男子トイレ)

(トイレの手洗い)
 オープニングとしてシャガールの企画が行われていたが、そちらには全く興味無く、建物と常設展だけを観る。常設展は青森出身者の作品から構成されていて、棟方志功やら奈良美智やらの作品が展示されていた。結構ボリュームがあって見応えありました。ウルトラマンの怪獣デザインの原画もあったりして楽しかった。アツシとか好きそうだなと思った。
 ミュージアムショップを覗いたり、館内の他の施設を覗いたりして会場の外に出る。すると会場の外にはチケットを買うための行列ができていた。美術館で行列?福島では考えられない光景だと少し寂しくなった。十年後二十年後どうなっているだろうとも思った。


 さて次なる目的地弘前市内へ。AtoZが行われている会場は美術館ではなく、吉井酒造煉瓦倉庫である。駐車場が無く、webで確認したところ歩いて15分の所にイトーヨーカドーがあって、そこでチケットを買えば駐車料金が三時間無料になるらしい。イトーヨーカドーに止めてチケットを買う。小さなショップも併設してあって、ヨーカドーの店員らしき人が対応してくれた。弘前市内を歩くと分かる事だけれど、至る所にポスターが貼ってあったり、AtoZ自体たくさんのボランティアの人達が関わっていたりと、地元の人達みんなが支えてえる展覧会だというのが伝わってくる。
イトーヨーカドーは駅前通りにあって、歩道にはまだ昼だというのにねぶたの場所取りのイスやガムテープが貼ってある。きっと一年で一番人が多い時期にわざわざ来てしまったのだ。仕方ない、巡り合わせだ。と言うもののねぶたには全く興味が無いので、暗くなって人が集まる前に帰ろうと思う。昼食は会場に行く途中にあったカフェで食べる。僕はチキンガーリックライスでユウコさんはスパゲッティ。美味しく食べる。


(イトーヨーカドー店内)

(ガーリックライス)

(スパゲッティ)
 炎天下の下15分ほどで会場到着。この建物は大正時代に建てられたらしく、名前のとおりレンガ造りの建物だ。こういう建物で展覧会をやるというのが良い。中に入ると中は広い。grafが建てた小屋の中に奈良美智の作品が飾られている。小屋はAからZまでアルファベットがふられていて、奈良美智の作品だけでなく、彼と交流のある作家の作品が展示されている小屋もある。観に来ていた人達は絵や立体の作品ばかりに目がいっているようだったけれど、grafの建物も良かった。よくぞこれだけの小屋を造ったと感心した。小屋を巡りながら作品を観ていく。一つ一つの小屋に工夫が凝らされていて楽しい。階段があったりのぞき穴があったり。子ども連れも割と多く観に来ていたけど、子どもたちにとっても楽しい展覧会だろうなと思う。一大アミューズメント施設と言っても過言ではない。探検心をくすぐられるし建物や作品自体にも遊び心がある。時間と労力とお金をかけてわざわざここまで来た甲斐があった。入場料は一般千円。内容に対して安すぎると感じる展覧会はそうそう無いけれど、この展覧会はその筆頭にあげても良い。それ程良かった。奈良美智が好きなら迷わず行くべし。「好きじゃないけど嫌いでもない」「木工大好き」だったら行って損しない展覧会です。もし僕が青森に住んでいたら、一回観た今でもまた観たいと思う展覧会だった。あー、来て良かった。

(正面外観)

(外観その2)

(乗っても撮っても良い作品があった)
 学校用に三沢厚彦の図録を買って会場をあとにする。しかし、ねぶたの時期に青森に来て観ないで帰ったり、美術館来て企画展観なかったり、個展で別な作家の図録を買ったりと少しずれているかもしれないとも思う。でもいいの。長いものには巻かれろ的思考・行動は嫌いだから。
 予定通り暗くなる前に弘前を出発。帰りも高速を使う。明るいうちにできるだけ距離を稼ごうとガンガン南下する。しかしさすがに午前二時出発での六時間運転の疲れもあり肩が張る、首も痛い。俺は長距離運転のトラック野郎にはなれないな。これで下使って長距離運転なんてとてもじゃないができやしない。長距離運転は過酷な労働ですよしかし。帰る途中も何度か休憩をしたり仮眠をとったりして帰ってくる。夕食をすませ家に着いたのは夜の十時。結局日帰りで青森まで行ってきた事になる。往復1000km。郡山から広島県まで行った事になる。頑張ったなあ俺・・・。

(15:40大鰐弘前-17:00矢巾-18:20長者原-20:00松川 21:20松川-21:40郡山)

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