<お話>
晴れやかな青空。
はじめての町、はじめての空気の中で、失恋を忘れようとする直哉。その町での新しい出逢い…そして、恋が始まる。
彼女達の心に触れていく中、もう一つの出逢いと物語が綴られていく。それを包むのはユラユラと波打つ碧の空。すべてを蒼に染める光の下、少女達は唄っていた。
それは哀しみの歌、それは命の歌、それは愛の歌…。
誰かの痛みを知り、新しい痛みで和らげる事…それは確かに強い繋がりだった。恋を知って、心と体を触れ合わせる幸せ…それがどこまで続くのか。その答は…すべての触れ合いの中、歌詞となって流れていた。
失恋と同時に、新しい町にやって来た直哉。
新しく、楽しい学園生活が痛みを少しずつ消していき、また新しい恋を知る。その時…直哉自身は彼女達に、何かを伝えようとしていた。夢の中、見慣れない服を着た見慣れた少女達と出会ううちに、どちらが本当なのか判らなくなる。それともどちらも本当なのか…どちらも夢なのか。
判らないまま時は過ぎ、二つの物語が交錯する。破綻を来した現実は、二人を別れへと導く。
もう一度繋ぎ止めるために、何をすればいいのか直哉は知っていく…
(以上メーカーサイトより) <プレイ状況>
ヒロイン4人、フルコンプ。1プレイ5時間前後。スキップすればもう少し早く終わります。 <システム>
不備多し。ctrlキーを押しっぱなしにしないとスキップできないというのはちょっと酷すぎ。もちろん既読スキップとかバックログなんて機能はありません。メッセージスピードは3段階+ウエイトなし。キーボードへの対応も弱いですね。
saveは20箇所と標準的。おまけモードはシーン、BGM、CG回想を完備。
主人公の名前は可変、それに伴い由緒の名字も変化。 <ゲームデザイン>
極めて一般的なノベルタイプのAVGです。要所で登場する選択肢でシナリオが分岐します。前半の共通部分の選択で分岐するわけですが、既読スキップがない分、繰り返しプレイが大変です(涙)。 <音楽>
mp3ながら35曲もあります。歌はなし、テーマがテーマなのでちょっと寂しいかも。曲の出来はかなり良いですね。シナリオ・企画担当の茉森さんがこの人でなければ…と選んだ溝口哲也さんという方が作曲。現在BGMモードで鑑賞中なんですが、すげー贅沢な使われ方をしてます。例えば演歌まんまの『北の街角』とか作中エロゲーのテーマ曲『メイドさんカラフル』なんかは文字通り1シーンのためだけに録り下ろされたような曲、でも手抜きなし。
お気に入りは穂澄先輩のテーマ『雲が流れつくさき』、ストリングスの「ジャンジャカジャン〜」良すぎ。
メーカーサイトにサンプルがいっぱいあるのでDLしましょう。CD-DAだったら良いのに…。 <音声>
なんでないんじゃ〜〜〜〜! あれば今年のベスト萌えゲー間違いなしだったものを…。 <グラフィック>
原画は亜方逸樹さんと茉森晶さんです。イベントCG、バリエーションを除いて由緒以外のメインは20枚程度、由緒はさすがにHシーンがないので9枚と少な目。フリフリな真千香ちゃんがお気に入り(爆)。
背景は決して悪くないのですが、夢世界のものが現実世界のそれと使い回しで、雰囲気ぶち壊しなのが泣けます。
立ち絵、萌え度を高めるのに一役買ってます。ポーズの変化はなく首から上だけが変わるタイプで目パチ、口パクなんて当然ありません。ですが、赤面CGが多用されているのと、目が文字通り猫の目のように変わりまくるのが良くて激しく萌えました(笑)。もともと、始める前は濃い目でちょっと癖のある絵だと思っていたのですが、開始3分で堕ちてしまったのでありまする。 <シナリオ>
二人目以降の前半部が苦痛なのは上述の通り。ただ断片的に何回見ても萌えるので私的には許容範囲内(爆)。
夢世界と現実世界を行ったり着たりするウチにその境界が薄れてきて…、というのは結構ありがちかも(苦笑)。現実世界の方だけだと一般的な学園物で、夢世界はヨーロッパ中世風ファンタジー。私は最初にひすいシナリオを攻略したのですが、終盤ははよく意味が分からなかったり。穂澄シナリオを最初に見ることを推奨します。雅シナリオはまあそこそこ良いのですが、どのシナリオも終盤は決められたエンディングに向けて無理矢理ストーリーを進めている感じで、ちょっと強引かな?
主人公はヒロインの陵辱シーンで傍観する選択肢を選ばない限り、決してヘタレではありません(笑)。『ONE』以来の伝統的なちょっと悪ふざけが好きで若干ニブチンというタイプ(笑)。そのため主人公がヒロインを好きになっていく心理描写は弱め、というかプレイする側が萌えすぎという説あり(爆)。一方で穂澄やひすいシナリオで主人公が嫉妬するシーンがあってこちらは共感しまくり(笑)。 <その他のヒロイン>
攻略ヒロインは菱谷雅(妹の親友)、由緒(妹)、里中ひすい(クラスメイト・委員長)、小鳥遊穂澄(天然先輩)の4人。
脇役に演劇部副部長の真千香ちゃん、以前主人公が好きだった沙歩、担任の美佳子先生。どのキャラも激しく萌えます(爆)。設定が定番ながら、私の苦手なタイプがないのがいいです。先輩といえども貧乳だったり、クラスメイトは巨乳だけど小柄、残りは妹、後輩と全く外れなし(笑)。
特に雅はメインヒロインだけあってシナリオの完成度も高く、何より三段変形するところが素晴らしい(謎)。ネタバレになるのでこの娘については多くを語れないのが悲しいですが、と・に・か・く・変身します(爆)。この手の設定で対人恐怖症と思えるほど大人しいキャラというのはかなり珍しいのでは? きちんと伏線も張ってあります。また、雅については主人公の呼称が「おにいちゃん」、「〜先輩」、「お兄さん」、「〜さん」と場面場面で使い分けられてます。この不安定さが二人の関係や雅の気持ちの微妙な側面を演出しいてイイですね。
穂澄先輩、シナリオの鍵を握るヒロイン。ボケボケです(笑)。チャームポイントがタレ目、しゃべりは「〜なのさ」、主人公は「〜後輩」呼ばわり。なんというか、独特なテンポに主人公が翻弄されてしまうのですが、意外とHシーンでは可愛くて萌えさせてくれます。いや、凄いです(謎)。
ひすい、裏世界ではメイド。この娘もちょびっと変身しますが萌え度は一番弱いかも。脇役もなかなかの品揃えで、真千香ちゃんは他のキャラとくっつくのがもったいないですし(「私、可愛くないでしょ」と主人公に無理矢理同意させようとするくだりに萌え萌え(笑))、沙歩は是非とも攻略キャラにして欲しかった(涙)。 <Hシーン>
この作品の売りは萌えと陵辱ありのHシーンのようです。陵辱は主人公が暴走して…というのが中心。他のキャラにやられるシーンはバッドエンド直行で、描写も中途半端に終わります。所謂、寝取られゲーではないようです(笑)。シーン数はばらつきがあって雅8、穂澄4、ひすい6、沙歩・美佳子・真千香は各1シーンです。それぞれのヒロインに二つの世界でのHが完備されているのは嬉しいですね。
美佳子と真千香のHシーンは主人公が覗いているというシチュエーションで和姦。処女率も高いです、ネタバレになるので詳述は避けますが期待を裏切らないと言うことで(笑)。
テキストは結構濃いめ、長めです。和姦シーンであれば萌え萌えな会話から自然な流れでHシーンに移行するのがイイデスね>つうかHシーンでもかなり萌えます(笑)。してる最中に由緒が部屋に戻ってきたり、オナニーしてるのを見つけてそのままHへ…とかシチュエーションも素敵。終了後もいきなり翌朝になったりせず、一緒に下校したり、家に送ったりするんですがその会話も萌えます。というか、全編萌えます(爆)。 <総合評価>
あまりに話題になっていないのが悲しすぎの8点。
確かにエンドロール見ても分かるように(『てんしのはしご』に匹敵するほど)スタッフ少なすぎで作り込みの甘さが目立つ作品ではあります。ただ、新規ブランドでここまでやれば十分以上。同じ新規ブランドながらネットで話題をよんだmarronの『秋桜の空に』とあえて同点にしました。確かに「笑い」というかシナリオはあちらが圧勝ですが、バランスの良さではこちらが勝ります。萌え度、音楽はトップレベル。 |