いつかの空
DATA 評価
ブランド SweetBasil 萌え度 ☆☆
名前 早瀬和佳奈 H度
続柄 お兄ちゃんに似ていた 痛さ
呼称 お兄ちゃん−私 意外性
音声 ほぼフルボイス 妹度
妹シナリオの感想など

<設定・関係>
主人公とは偶然に知り合いになったのですが、お兄ちゃんに似ているというのでストーカー紛いの行動をしているうちに、実際にお兄ちゃんと呼ぶような間柄になるという、そんな感じ。メガネっ娘の予備校生で主人公と同じ大学に入ることを目標にしています。極度の男性恐怖症のため成績は良いのに、試験では実力が出せない。

<シナリオ>
男性恐怖症を治すために協力しているうちにお互い惹かれ合っていくという、ありがちなシナリオです。

<萌えたのか?>
ストーカー? とまず引きました。そしてメガネっ娘。性格もステレオタイプに暗くてドジで。しかも料理ヘタ(笑)。
赤の他人に「お兄ちゃん」と呼ばれて違和感なくプレイするにはそこに至るまでのシナリオがしっかり書けていないといけないのですが、これは見事に失敗してます。ちょっと話をするようになったと思ったらいきなり「お兄ちゃんと呼んでもイイデスカ?」ですから(苦笑)。少しは『とらハ2』から学んで貰いたかったですね。
私が萌える要素はほぼゼロなんですが、さっぽろももこさんの原画は偉大だと思います。あの立ち絵はちょっと反則かも知れません(笑)。制服姿が…(死)

共通な感想

<お話>
耳について離れない音色がある。
澄んで可憐な、それでいて悲しげな音色。胸が締め付けられるのはなぜだろう。俺がなくしたものはなんだろう。
大学二年生、ただ今一人暮らし中。腐れ縁の幼なじみいるけれど、特定の彼女はいない。俺はそんな普通のヤツ。
12月の声を聞き、目の前の冬休みもバイトで忙殺される。そんな、目新しくもない年末を迎えるはずだった。
そんなときに出会った、ある女の子。彼女は予定調和の俺の世界を揺さぶり、ぐらつかせる。そして俺は自分でも知らなかった自分を知る。
いつかの空になくしたものは、再び取り戻せるのだろうか?
(以上、マニュアルより)

<プレイ状況>
ヒロイン7人フルコンプ。無意味に難易度が高くて悪戦苦闘しました。特に双葉シナリオの特定日の朝、自宅マンション前に立っていないと攻略不能、ヒントなし、というのは如何なものでしょう? しかし、その労力に見合った内容かというと……(汗)、攻略サイトを参考にプレイしましょう(ぉ。
ちなみにバッドエンドはクリスマスバージョンと、初詣バージョンがあります(笑)。

<システム>
saveが一日終了後の自宅のみというのが痛すぎ。バックログも既読スキップの機能もないため重要なテキストをすっ飛ばしたときの苦労ははかりしれません。save箇所は100で必要十分(難易度が高いのでこまめにデータを残して置いた方が良い)。上記以外基本的な機能がなくて困ったと言うことはありません。あんくの独自システムでしょうか? おまけは完備。
画面は800X600。「はじめから」から始めると名前入力はもとより、オープニングも飛ばせないのはイタタですね。
3Dマップでチビキャラが動き回っているためか、推奨環境は400MHzになっています。PenIII500MHzの私の環境ではストレスなく動きました。

<ゲームデザイン>
3Dマップ上を主人公のチビキャラが移動して、要所要所でイベントが起きるというどこかで見たようなデザイン。もっともこちらはゲーム上のすべての登場人物がチビキャラとして街中を徘徊しています(笑)。
かなり問題点が多いデザインです。
(1)拘束時間の長さ…12月1日に始まってクリスマス後くらいまでがゲーム期間ですが、前半は大学に行ってバイトをしてるだけでほぼ一日が潰れます。毎朝有希が迎えに来て、登校、講義、やっと昼休みかと思ったらまた授業。終わっても街をぶらつく時間などほとんどなくバイト、バイトが終わると8時…。冬休みに入れば今度はバイトが長くなる…。しかも、スピードアップはするものの、すべてをリアルタイムに見させられるという苦痛。
(2)自由がない自由時間…そんな時間にがんじがらめな主人公ですが、一応バイトが休みの日もあります。暇だから街をブラつこうと外に出ますが、やることがありません。道でヒロインに会っても一言声をかわして終わり。イベント以外では会話が弾むなんてことはありません。また、イベントがないと建造物に侵入することも出来ません。一般人との会話もなし。じゃあ、なにをするかと言えばただひたすら攻略ヒロインとのイベントが起きるのを待つだけ(涙)。しかもその肝心のイベントが少ない(苦笑)。
結局このゲームで街を歩き回って感じるのは『同級生2』は良いゲームだったなあ、という郷愁だけです。私があれ(Win版)をやってからもう5年も経過するのですが…。

<音楽>
ソルシエール・サウンドデザインというところが音関係を一手に引き受けているようです。どこかで見た名前だと思ったら、つい最近やった『てんしのはしご』や『flutter of birds』もここが手がけていました。『フラバ』の曲は好きでサントラ代わりによく聴いたりするのですが、こちらは作品自体の出来もあってかあんまり印象に残る曲がなく、まあそこそこといった感じ。歌も三曲入ってますが、『てんし…』ほどインパクトのあるものではないですね。そこそこ上手い人がそこそこ上手く歌っているという(爆)。
BGMは基本はCD-DAで、マップ移動画面はwaveかなにかで流しているようですが、これが曲者で私の環境ではフェイドアウト処理がうまくいかない(汗)。

<音声>
これがもしダメだったらこのゲームをやったことを後悔していたでしょう。裏返せば音声を聞かないような方がやっても面白くもないゲームというのが私の評価。特に北都南さん(柚木双葉)、飯田空さん(佐倉めぐみ)、永瀬江美弥さん(本間翼)の『flutter of birds』トリオがメチャ良いです。他にも芸達者な方々が声を当てています。
主人公の名前の部分を適宜読み替える呼んでいるのは非常にイイデス。

<グラフィック>
さっぽろももこさんがキャラデザ、原画。可愛い女の子の可愛いらしいしぐさがよく描けています。イベントCGの枚数はそれほど多くなくてパターン違いを抜くと一人当たり12、3枚ですね。塗りがちょっと弱いような気もしますが、総じていい感じ。背景は色使いが単調なものもありますがまあまあだと思います。

<シナリオ>
主人公は過去のトラウマのために女嫌いになっています。その部分を説明するのが有希と笑梨のシナリオ。でも、これがどちらかというと褒められた出来ではありません。有希シナリオは話としては良いのですが(特に終盤は有希の一途さが伝わって良い)、エロゲとしては如何なものか。笑梨のほうは下手なトリックを使って完全に盛り下げているというか(苦笑)。
残りのヒロインは本来、トラウマを持つ主人公の「癒し」的役割を担うことになるはずなのですが、それが表立ったテーマになっているのは、笙子シナリオくらいです(大人の女の貫禄か)。他のヒロインのシナリオだと「脱女嫌い」に説得力なし。普通のヒロイン救済系物語になってます。

<テキスト>
会話と主人公の独白だけで進みます。主人公は弁を労するタイプではないので、比較的無口なゲームに仕上がっていて、印象としても淡泊すぎる嫌いが見受けられます。

<その他のヒロイン>
ヒロインの魅力から言えば、双葉>>翼>>めぐみ>有希>>笑梨>和佳奈>笙子、です。あっ、綾たん……(爆)。笑梨は綾たんに食われているかも(ぉ。
双葉はどこかのストーカーとは違って一途で可愛いです(笑)。女の子していて、自分の思いに正直で、性格的にはちょうど有希と対称的なので、有希シナリオの時のライバルはこの娘にすべきじゃなかったかと思います>ただでさえヒロインが多いゲームに更にサブヒロインまで作ることないのに…。
翼は大食いで空腹になると動けなくなるというのがイイデス(笑)。

<Hシーン>
会話オンリー、淡泊系主人公なので、イヤになるほど薄いです。シーンは一人二回あったりするのですが、いくら北都南さんがうまくてもあれじゃあね〜みたいな。綾たんのシーンが一番興奮した(爆死)、といえばこのゲームのエッチのダメさ加減が分かるでしょう>えっ、ダメなのは私デスカ?(汗)
あと、メインにも関わらずHシーンなしというとんでもないキャラもいます(涙)。

<総合評価>
当初は6点だったんですが、他の作品とのバランスを考えて5点に落としました。声優さんとさっぽろももこさんに助けられた点数と言うことで(笑)。色々考えてデザインしたけど、何も考えなかった方が良かったと思える失敗作。何も考えないと言うのは要するに普通のノベルタイプにして、もっとシナリオやHシーンに労力を裂いたらどうだったろう、という程度の意味です。逆にプレイヤーとしては労力の割には報われないゲームでした。
あんくは『百舌鳥ノ贄』の評判が良かったので過剰に期待しすぎてしまいました。ちょっと反省です。


戻る