てのひらを、たいように(Clear
<DATA>
妹系ヒロイン 音声 炉系ヒロイン
成瀬凛 フルボイス(男のみ部分ボイス) 更紗以外(炉というか貧乳)

<各種属性>
寝取られ×;修羅場×;処女◎;凌辱×;伝奇○
萌え☆☆☆☆☆ H☆☆ 物語性☆☆☆☆
はじめに
<おはなし>
プロローグについてはメーカーサイトで確認を。ただ、これを読んでも何のことやら分かりません(ぉ。
<攻略とか進捗状況とか>
ヒロイン5人のルートをすべてみました。かなり長いです。総プレイ時間は20時間を越えるでしょう。
難易度はそれほど高くありませんが、ルートによってはCGが埋まらなくなりますので、攻略を参考にするのが吉かと。
<システム>
未読部分までスキップしてしまうとか、ヒロインが分身の術を使うとかいうバグがありましたが、現在は解消されています。あと、ハードディスクの空き容量が少なくなっているとインストール自体が出来ないそうです。
既読スキップ、バックログのホイール対応、オートプレイ可、各種鑑賞モード完備、キーボード対応など必要十分なシステムです。またSaveは全部で100箇所までできるというのもこれだけシナリオが長くなると嬉しいです。私は使用しませんがジョイパッドにも対応しているようです。最近どのエロゲでも推奨環境ギリギリになってきた私のへっぽこマシンでもかなり快適に動作(スキップ)してくれました。
ただ、音声の再生環境(キャラ)を選択できないとか、非アクティブ時に動作させることができないとか、作品に接する時間が長くなったため、どうしても細かい部分に注文を付けたくなってしまいますね(笑)。
<ゲームデザイン>
前後編というか、「てのひらを」編、「たいように」編に分かれています。主人公はそれぞれ明生とその幼馴染みで先輩の順哉、攻略可能なヒロインは「てのひら」が永久・穂・美花のナイチチトリオ(笑)、「たいように」が更紗と凛、ライターもそれぞれ冬雀氏、秋津環氏と、同じ出来事を全く別の視点から見られるような構成になっています。

攻略順はかなり厳重に管理されていて(笑)、初回プレイは強制でノーマルエンド(?)です。で、その後、穂と美花シナリオを通って永久トゥルーエンドに。すると今度は「たいように」編に入ることができるという感じ。「てのひら」側はかなりボリュームがあって初回プレイは10時間近くになるかも。音声を聴きながらだとスキップを使ってもコンプリートには20時間以上かかります。
上述のような構成部分の特徴を除けば基本に忠実なノベルものといえます。分岐の数も少なくひたすら読み続けることになります。
<グラフィック>
原画はおーじさん。ひんぬーマンセーな希少人種です(笑)。CGは80枚、差分を入れるともう少し多くなります。横顔がときどきおや?な感じだったりしますが、立ち絵も含めて可愛らしくて、学園物というよりも「がっこ」物のテーマに合っています。この方の絵とひんぬーでなければ発売日買いはしなかっただろうな(笑)。背景も綺麗です。
<音楽>
オープニング、エンディングともいつもどおり佐藤裕美さんが歌っています。エンディングはちょっと寂しいかも。というか、永久のトゥルーエンドなんか、そのままスタッフロールが流れるような演出にすれば大分印象も変わったのに……。
BGMは主題歌のアレンジを含めて27曲。「晴天模様」とか何気ない日常のテーマが好きです。あと、要所で流れる「鎮魂の願い」は印象深いですね。今回はPCMでサントラもなかったので、是非ともサントラ出して貰いたいです(どうやらファンディスクがサントラつきで出そうな気配)。
<テキスト>
難あり。特に「たいように」編が酷いのですが、同音異義による誤字、セリフとテキストとの不一致、明らかに推敲不足な文章(「にいちゃんと一緒に夏休みを一緒に過ごすことがてきて良かったよ」とか「あの子は家にある薬箱を持ってあの子の所に行こうとしました」)とか目を覆いたくなります。
お二人とも地の文がいい加減というか、状況説明がヘタというか(笑)、それなのにロクに推敲もされていないような文章なので、せっかくの萌え萌えな会話が十分生きていないような気がしました。
<シナリオ>
ゲームデザインで述べたように二部構成になっているので、それぞれについてみていきましょう。
まず冬雀氏担当の「てのひらを」編ですが、「友達再生計画」とでもいった趣です。幼馴染み(永久)が転校生としてやってきたことをきっかけに、今まで疎遠になっていた友達(穂・美花)との関係を回復していくというのが前半。
普通、時の経過によってお互いが変わってしまって上手くいかないのが友情だと思うのですが、それはエロゲ(笑)。原因不明の記憶喪失でお互いに気まずくなって離ればなれになったとかそんな感じです。それが都合良く(?)イヤガラセを仕掛ける同級生(まりあ嬢)やら、クラスでの孤立という外敵によって関係を回復して絆を深めていきます。
そして、後半では主人公たちが疎遠になってしまった理由が過去の事件とともに明かされていくという展開です。この辺りから徐々に伝奇的なお話になっていくのですが、伏線が十分(というか、クドイくらい)貼られているので、違和感はありません。

全体を通してイヤガラセ→解決→なごみイベントの繰り返しで、構成がシンプルでメリハリが利いているため物語に入り込みやすいです。感情移入しやすい分、精神的につらくなることもありますが(イジメられている気分)、三人のヒロインの役割分担・キャラ立ちが鮮明で、会話が楽しく、お約束な萌えイベントも満載で、辛いながらもどんどん引き込まれていきます。
ただ、「友情」が強調されすぎたために、「恋愛」部分のお話が疎かになってしまったという印象もあります。分量でものをいうのは如何なものかと思われますが(笑)、ノーマルエンドのあとの美花・穂シナリオは8割以上でテキストが重複していますし、トゥルーシナリオに至ってはノーマルエンドのエンディングまで全く同じストーリー、そのあと長々と続くものの、Hシーンは皆無だったりします(苦笑)。
まあ、それでも永久トゥルーエンドは涙なしでは見ることが出来ません(笑)。『家族計画』もそうですけどたまにはエロゲ的な恋愛至上主義から外れたこんな作品があっても良いと思います>エロ薄だけど(笑)。

一方、「たいように」編はいつものように秋津環氏が担当しています。こちらはもう一人の主人公(順哉)たちが夏休みの自由研究として町の伝承について調べていくうちに、町に今も残る儀式の存在に気付き……、という感じで、「てのひら」編の裏面的・補完的側面をもっています。個人的にはそれ以上のものは感じられなかったというか、物語としての完成度も、キャラの魅力も、Hシーン以外は全ての面で劣っているという感じ。単体でこの部分だけを評価するなら、いつものClearレベルです(爆)。こちらを後でプレイさせられるため竜頭蛇尾の感は否めず。
<Hシーン>
テーマが「友達」で、そこから十分恋愛関係が発展しないまま終わるというか…(汗)、ノベルゲー、泣きゲーにありがちな薄さです。「てのひら」の方は各ヒロイン一回ずつで、それもかなり薄目。「たいように」はそれでも2ラウンドまでありますが、フェラ音もセリフではなく、地の文の中で表現されて、ほとんど演技はなし。テキストは長いもののこれでは、役に立ちません(笑)。
穂と穂波の母娘丼待望論がありますが、個人的には永久・穂・美花との4Pがないのはオカシイと思う。あの関係はもはや誰か一人を選択するという状況ではないような(笑)。
妹シナリオについて
該当ナシ。ただ強いていうならヒロインの中の凛が順哉のことを「にいちゃん」とよんでいます。というか、この娘の場合、年上は全て「〜兄ちゃん」「〜姉ちゃん」になってしまうようです。もっとも順哉だけはただの「にいちゃん」なので、そこら辺は分かっているというか……(笑)。単なる幼馴染みという関係なので近親ネタが問題になることはありません。スク水サービスあり(ぉ。
音声について
キャストは非公開。メーカサイトにボイスサンプルあり。以下の方々と似た声です(ぉ。
永久:まきいづみさん(ベル先生)
美花:海原エレナさん系?
穂:進藤(みずいろ)、末莉(家族計画)
更紗:乃田あす実さん
凛:?
キャスティングが豪勢なだけでなく、音声関係の演出が優秀なのが好印象です。立ち位置による音声の振り分けが出来たり、ハモらせたり、歌わせたり、ガスで変な声にしたり、しかもそれらが、ストーリー上、決して不自然でないどころか、この作品の世界観を形成する必要不可欠な要素になっています。
「あーきーおーちゃ〜ん! がっこいこ〜!」
こんな風に起こされてみたいです(爆)。
「あう、痛い……」
永久の演技が最高に素晴らしい。ベル先生の「だ・め・だ・ぞ!」にも撃沈されましたが、永久の「あう」とか「つの!」とか「がっこ」とか単純な言葉から終盤の泣かせるセリフまで、はまり役という言い回しが陳腐に思えるほど素晴らしい演技を堪能できます。ファンは死んでも買え(ぉ。
炉キャラについて
基本的に炉キャラいないと思っています。単に貧乳なだけ。というか、ひんぬーマンセー(死)。
おわりに
<萌え>
ワガママバカミカ(美花)との掛け合いも楽しいですが、穂が気が強くてなかなか自分の気持ちを素直に表現できない女の子ってことで、ツボです。『ONE』の七瀬と『水月』の花梨を足して二で割ったようなヒロインですね。あと、まりあ嬢が非攻略キャラだというのは納得できかねます。たいよう編の二人はいらないからまりあ様を!
でも、シナリオ的にも声優的にも性格的にもありとあらゆる点から永久を見捨てることはできないというか。見捨てたら犯罪というか(爆)。つーか、犯罪的に可愛いんですけど(死)。やれば理由はわかります。エンディングで泣きましょう(笑)。
<総合評価>
てのひら編8点、たいよう編6点、平均7点の良作
正直、あのClearがここまでやってくれるとは思ってみませんでした。化けたな。冬雀氏が今後もここで作品を出すのなら間違いなく目が離せないブランドとなるでしょう。年始早々良作を引き当てて幸先が良いです。
<蛇足、ネタバレ、繰り言>
なんとなく「てのひら」編がぱっと見、絶賛状態なので「蛇足」したくなりました。というか、雑談。この作品の「肝」は当然「友達」なんですけど、これがなんとなく気持ち悪いというか、落ち着かないというか。永久の力が暴走したところなんか見るともうこれって、「友達」とかいうレベルを越えているんですよね。アレは精神的なレイプです。というか、複数いるから輪姦とか、乱交とかそんな感じ(笑)。私が上で4Pがないのはオカシイと書いたのは、明生たちがこの出来事をむしろ積極的にとらえているのを踏まえてのことです。勿論登場人物達はそれで良いのでしょうが、プレイヤーが無批判に感動したりするのは如何なものかと思われ。
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