6m QRP DSB トランシーバー(Taru6DSB)

2008.07.10新規作成 / 2015.04.01更新

 ◎ はじめに
 本作品はトランシーバーとしての性能よりも外観のデザインに特徴を持たせようと意図して製作しました。樽型のケースに入れた6mDSBトランシーバーと言うことで、「Taru6DSB」という名称にしました。

 ◎本作品の特徴
(1) コーヒー豆の入っていた樽型の木製ケースに入れた6mDSB(抑圧搬送波両側波帯)トランシーバー
(2) 周波数はEsの交信が楽しめる50MHz帯、モードはSSB局と交信が可能なDSB(抑圧搬送波両側波帯)。
(3) 受信はダイレクトコンバージョン方式。送信は平衡変調方式。終段は2SC1906を使用し出力50mW。
(4) 平衡検波、平衡変調にFM受信機フロントエンド用ICのTA7358Pを使用し回路を簡略化。
(5) 製作は穴あきのプリント基板を使用。
(5) 大きさ 110mm(最大径)×115mm(高さ)の樽型。重量は電池込みで260(g)

 ◎回路の概要説明(2009.01.01現在)
 回路図はこちらです。
(全般的なこと)
・とりあえず見た目重視で交信はできればokと言う考えで回路設計をしています。
・樽型のケースは思ったほど内部のスペースがないので、回路はある程度簡略化というか部品点数を少なくする必要があると考えました。
・平衡検波、平衡変調にFM受信機フロントエンド用ICであるTA7358Pを利用し、このICに内蔵している高周波増幅ブロックを低周波増幅などにフル活用することで、全体の部品点数を減らしています。TA7358Pの使い方については ランド方式で作る手作りトランシーバ入門(JF1RNR 今井 栄 著、CQ出版社)を参考にさせていただきました。
・小型化するにはプリント基板を設計するのが最善ですが、手間がかかるので、今回は2.5mmピッチの穴あき基板に組むことにしました。
・動作電圧は7.2〜9Vですが、7.2Vが供給されるのは終段のみで、その他は3端子レギュレータで安定化した5Vを供給しています。これはTA7358P、TA7368Pの動作電圧を考慮したのと、送受別々に5Vの安定化回路を用意すると部品点数が多くなりケースに入らなくなるためです。
(可変水晶発振)
・周波数可変はVXOを使用し、回路としてFCZ VXOを採用しました。従来のVXOに比べて周波数の上限が10kHzほど高い50.150〜50.215MHzが運用可能です。2SK241で基本波(16MHz台)を発振し、同時に3てい倍してL4の出力から50MHzの信号を取り出しています。FCZ VXOは水晶とコイルの接続点とアースの間に3〜7pFのコンデンサを入れた回路で、可変幅の増加と発振周波数の上限が高くなる特徴があるようです。
・ソースに小容量のコンデンサを介して同調回路に接続しているのはスプリアス特性を向上させるためです。
・出力先のTA7358Pにはバッファが内蔵されているため、発振回路の出力をTA7358Pに直接つないでいます。
(受信部)
・受信部は回路を簡単に出来るダイレクトコンバージョン方式としました。
・高周波増幅は定番の2SK241を採用しました。感度を確保するため平衡検波のTA7358PとはL4の1次側と100pFを介して高インピーダンスで接続をしています。当初、L4の2次側を接続していましたが、感度がかなり低かったため、現在の回路になっています。
・TA7358Pは平衡検波に使用すると共に、高周波増幅ブロックを低周波増幅に使用し、回路を簡略化しています。
出力には中心周波数約1KHzのBPFを入れて選択度を確保しました。
 (2009.01.01追記)出力にはカットオフ1kHzのLPFを入れて選択度を確保しています。BPFに比べると選択度が落ちますが、スピーカ出力を得ることを優先しました。
・低周波電力増幅はTA7368Pを使用しスピーカを鳴らせる出力が得られます。使用頻度は少ないと想定されるものの、待ち受け受信をしようとする場合はスピーカを慣らせることは重要と考えていることからTA7368Pを採用しました。出力につないだ0.1μFは発振防止のコンデンサです。
スピーカはスペースの関係から内蔵せず、基本は外部イヤフォンを利用することとしました。
 (2008.12.15追記)ダイヤルやイヤフォンジャック等の配置を見直し、スピーカを内蔵するようにしました。
(送信部)
・マイクは内蔵せず外部マイクを使用します。入力には中心周波数約1KHzのBPFを入れて高域を制限しています。マイクアンプはよく使われる回路で、コンデンサマイクを使うとこれで十分な変調をかけることが出来ます。
・平衡変調は受信部と同じTA7358Pを使用しました。このICはFM受信機用ですが、キャリアサプレッションは30dBほど確保されるようで、これは平衡変調用ICとして多用されたSN76514N、SN16913Pとあまり変わらないように思います。1-3ピンの高周波ブロックは本来の使い方である平衡変調後の高周波増幅に利用しています。
・終段は安価でFTが高くて利得の大きい2SC1906を使用し、約50mWの出力が得られました。出力にはπ型のLPFを入れて第2次高調波以上の周波数に対するスプリアス対策としています。
(送受切換など)
・リレーは2回路2接点の小型のものを使用しました。リレーの駆動にトランジスタを使用し、PTTスイッチの負担を減らしています。
・送信表示は赤いLEDを光らせることとしました。

◎使用感(2009.01.01現在)
 2008年12月に8エリアの1局と交信することが出来ました。受信はMicro6DSBに近いそこそこの感度は確保できたと思います。DC方式なので選択度はそれなりですが、2009年QSOパーティで受信した限りではそれなりに使えると思います。送信音は通常の交信は可能な音質でした。周波数可変範囲は約70kHzと少し狭い感じがします。正直、ウケ狙いに近いトランシーバでありますが、それでもEs等の遠距離交信が十分可能な基本性能はあると思います。

JR8DAG/菅野 正人(KANNO Masato)

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 【コンテンツ】

 回路図(2009.01.18更新,約31kB)

 外観・内部の写真(2008.12.15更新,約383kB)

【製作経過および更新情報】
2015.04.01 系統図を追加
2009.01.18 回路図を修正
 低周波電力増幅TA7368Pの入力コンデンサ 0.022μF → 0.047μF
 高域が出すぎて聞きづらい音になっていたのを改善した。
2009.01.01 回路図を修正
 受信部の感度確保のため1kHz BPFをカットオフ1kHzのLPFに変更。
 選択度は落ちるが、受信機として全体のゲインを優先した。 
2008.12.15 外観・内部写真更新
2008.12.04 回路図を修正
 受信部BPFの帯域幅を広げるためQダンプの抵抗1kΩを追加
2008.10.19 回路図を修正
 発振周波数の上限を高くするためVXO回路をFCZ VXOに変更
2008.10.06 回路図を修正
 感度向上のため平衡検波TA7358Pの負荷抵抗を470Ω → 2.2kΩに変更
2008.09.05 回路図を修正
 送受信部のLPFをBPFに変更。
 低周波電力増幅の発振防止のためTA7368Pの出力に0.1μFを接続。
2008.07.10 回路図、製作経過、外観・内部写真アップロード。
2008.07.10 新規作成。
2008.07.08 とりあえずok
送信音のひずみは終段のバイアス不足が原因だった(ベース抵抗変更 4.7kΩ → 2.2kΩにして解決)
約10mA流れてしまうがとりあえずok
出力は50mW、終段入力は150mW程度(7V×20mA)
RF-AMPとTA7358Pの接続を高インピーダンスに変更(感度が劇的に改善したが、気がつくまでにかなり時間がかかった)
2008.06.19 何とか動く、しかし、感度不足、送信音歪む
BPFは送受ともにLPFに変更(3.3kΩ+0.022μF)
その後も試行錯誤続く
2008.05.13 回路間違い発見、送信部終段の+TRつながっていなかった
TA7358Pを逆に取り付けていた
間違いを直したら送信部は出力が出るようになった。約50mWout
受信部は感度良くない上に不安定。
VXOのFET 2SK241のソースに22Ωをつないでバイアスをかける
1kHzフィルタは220Ωのダンプ抵抗つなぐ
2008.03.01 ケースの加工終了
2007.12.30 部品の半田付け開始
2007.12.29 部品配置を決める作業
ケースパネル位置決め


外観の様子
外観の写真(撮影:CANON EOS Kiss X2 画像編集:PaintShopPro6J)

クリックすると拡大画像を表示します
本作品の系統図


【本作品の定格】
[共 通]
周波数 50MHz
電波型式 DSB(A3E) 抑圧搬送波両側波帯
使用半導体 3IC 3TR 2FET 2Di
電源電圧 DC 7.2(V)(標準)
消費電流
受信無信号時 30(mA)
送信最大時 65(mA)
空中線インピ-イダンス 50(Ω)
外形寸法 100(最大径)× 115(高さ)
( 単位 mm , 突起物を含まず)
重量 330(g)(単4ニッケル水素電池6本込み)
局発発振方式 可変水晶発振
発振周波数 50.150〜50.215MHz
[送信部]
終段入力 7.0(V)× 20(mA) = 140(mW)
出力 50(mW)
終段石 2SC1906
不要輻射 -40(dB)以下
変調方式 平衡変調
[受信部]
受信方式 ダイレクトコンバージョン方式
受信感度 3dB(uV)程度 (S/N 10dB)
選択度 ±5kHz(-6dB),±10kHz(-20dB)程度