6m QRP SSB Handy Transceiver(Micro6SSB2008) - 回路設計の考え方 -
Micro6SSB2008の回路図
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 【回路の概要】
 受信部は高周波増幅1段、中間周波増幅2段のシングルスーパーヘテロダイン方式、送信部は平衡変調を行ったのちにクリスタルフィルターを使用してSSBを発生させ、終段に2SC2053を使用し送信出力は100mWです。ハンディ機サイズにするために、ICを多用して回路を出来る限り簡略化しています。


 【回路の説明】
(SSBジェネレータ)
 SSBジェネレータの送受信周波数、すなわち中間周波数はミズホ通信のピコSシリーズに使用されていた中心周波数11.2735MHzの小型クリスタルフィルタを利用したことから11.272MHzとしました。このフィルタは小型ながら良好な特性を持っていることと、実装スペースを節約できる点などから採用しました。
 中間周波増幅は動作の安定性を高めるため、低インピーダンス入力の回路とし、FETのソースに抵抗とコンデンサを入れています。AGCは最終段から小容量のコンデンサを介して出力を取り出しダイオードで検波してマイナス電圧を発生させて、高周波増幅、中間周波増幅にフィードバックする簡易な方法としました。本格的なAGC回路に比べれば効き目は落ちますが、交信という実用面を考えた場合は大きな問題にならないことを確認しています。
 検波はバランスミキサー用ICのTA7358Pを使用しました。動作電圧が3〜6Vであることからツェナーダイオードで電圧を約5Vに下げています。検波後はTA7358Pの高周波増幅ブロックを低周波増幅として動作させて信号を大きくし、後段のTA7368Pと合わせて必要な音量を確保しています。低周波増幅は3〜12Vの幅広い電圧で動作し、外付け部品が少なく済むTA7368Pを使用しました。TA7368Pの電源はダイオードと100μFで直結していましたが、006Pニッケル水素電池を使用した際にモータボーディングと思われる発振が生じたので、47Ωと100μF2個でデカップリング回路を構成するようにしました。
 局部発振は2SC1815を使用した一般的な回路で、キャリア用水晶は手持ちの11.272MHzを使用しました。出力につないだ抵抗は、送受の回路の影響を少なくするのと、キャリアレベルの調整をかねています。周波数が変化しないように3端子レギュレータで電圧を5Vに安定化しています。消費電力を少なくするため3端子レギュレータはCMOSタイプのものを使用しました。この安定化した5VはトランスバータのVXO回路の電源としても使用しています。
 送信部のマイクアンプと平衡変調は検波と同じTA7358Pを使用しました。マイクアンプはTA7358Pの高周波増幅に使うブロックを低周波増幅に利用しており、コンデンサマイクを使用すると十分な変調をかけることができます。マイクアンプ出力を4ピンに、キャリアを8ピンに入力すると、6ピンに平衡変調された信号(抑圧搬送波両側波帯:DSB)が出力されます。DSB信号はクリスタルフィルタを通してSSB(USB)となり、スイッチングダイオードを介してトランスバータに送っています。

(トランスバータ)
 VXO回路は2SK241を使用し、基本波(19MHz)を発振させるのと同時に2てい倍を行っています。VXO回路の出力を小容量のコンデンサを介して同調回路につなぐことでスプリアスを抑えています。VXOで作られた39MHzの信号は後段の2SK241で増幅しています。このVXOのコイルは安定度を少しでも高めるため、キャップの磁気シールドを取り除いた7kボビンに0.1mmのホルマル線を35回巻いたものを使用しました。電源はSSBジェネレータで使用している安定化された5V電源を用いています。VXOの可変幅は約100kHzとし、水晶はソケット方式として交換できるようにしました。
 受信の高周波増幅は中間周波増幅と同じ2SK241を使用しました。ソースの抵抗とコンデンサは中間周波増幅と同様に動作の安定性を高めるために入れています。
 周波数変換は混変調妨害等に対する特性を高めたいと考え、2SK241を使用したシングルバランスミキサとしました。周波数変換した信号はスイッチングダイオードを介して、SSBジェネレータに送っています。
 送信のミキサーはスプリアス特性を向上させるためにバランスドミキサーのTA7358Pを使用しました。出力には複同調回路を入れて近接スプリアスを抑えています。
 次段の高周波増幅には2SK241を使った汎用性の高い回路です。励振増幅は高い周波数で使用が可能な2SC1906を使用し利得を大きくしています。
 終段も2SC1906と同様に利得の高い2SC2053を使用し、入力200mWで出力100mWを得ています。出力には4:1の広帯域トランスを使用して無調整化と動作の安定化を図りました。エミッタに抵抗とコンデンサを入れて動作をさらに安定させています。終段の発振防止のために電源ライン、バイスのパスコン、エミッタに0.1μF、1μFの積層セラミックコンデンサを追加しました。
 出力フィルターは、終段を無調整化したので、調整の可能なT型同調フィルターを使用しました。QLは約5として必要なスプリアス特性を確保しました。

(その他の回路)
 QRP運用では信号の目安になるものが欲しくなりますが、Sメータではスペースをとるため、一定以上の信号強度になるとLEDが点灯するLEDインジケータを付加しました(回路はSSBジェネレータに掲載)。送信部と共用の2色LEDで緑色に光るようにしました。点灯ポイントがずれないように、電圧を安定化しています。
 送信インジケータは終段から小容量のコンデンサを介して出力の一部を取り出し、ダイオードで信号を検波し、その信号でトランジスタを駆動しLEDを光らせています(回路はトランスバータに掲載)。変調に応じて光り方が変わるので電波が出ているかどうか確認することができます。受信部と共用の2色LEDで赤く光るようにしました。
 電源、アンテナの切換は動作の確実なリレーを使用しました。入手の関係で12V用を使用しましたが、8V程度まで動作するため運用上の問題がないことを確認しています。
 動作電圧は直流9Vで006P型のニッケル水素電池(リチウムイオン電池)の利用を標準としていますが、常置場所でも使うことを想定し、外部電源を接続できるアダプタを用意しました。

(外観など)
 大きさは手に持つことを考えたとき鈴蘭堂(2007年閉店)のLUB-1(幅70mm×厚さ35mm×高さ130mm)というケースが最適と言うことで採用しました。電池は移動運用での使い勝手を考慮して外付けとしました。外観はエメラルドグリーン、パネル面は黒で塗装し、パネルの文字は作成の容易さからネームランドテープを使用しました。10年以上の長期間にわたって使用することを考えてデザインには気を配りました。

 {参考文献}
ランド方式で作る手作りトランシーバ入門(JF1RNR 今井 栄 著,200ページ,2007年9月発行,CQ出版社)