6m QRP DSB ハンディ トランシーバー(Micro6DSB)

2003.10.09新規作成 / 2013.12.20更新

 ◎ はじめに
 本作品はSSB局と交信ができる50MHz帯DSBモードのハンディトランシーバーです。手軽な移動運用が可能なトランシーバーとして6mAMに関してはMicro6AM2002を製作しましたが、実際に移動運用を行うとSSB機も持参しないとなかなか交信できない現状にあります。そこで、今回はMicro6AM2002のペアとなる6m DSBハンディトランシーバーを製作しました。なお、運用上の使い勝手から行くとSSB機を製作する方がよいのですが、SSBに関しては多少大きめながらもピコシリーズが存在することと、DSB機に関してはこれまでに納得のいく自作機を作ることが出来なかったので、この機会に製作したいと考えました。

 ◎DSB(抑圧搬送波両側波帯)とは?
 AMからキャリアを除いた電波、またはLSB+USBが同時に出ている電波をDSBと呼んでいます。キャリアを除いているので、SSB局と交信することが可能です。また自作においても、SSBを作るためのフィルターが不要なので回路を簡単にしやすいのが利点となります。
 短所としてはDSB局同士では非常に交信しづらいことがあげられますが、自作機で運用する局が少ない現在では、片方がSSB局であることがほとんどなので問題にならないと考えます。

 ◎本作品の特徴
(1) 回路が簡単でSSB局と交信が可能なDSB(抑圧搬送波両側波帯)トランシーバー
(2) 受信はダイレクトコンバージョン方式。
(3) 送信は平衡変調方式。終段は2SC1815を使用し出力50mW。
(4) 送受信の回路を共通化して回路を簡略化。
(5) 大きさ 70(W)×35(D)×150(H)mmのハンディ機サイズ、重量は電池込みで260(g)

 ◎ 回路決定の経過(2004.02.22更新)
 回路図は2種類考えました。(第1案)は3石トランシーバーをベースにしたもの、(第2案)は比較的オーソドックスに考えてみたものです。小型化には部品点数を少なくした方が良いと考え(第1案)をベースに試作を行いました。回路を修正しながらもトランシーバーとして要求する性能を確保できたことから、最終的に(第1案)の回路を採用しました。試作段階での出力は約70mWですが、DSBであれば出力50〜100mWあれば年間で100局以上と交信可能と考えていますので、十分な出力と判断しました。

 ◎回路の概要説明(2013.12.20現在)
 受信部は高周波増幅1段、低周波増幅2段の平衡検波にダイオードSBM(シングルバランスミキサー)を使用したダイレクトコンバージョン方式です。送信部は受信と共用しているダイオードSBMを使用した平衡変調で、終段に2SC1815を使用し、送信出力は50mWです。周波数可変は可変水晶発振(VXO)を送受共用で使用し、50.145〜50.225MHzが運用可能です。送受で回路を共通化することで部品点数を少なし、小型化を図りました。

 その他の回路説明については回路設計の考え方にまとめました。

◎使用感(2007.12.25現在)
 2004.04.27から運用を開始し、2007.12.25現在で1〜8エリア21局と交信できています。
・意外と交信はできる感じ。Esでも強い局であれば難なく交信できるという印象。
・受信感度はそれなりにあるが、弱い信号を受信したときはスピーカからの音が小さく、出力50mWに見合った受信音量と言えそうな感じ。
・AGCがないので、信号の強弱が音量の大小に直結している。聞こえないなと思ってボリュームを上げたところで、強い信号を受けるとものすごい音が出る。イヤホンでCQを出しているときは要注意。
・ダイレクトコンバージョン受信機の宿命か、選択度も今ひとつ。強い信号があると10kHzくらいは使えない。Es発生時などの混雑した状況で弱い信号を拾うのはまず無理。
・送信の音質は良好なようで、グランドウェーブで約250km、Esで約1,500kmの交信ができているた。
・VXOは下の周波数(50.150MHz付近)で電源投入から約30分で1kHz程度の周波数変動がみられ、SSB系では音の変化となって現れるので運用に注意が必要。
・大きさ、軽さについてはMicro6AM2002と同程度であり、携帯性は十分。
・消費電流は受信35mA(無信号時)、送信90mA(最大)。
 受信には若干癖はあるものの、理解して使えば問題ないレベルだと思います。送信は音質が良かったせいか、当初考えていたよりも簡単に遠距離と交信できたのはちょっと意外でした。

◎部品情報(2008.08.29現在)
・2SK439は価格が上昇し入手も難しくなることが予想されます。代替品として2SK241が使えます。
・鈴蘭堂は営業を終了したため本作品に使用したケース(LUB-1)は入手不能です。代替品もないのでアルミ板から自作するしかないと思います。

 【コンテンツ】

 回路図(2008.10.19更新,約35kB)

 回路設計の考え方(2013.12.20)

 完成予定写真(2004.02.15,約58kB)

 加工済ケース写真(2004.03.16,約40kB)

 プリントパターン(2004.01.28,約38kB)

 エッチングを終了したプリント基板(2004.03.08,約101kB)

 部品を半田付けした基板(2004.04.07,約92kB)

 完成写真(2004.04.30,約100kB)

 内部の様子(2013.12.20,約342kB)

 試作基板の写真(2003.11.09,約130kB)

JR8DAG/菅野 正人(KANNO Masato)

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◎製作経過および更新情報
2013.12.20 回路設計の考え方を新規作成しました。
内部の様子の写真の解像度を増やしました(1,024×768dot → 1,600×1,200dot)
2010.11.29 系統図を追加しました。
2008.10.19 VXO回路変更、修正回路図アップロード
 ・水晶とコイルの接続点とアースの間に5pFのコンデンサを入れたFCZ VXOに回路を変更
 ・周波数の上限が約5kHz高くなり、50.145〜50.225MHzが運用可能となりました。
2008.01.01 VXO回路変更、修正回路図アップロード
 スプリアス改善のためVXO回路を変更しました。
 ・同調回路との接続をドレイン直結からソースから33pFを介して接続
 ・次段の高周波増幅2SK439の入力コンデンサ10pFと抵抗100kΩを削除
 ・高周波増幅2SK439のソース抵抗220Ω → 100Ω
2007.12.25 作品の特徴を記載
定格を掲載
2005.12.19 VXO回路変更、修正回路図アップロード
 VXOの可変幅を増やすため回路を変更しました。
・発振のトランジスタを2SC1815 → 2SK439に変更
・L1のコイルの巻き数30 → 35回
・バリコン 20pF×2(並列接続) → 20pF(片方)のみに変更
・その他、定数を変更
 この結果、周波数の上限が10kHzほど上がり50.150〜50.220MHzとなりました。
 ゲート−ソース、ソース−アース間のコンデンサの定数はもう少し調整して上限周波数を高くしたいと思います。
2004.05.29 低周波回路のフィルター定数変更、修正回路図アップロード
低周波回路のフィルター特性改善のためダンプ抵抗1kオームを削除しました。
2004.05.11 高周波増幅回路の定数変更、中波放送混入防止コンデンサの定数変更
VXO回路の消費電力を低減させるための定数変更、修正回路図アップロード
 受信機のゲイン向上のため高周波増幅2SK439のソース抵抗を10Ωから4.7Ωに変更しました。 LM386Nの2番ピン中波放送混入防止の0.1μFのコンデンサを0.047μFに変更しました。
 消費電力低減のため(というより無駄に電力を使っていた)VXO回路のツェナーダイオードにつないでいる抵抗を100Ωから470Ωに変更しました。変更前はの約30mAの消費電流が、5mA程度になりました。
2004.05.03 低周波増幅回路の定数変更、中波放送混入を防止するためコンデンサを追加
修正回路図アップロード
 受信機のゲイン向上のため低周波増幅2SC1815のエミッタ抵抗を10Ωから4.7Ωに変更しました。 中波放送混入防止のため、低周波電力増幅回路LM386Nの2番ピンに0.1μFのコンデンサを接続しました。
2004.04.30 完成写真、内部写真のアップロード、高周波増幅、感度調整抵抗の値を変更、修正回路図アップロード
 高周波増幅の感度切換に関わる抵抗を22kΩから4.7kΩにしました。22kΩでは感度が低下しすぎるために定数を変更ししました。
2004.04.26 ケースの塗装を終了し、運用できる状態となりました。外観の写真はこちら。内部写真はこちら
2004.04.13 ケースの塗装を開始しました。外観はライトグリーン、パネルは濃い灰色にする予定です。
2004.04.11 VXO回路の定数を変更、低周波電力増幅LM386Nの1ピンの抵抗22オーム → 10オーム
高周波増幅2SK439のソース抵抗を22オーム → 10オーム
マイクの入力コンデンサ10μF → 0.1μF
修正回路図アップロード
 ケースの取り付け、部品の半田付け、調整を終了し、運用可能な状態となりました。
2004.04.10 送信から受信に切り替えたときの立ち上がりの遅さを改善するため、マイクの入力コンデンサを10μFから0.1μFに変更しました。
VXO回路の定数変更と調整終了。運用周波数は50.150〜50.210MHzとなりました。
高周波増幅、低周波電力増幅の定数を変更し、感度向上させました。
低周波増幅2SC1815周辺の回路を変更し、受信時の立ち上がりの改善を図りました。
2004.04.07 部品を半田付けした基板の写真アップロード
2004.04.04 プリント基板への部品の半田付けを終了しました。
2004.03.24 VXO回路の定数を変更。修正回路図アップロード
2004.03.23 VXO回路のバイアス抵抗変更。修正回路図アップロード
 VXOの仮調整及び回路を一部修正を実施。周波数範囲は50.150〜50.220MHzとなっています。
2004.03.16 加工済ケース写真のアップロード
プリント基板のケースへの実装方法を変更しました。
2004.03.08 プリント基板の写真アップロード
プリント基板の部品半田付けを開始しました。
2004.03.07 Micro6AM2002と同様のケース加工では、基板を実装できないことが判明しました。現在、実装方法の修正を行っています。
2004.03.07 プリント基板のエッチングを終了しました。
2004.02.22 基板の穴あけを終了しました。
2004.02.15 基板の製作を開始しました。
2004.02.15 ケース加工済後の完成予定写真のアップロード
ケース加工を終了しました。部品を取り付けた完成予定写真を公開しました。
2004.02.01 ケース加工写真のアップロード
ケース加工を実施しました。Micro6AM2002と同じ鈴蘭堂のLUB-1を使いましたが、内部の構造が少し変わってしまったみたいで微修正が必要でした。また、真ん中の仕切り板に厚さ1mmのベーク板を使いましたが、少し柔らかすぎるようです。
2004.01.28 プリントパターンの掲載
2004.01.25 プリントパターンの設計を完了しました。大きさは大きさは10cm×6cm,1枚です。
2004.01.04 ケースの加工を開始しました。
2003.12.07 ケースの設計を開始しました。Micro6AM2002と同じ鈴蘭堂のLUB-1をベースにし、外観も似たような感じとなる予定です。
2003.12.06 回路はほぼ決定。プリントパターン作成開始。大きさは10cm×6cm,1枚の予定です。
2003.11.09 試作基板写真の公開
平衡変調・検波回路を1SS106×2のSBMを使用する回路に変更。他、一部回路定数の変更を実施。SBMには大きな電力を与えない(1mW以下)方がキャリアサプレッションは良い模様。送信音の直線性が悪くなる可能性はあるが今のところは問題はない感じです。
2003.11.06 回路図一部修正
2003.11.03 RF関係の回路を送受分離など手直し多数。修正回路図アップロード
紆余曲折の末、なんとか回路が固まりそうです。
(1) RF関係を送受共用とするとどうしても発振するようなので、回路を送受で分離。
(2) 送信は 2SC1906 → 2SC1815の2段構成で50mWほどの出力となったので、これで回路を決定。
(3) 受信はRF1段、AF2段で必要としている感度を得られそうな感触。
2003.10.16 VXOの発振回路をFETからトランジスタに変更。修正回路図アップロード
2003.10.15 回路試作開始。
VXO関係の回路を調整したところ、FETの発振回路ではDBMを動かす電力を確保できそうになく(1mW以下)、発振回路をトランジスタに変更しました。3dBのアッテネータを通した出力が3mWとなったので、なんとかDBMを動作させられそうです。
2003.10.13 第1案の回路で試作を開始しました。FCZ基板への部品実装は終わらせました。
2003.10.09 新規作成。回路図(案)公開。

クリックすると拡大画像を表示します(約100kB)
Micro6DSBの外観、大きさ 70(W)× 35(D)×150(H)(単位 mm , 突起物を含まず)
撮影:CANON EOS 10D、画像加工:PaintShopPro6J

クリックすると拡大画像を表示します(約342kB)
内部の様子
撮影:CANON EOS 10D、画像加工:PaintShopPro6J

クリックすると拡大画像を表示します
Micro6DSBの系統図

【本作品の定格】
[共 通]
周波数 50MHz
電波型式 DSB(A3E) 抑圧搬送波両側波帯
使用半導体 1IC 5TR 3FET 9Di
電源電圧 DC 9.0(V)(標準)
消費電流
受信無信号時 35(mA)
送信最大時 90(mA)
空中線インピ-イダンス 50(Ω)
外形寸法 70(W)× 35(D)×130(H)
( 単位 mm , 突起物を含まず)
重量 260(g)(9Vニッケル水素電池込み)
局発発振方式 可変水晶発振
発振周波数 50.150〜50.225MHz
[送信部]
終段入力 9.0(V)× 15(mA) = 135(mW)
出力 50(mW)
終段石 2SC1815
不要輻射 -40(dB)以下
変調方式 平衡変調
[受信部]
受信方式 ダイレクトコンバージョン方式
受信感度 0dB(uV)程度 (S/N 10dB)
選択度 ±5kHz(-6dB),±10kHz(-20dB)程度


 回路図(第2案)(2003.10.09,約51kB) ・・・・ お蔵入り