6m QRP AM Handy Transceiver(Micro6AM2002) - 回路設計について −

JR8DAG 菅野 正人(KANNO Masato)

Micro6AM2002の回路図
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 ◎受信部
 受信部は簡単な回路で高感度が得られるシングルスーパーヘテロダイン方式とし、中間周波数はイメージ混信を減らすため11.059MHzと高くしました。
 高周波増幅は回路が簡単で高感度が得られる2SK439を使用し、ソースに抵抗とコンデンサを入れて動作の安定性を高めています。
 周波数変換も2SK439を使用し、混変調妨害等に対する特性を高めることを目的にバランス型とし、ソース抵抗を2.2kΩと大きくして動作の安定化を図っています。
選択度を決定するフィルターには、ラダー型水晶フィルターを使用しました。これまで製作のAM受信機は4素子でしたが、今回はフィルターの特性を向上させるため6素子としました。
 中間周波増幅は高周波増幅と同じ2SK439を使用しました。負荷にRFCとコンデンサを使用した同調増幅器ですが、並列にQダンプの抵抗を接続して帯域を広くすることで、無調整化しています。当初はRFCと抵抗のみの広帯域増幅でしたが、中波放送の混入があり、現在の回路に変更しました。Qダンプ抵抗は1〜4.7kΩの間で変えて安定して動作する値に設定しました。なお、ソースに抵抗とコンデンサを入れているのは高周波増幅と同様の目的です。
 検波回路はショットキーバリアダイオード使った一般的な回路です。負荷抵抗は動作の安定性から1kΩにしました。
 自動利得調整(AGC)は信号の一部をダイオードで検波して得られたマイナス電圧を高周波増幅、及び中間周波増幅にフィードバックする方式としました。現在の6mAMではこれで必要な性能が得られます。
 検波回路のあとにはシリコンダイオードを利用したANL(オートマチックノイズリミッター)を入れました。簡単な回路ですが、車のイグニッションノイズに対しては効果があります。
 低周波増幅は2SC1815とLM386Nによる汎用性の高い回路によりスピーカを鳴らせるようにしました。スピーカも本体に内蔵し、待ち受け受信がしやすいようにしています。このLM386Nの低周波電力増幅回路は、送信時にも使用して共用することで小型化を図りました。
 可変水晶発振(VXO)はトランジスタに比べると出力は少ないものの安定度に優れているFETを使用しました。周波数を変化させる素子は安定度に優れるバリコンを使用しました。VXOの発振周波数は19.743〜19.783MHz、これを次段の2SC1815で2てい倍して39.486〜39.566MHzを出力しています。中間周波数が11.059MHzですから、運用周波数は50.545〜50.625MHzの80kHz幅となります。これまでの運用実績からこの周波数範囲で実用性に問題ないと判断しました。このVXOを送受共用にすることでトランシーブ操作を実現しています。

 ◎送信部
 局部発振は周波数変換にも使用しているTA7320Pです。発振回路のコレクタ(TA7320Pの4番ピン)に同調回路をつながず、エミッタ(同3番ピン)にコンデンサを介して同調回路を接続し、5倍波の55MHz台のスプリアスを抑えるようにしました。
 周波数変換はスプリアス特性で有利なダブルバランスドミキサーのTA7320Pです。出力は複同調とし、また、同調回路をハイCローLとして中間周波数11.059MHzの5倍波である55MHz付近の近接スプリアスを抑えています。
 この後は2SC1906、2SC1815で信号を増幅し、終段の2SC1973でAM変調をかけて入力400mW、出力200mWを得ています。出力はフェライトトロイダルコアを使用した広帯域トランスにより安定動作を図りました。さらにT型同調フィルターをつないで第2高調波以下のスプリアス対策としています。
 変調は終段の2SC1973に変調器の出力を低周波トランスを介して接続し終段コレクタ変調をかけています。また、前段の2SC1815にも軽く変調をかけて、良好な変調が得られるようにしています。変調器は受信部低周波電力増幅と共用しているLM386Nで、出力をリレーで切り替えることで、送信時は変調器として動作します。
 送信表示は送信電波の一部をコンデンサで取り出して、ダイオードで整流した出力をトランジスタに加えてLEDを光らせました。コンデンサはLEDが点灯する最低容量ということで2pFにしました。送信表示回路は後から別基板として追加したため、ダイオードは1SS174、トランジスタは2SC2458と小さいものを使用しました。

 ◎その他の回路(回路は送信部に含まれる)
 送信部の回路図にCAL-SWがありますが、受信時にこのスイッチを+R側にすると、受信周波数と同じ周波数の微弱電波が発生し、簡易的にSSBやCWを受信することができます。
 送受切替は、アンテナ切替とLM386Nの出力切替については、動作の安定なリレーを使用しました。使用したリレーのG5Aは小型で消費電力の少ないことから採用しました。電源の切替については2SA1015を2つ使用し、使い方を工夫することにより電源切替に要する消費電力を減らしています。
 電圧はDC9Vを標準として7〜10Vで動作します。標準電源に006P型の200mAhニッケル水素電池を採用して軽量化を図ると共に、電池をケースの外側に取り付けることで移動運用時の電池交換を容易にしました。
 送信表示兼受信インジケータは2色LEDを使用し、送信時は赤で、受信時は一定の信号強度を超えると緑に表示されるようにしました。QRP運用では信号の目安になるものが欲しくなるため、スペースの取らないLEDインジケータを装備することとしました。
 アンテナ端子につないでいる10kΩは送信時に直流電圧を出す抵抗で、外部リニアアンプを接続したときの送受切換のコントロールのために入れています。