40m QRP AM ハンディトランシーバー(Micro40AM2014)

2014.01.05新規作成 / 2014.07.22公開 / 2018.10.08 更新
ハムフェア2014自作品コンテスト自由部門優秀賞第三席

 ◎はじめに
 本作品は40m QRP AM運用を楽しむために製作したハンディトランシーバーです。7MHz AMは2009年の周波数拡張を契機として7.195MHzを中心とした運用が行われています。この7MHz AM運用においては、力強い変調がかかるなどの理由から古風な真空管式送信機が活躍していますが、一方で移動運用に適した機動性に優れるハンディトランシーバーの自作例は少ないと感じており、その点からも、7MHz AMを楽しむことができるハンディトランシーバーを製作する価値があると考えました。
 本作品では、これまでの6mAM運用で得られたノウハウや製作技術を生かしながら、40m AM QRP運用を自在に楽しむことができる使い勝手の良いハンディトランシーバーを製作することを目標としました。本作品は2014年に製作した小型の40mAMトランシーバーと言う意味合いで「Micro6AM2014」という名称を付けました。
 本作品はハムフェア2014自作品コンテストに出品し、自由部門優秀賞第三席に入賞することができました。

 ◎どのようなトランシーバーとするか?
(1) 手に持てる大きさで、公共交通機関の旅行などでも手軽に持っていけること。
(2) マイク、スピーカ、電源を本体に内蔵し、アンテナを用意するだけで運用できること。
(3) 移動運用先での電源交換を容易にする。
(4) 40mAMをQRPで運用する際の必要な送受信性、特に混雑に対応するための選択度の確保を最優先とする。

 ◎本機の主な特徴(ブロックダイアグラム)
本作品では40m QRP AM運用を自在に楽しむことができる使い勝手の良いハンディトランシーバーを製作することを目標とした。本作品の主な特徴は以下のとおりである。
(1)大きさは幅70mm×厚さ35mm×高さ150mm(電池含む)。重さは電池込みで約330(g)。
(2)電源、マイク、スピーカを内蔵し、アンテナを用意すれば運用可能。
(3)電源は容易に電池を交換できる006Pを搭載。
(4)周波数可変トランシーブトランシーバーで7.165〜7.195MHzを運用可能。
(5)受信はラダー型水晶フィルターを使用したシングルスーパーへテロダイン方式。
(6)送信は終段コレクタ変調で出力200mW。
(7)周波数構成やコイルの使い方を工夫し、必要なスプリアス性能を確保。
(8)回路変更や予期せぬトラブルに容易に対処できるメンテナンスが行いやすい構造。
(9)2018年10月現在、1,6〜8エリアの17局とQSOし実用性を確認。

 ◎製作の考え方
 本作品は40m AMをQRPで自在に楽しむことを目標として、製作にあたっての考え方を以下のとおり定めた。
(1) 大きさは手に持てるサイズとして機動性を確保し、公共交通機関の移動において運搬しやすいことを考慮する。
(2) 電源、マイク、スピーカを内蔵し、アンテナを用意すれば運用できるようにする。
(3) 7MHz AMをQRPで楽しめる基本性能(感度、選択度、安定度、変調の質など)を確保するが、7MHzは周波数が少ないことに起因する混雑に対応することを最優先とする。
(4) 快適な運用を行うため、回路設計は目新しさよりも安定性を重視する。
(5) 回路変更や不具合修正に対処するために、メンテナンスが行いやすい構造とする。
(6) 10年以上使用することを考慮し、外観のデザインに気を配る。
 回路設計の考え方はこちらです。

 ◎製作における工夫など
 「Micro40AM2014」ではハンディ機サイズにするために、送信部の局部発振とミキサーをDBM用ICのTA7358Pに使用して回路の簡略化を図るとともに、小型部品やチップ部品の使用、基板の実装方法などに工夫を凝らしました。
 電源は小型であること、1,2時間運用できれば良いということで006Pを使用しました。運用時間が長くなったことを考慮し、電池交換が容易にできる構造としました。また、常置場所などで運用するときのために外部電源を使用できるアダプタも製作しました。

 ◎使用感(2018.10.08現在)
・2014年3月から運用を開始し、常置場所において使用している。
・2018年10月8日時点で1,6〜8エリアの17局と交信。
・感度、安定度はこれまでの自作機とほぼ同等で問題なし。
・選択度や混変調特性についてメーカー製のリグ(TS-570S)に比べて劣り、夜間には周辺の大電力放送局の影響を受けるが、それ以外の運用では問題のないレベルである。
・送信部の変調音はまずまず良好。
・消費電流は受信無信号時 40(mA)、送信無変調時 120(mA)、送信時最大180(mA)。
・電池の使用時間は、通常の運用ではニッケル水素電池(200mAh)で2〜3時間程度。
・電池の交換のしやすくなったことと、厚さが薄いことで、機動力優れる。

◎本作品の概要動画を作成しました。
 本作品の概要を動画で作成し、YouTube、ニコニコ動画にアップしました。リンクは以下のとおりです。
40m QRP AM ハンディトランシーバー(Micro40AM2014)(2018.10.08) - ニコニコ動画(く)
 

 ◎おわりに
 受信感度や送信音質については、必要なレベルを確保しており、周波数も使用頻度の高い範囲がカバーされており40mAMをQRPで自在に楽しめる実力を確保したと思っています。移動運用においては、手になじむ大きさで持ちやすいこと、アンテナ以外はすべてそろっていること、電池の交換が非常にしやすいことが移動運用での大きなメリットです。40mAMをQRPで楽しむという点で満足できるトランシーバーが製作できたと思っています。

JR8DAG/菅野 正人(KANNO Masato)

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 【コンテンツ】

 回路図(2014.03.08更新,約71kB)

 外観の写真(2014.10.05,約251kB)

 回路設計について(2014.01.05更新)

 出品にあたって考えたこと(2014.08.31)

 内部の様子(2014.10.05,約582kB)

 部品を半田付けした基板の写真(2014.10.16,約141kB)

 ハムフェア自作品コンテスト提出書類(2014.06.21,pdf形式)

 自作品コンテスト展示用説明文(2014.07.22,約184kB,pdf形式)

 スペクトラムアナライザの計測結果(2014.06.22 , 約98kB)

 JARL自作品コンテストにおける動作試験データ(2014.08.31 , 約40kB)

 自作品コンテスト賞状(2014.09.11,約78kB)

 入賞カップと並べた写真(2014.09.11,約108kB)

 ※ pdf形式のファイルをご覧になるにはAcrobatReader4.0以上が必要です。

【更新情報】
2018.10.08 概要動画を作成しニコニコ動画にアップロード
使用感の記述を更新
2014.10.16 部品を半田付けした基板の写真 を掲載
2014.10.05 内部の様子の写真を2枚追加しました。
2014.09.11 入賞カップと並べた写真 を掲載
自作品コンテスト賞状 を掲載
2014.08.31 JARL自作品コンテストにおける動作試験データ を掲載
出品にあたって考えたこと を掲載
2014.07.22 第2次審査結果通知到着。優秀賞第三席入賞
2014.06.22 スペクトラムアナライザの測定結果 を更新
2014.06.21 ハムフェア自作品コンテスト提出書類 を掲載
2014.05.30 作品をJARL宛送付
2014.05.19 第1次審査結果通知到着。第1次審査通過
2014.05.02 外観および内部の様子の写真掲載
2014.03.04 送信LED表示回路のダイオードBAT43 → 1SS106、入力コンデンサ 5pF → 3pF
受信部低周波増幅2SC1815のエミッタ抵抗 10Ω → 47Ω
ボリューム両端のコンデンサ 0.047μF → 0.1μF
2014.03.04 T型同調フィルターのQLを変更(QL≒6 → QL≒7)
L9,10の結合コンデンサ 5pF → 3pF
2014.02.24 スペクトラムアナライザの測定結果 をアップロード
回路図を変更
・検波およびAGCのダイオードを変更(BAT43 → 1SS106)
・AGCの入力コンデンサ47pF → 10pF
・π型2段LPFからT型同調フィルター(QL≒4 → QL≒6)に変更
・終段2SC2086のベース入力抵抗 22Ω → 47Ω
・高周波増幅2SC1815のエミッタ抵抗 100Ω → 470Ω
2014.02.11 回路図を変更
・T型同調フィルターからπ型2段LPFに変更
・AGCの改善のため入力コンデンサ10pF → 47pF
・AF出力の改善、2SC1815のエミッタ抵抗 47Ω → 10Ω
2014.01.05 回路図、系統図を掲載
2014.01.05 ホームページを作成


クリックすると拡大画像を表示します(約100kB)
外観の写真(exterior)

外観を水色、パネルを濃いグレーで塗装
大きさ size 70mm×35mm×150mm(電池含む)
大きさの比較ができるように350ml缶飲料と並べた
撮影:CANON EOS Kiss X7 画像編集:PaintShopPro6J

クリックすると拡大画像を表示します(約251kB) 内部の写真(上:送信部,下:受信部)
上が送信部、下が受信部
ケースの下に006Pの電池フォルダを外付けしている
Upper:TX Lower:RX
撮影:CANON EOS KISS X7 画像編集:PaintShopPro6J

クリックすると拡大画像を表示します(約13kB)
本作品の系統図


【本作品の定格】
[共 通]
周波数 7MHz
電波型式 AM(A3E)
使用半導体 3IC 8TR 6FET 16Di
電源電圧 DC 9.0(V)(標準)
消費電流
受信無信号時 45(mA)
送信無変調時 120(mA)
送信最大時 180(mA)
空中線インピ-イダンス 50(Ω)
外形寸法 70(W)× 35(D)×150(H)
(単位 mm , 突起物を含まず)
重量 330(g)(006Pニッケル水素電池込み)
局発発振方式 可変水晶発振(VXO)
発振周波数 19..165〜19.195MHz
[送信部]
終段入力 8.5(V)× 48(mA) ≒ 400(mW)
出力 200(mW)
終段石 2SC2086
不要輻射 -40(dB)以下
変調方式 終段コレクタ変調
[受信部]
受信方式 シングルスーパーヘテロダイン方式
中間周波数 12.000MHz付近
受信感度 0dB(uV)程度 (S/N 10dB)
選択度 ±2kHz(-6dB),±4kHz(-40dB) 程度
[受信部]
局発発振方式 可変水晶発振
発振周波数 19.165〜19.195MHz