10m QRP AM トランシーバ(JR8DAG-2010AM) - 回路設計の考え方 -

2011.05.04 作成 / 2011.05.04 更新

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 ◎概要
・再現性と動作の安定性を重視し、10mAMをQRPで運用するための基本性能を確保する。
・回路構成はJR8DAG-2006AMをベースに周波数を変更して28MHzを運用できるようにした。

 ◎受信部
 受信部は回路が簡単で高感度が得られるシングルスーパーヘテロダイン方式としました。中間周波数はイメージ混信を減らすため11.0MHzと高くし、選択度を確保するためラダー型の水晶フィルターを使用しています。
 高周波増幅は回路が簡単で、高感度が得られる2SK241を使用しました。ソースに抵抗とコンデンサを入れて動作の安定性を高めています。
 ミキサーも2SK241を使用しましたが、ソースの抵抗を4.7kΩと大きくして安定で確実な動作を行うようにしています。
 受信部の選択度を決めるフィルターにはラダー型水晶フィルターを使用しました。SSBでは8素子ほど使用しますが、AMでは4素子あればEs等の交信でも十分に使えることと、多少でも部品点数を減らすことを考え、本作品では4素子としました。
 中間周波増幅は高周波増幅と同じ2SK241を使用しました。RFC、コンデンサの同調回路にQダンプ用の抵抗を接続することで帯域幅を広げた半同調増幅にしています。4.7μHと47pFで11MHz付近の同調回路を構成し、並列に抵抗を入れて帯域を広げ無調整化してます。中波放送の混入を防止することと、無調整化をするためにこのような回路になっています。中間周波増幅も、高周波増幅と同様、2SK241のソースに抵抗とコンデンサを入れて安定化を図りました。L4のアース側には0.01μFと0.1μFが並列に接続されていますが、これも中波放送の混入を防止するために入れています。
 AGCは後段の中間周波増幅回路から信号の一部を取り出し、整流回路でマイナスの電圧を発生させ、高周波増幅、及び中間周波増幅にフィードバックする簡単なものとしました。AGCを検波回路と一緒にしていた作品もありましたが、AGCの効き具合を改善するため、検波回路と分離しました。
 検波回路はショットキーバリアダイオードの1SS106を使用しました。負荷抵抗の値は動作の安定性と感度のバランスから1kΩにしました。
 検波回路の後には、ノイズリミッター回路を入れました。効果はそれなりですが、ないよりは良いという感じで入れました。
 2SC1815の低周波増幅は、LM386Nの低周波増幅だけでは、音量が不足するために入れています。低周波電力増幅はすでに定番となっているLM386N(NJM386BD)を使用しました。1番ピンに100μFと22オームを直列に接続し、約60dBほどの利得を得ています。LM386Nの入力(2番ピン)に抵抗と電解コンデンサがありますが、これは送信時にLM386Nの動作を止める回路で、送受切り替え時の耳障りな音を少しでも減らすために入れています。
 受信周波数を可変する方法としては、簡単に高い安定度の得られるVXOとし、水晶は川崎電波研究所で特注したVXO用の19.7MHzです。当初、既製品の19.66MHzを使用していましたが、上限が28.320MHz付近になってしまい、QRP局がよく運用する28.355MHzに出られないため、特注品の19.7MHzに変更しました。周波数を可変させる素子は安定度の高いバリコンを使いました。VXO発振回路は2SK241を使用しました。FETはトランジスタに比べると出力は少ないものの安定度に優れているようですので採用しました。周波数は19.625〜19.680MHzを発振させ、その周波数を次段で2てい倍して39.25〜39.36MHz、中間周波数の11.0MHzを引いて、運用周波数は28.250〜28.360MHzの110kHz幅となるようにしました。28MHzのAMは28.305MHzを中心として28.215〜28.355MHzを10kHz間隔で運用されており、多くはこの辺りの周波数に出てくること、28.355MHzのQRP局の運用周波数を含んでいるため、実用性に問題ないと判断しました。
 LEDインジケーターはある一定の信号強度を越えるとLEDが点灯する回路です。スペースをとらずに相手局の信号強度の目安がわかるので組み込んであります。

 ◎送信部
 送信部の局部発振は2SK241を使用しました。同調回路はソースに小容量のコンデンサを介して接続することにより、近接スプリアスを極力抑えるようにしました。
 周波数変換はダイオードDBM、FET、DBM用ICなど、いろいろと考慮した結果、部品の入手性を最優先し、2SK241を2個使用したシングルバランスドミキサーにしました。ミキサーとしての能力はSN16913PなどのDBM用ICより若干落ちることが想定されますが、出力は複同調とし、また、同調回路をハイCローLとして、近接スプリアスを抑えました。
 ミキサー出力の後の高周波増幅は2SC1906を使用しました。2SC1906はゲインが高く、入手も比較的容易なため採用しています。
 この後は2SC1815で高周波増幅を行い、終段の2SC2086でAM変調をかけて入力600mW、出力300mWを得ています。出力はフェライトビーズによる広帯域トランスを使用して安定動作を図りました。さらにその先にT型同調フィルターをつないで第2高調波以下のスプリアス対策としました。2SC2086は35Vの耐電圧があり、0.8W程度のコレクタ損失があることから終段に使用しました。
 変調は終段の2SC2086に変調器LM386Nの出力をトランスを介して接続し終段コレクタ変調をかけています。また、より深い変調をかけるため前段の2SC1815にも軽く変調をかけています。変調器はLM386Nで、汎用性の高さと、コンデンサマイクを使用することで十分な変調をかけられることから採用しました。変調トランスはST-83(0.2W)ではなくST-41A(0.7W)を使用しています。大きなトランスを使用することでより良好な変調を得られるようにしました(参考リンク:サンスイの小型トランスの規格表)。
 送信表示は送信電波の一部をコンデンサで取り出して、ダイオードで整流した出力をトランジスタに加えてLEDを光らせました。コンデンサはLEDが点灯する最低容量ということで2pFにしました。

◎その他
 送受の切り替えは、動作の安定なリレーを使用しました。2SA1015はリレーを動かすためのスイッチング回路で、PTTスイッチに流れる電流を少なくして負担を減らしています。アンテナ端子につないでいる10kΩは送信時に直流電圧を出す抵抗で、外部リニアアンプを接続したときの送受切換のコントロールのために入れています。
 ケースはJR8DAG-2006AM(タカチAU-3,180mm×70mm×160mm,製造中止品)より一回り小さいLEAD社のPS-3(大きさ 160mm×70mm×130mm)を使用しました。電池を入れるスペースが無くなりましたので、ケースの外に実装して交換を容易にしました。
 ケース加工は、面倒な角穴を無くしています。すべて丸穴なので、ドリルとリーマがあれば加工ができます。パネルの文字は従来はサンハヤトのレタリングを使用してきましたが、レタリングの入手が難しくなってきたこともあり、ネームランドテープの透明テープ黒文字を使用して印刷したものをケースに貼り付けました。この方法はインスタントレタリングに比べると使える色やフォントの自由度が高いことがメリットです。塗装の色は、パネル面は塗装せず、ケースの色をそのまま採用しました。カバーはAMで統一して採用している水色としました。