6m QRP AM トランシーバ(JR8DAG-2006AM) - 回路設計の考え方 -

2006.01.22 作成 / 2006.08.23 修正

JR8DAG2006AMの回路図
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 ◎大まかな考え方
・再現性と動作の安定性を重視する。
・6mAMをQRPで運用するための基本性能を確保する。
・バッテリを内蔵するなど移動運用での使い勝手の向上を図る。

 ◎受信部
 受信部は回路が簡単で高感度が得られるシングルスーパーヘテロダイン方式としました。中間周波数はイメージ混信を減らすため10.7MHzと高くし、選択度を確保するためラダー型の水晶フィルターを使用しています。中間周波数を10.7MHzに選定すると、VXOの水晶を20MHzとすることができます。周波数の選定は既製品の水晶が入手できることも考慮したうえで決めています。
 高周波増幅は少ない部品点数で高感度が得られる2SK241を使用しました。ソースに抵抗とコンデンサを入れて動作の安定性を高めています。これまでは2SK439を多用してきましたが、サトー電気の広告を見ると価格が上がってきており、これは将来的に入手が困難になる予兆と考え、本作品では2SK241を使用しました。
 ミキサーも2SK241を使用しましたが、ソースの抵抗を4.7kΩと大きくして安定で確実な動作を行うようにしています。
 受信部の選択度を決めるフィルターにはラダー型水晶フィルターを使用しました。SSBでは8素子ほど使用しますが、AMでは4素子あればEs等の交信でも十分に使えることと、多少でも部品点数を減らすことを考え、本作品では4素子としました。
 中間周波増幅は高周波増幅と同じ2SK241を使用しました。RFC、コンデンサの同調回路にQダンプ用の抵抗を接続することで帯域幅を広げた半同調増幅にしています。4.7μHと47pFで10.7MHz付近の同調回路を構成し、並列に抵抗を入れて帯域を広げ無調整化してます。中波放送の混入を防止することと、無調整化をするためにこのような回路になっています。中間周波増幅も、高周波増幅と同様、2SK241のソースに抵抗とコンデンサを入れて安定化を図りました。L4のアース側には0.01μFと0.1μFが並列に接続されていますが、これも中波放送の混入を防止するために入れています。
 AGCは後段の中間周波増幅回路から信号の一部を取り出し、整流回路でマイナスの電圧を発生させ、高周波増幅、及び中間周波増幅にフィードバックする簡単なものとしました。AMRC-696ではAGCを検波回路と一緒にしていましたが、AGCの効き具合を改善するため、検波回路と分離しました。
 検波回路はショットキーバリアダイオードの1SS106を使用しました。負荷抵抗の値は動作の安定性と感度のバランスから1kΩにしました。
 検波回路の後には、ノイズリミッター回路を入れました。効果はそれなりですが、ないよりは良いという感じで入れました。
 2SC1815の低周波増幅は、LM386Nの低周波増幅だけでは、音量が不足していたため追加しました。当初、LM386Nのゲインを上げたため、不要になると考えていましたが、この2SC1815の低周波増幅回路は増幅以外の役割もあるようで、削除はできないようです。
 低周波電力増幅はすでに定番となっているLM386N(NJM386BD)を使用しました。1番ピンに100μFと22オームを直列に接続し、約60dBほどの利得を得ています。LM386Nの入力(2番ピン)に抵抗と積層セラミックコンデンサがありますが、これは送信時にLM386Nの動作を止める回路で、送受切換時の耳障りな音を少しでも減らすために入れています。
 受信周波数を可変する方法としては、簡単に高い安定度の得られるVXOとし、水晶は入手のしやすい20MHzです。周波数を可変させる素子は安定度の高いバリコンを使いました。VXO発振回路は2SK241を使用しました。FETはトランジスタに比べると出力は少ないものの安定度に優れているようですので採用しました。周波数は19.925〜19.975MHzを発振させ、その周波数を次段で2てい倍して39.85〜39.95MHz、中間周波数の10.7MHzを足して、運用周波数は50.550〜50.650MHzの100kHz幅となるようにしました。AMは主に50.500〜50.700MHzで運用されていますが、多くはこの辺りの周波数に出てくること、各地のAMロールコール運用周波数や50.620MHzのQRP局の運用周波数を含んでいるため、実用性に問題ないと判断しました。
 なお、発振回路はこれまでは2SK192Aを使用してきましたが、部品の共通化を図る目的から2SK241に変更しました。
 LEDインジケーターはある一定の信号強度を越えるとLEDが点灯する回路です。スペースをとらずに相手局の信号強度の目安がわかるので組み込んであります。

 ◎送信部
 送信部の局部発振は2SK241を使用しました。AMRC-696では2SK192Aでしたが、VXOと同様に使用部品の共通化を図るため2SK241に変更しました。同調回路はソースに小容量のコンデンサを介して接続することにより、近接スプリアスの元となっている10.7×5=53.5MHzの信号を極力抑えるようにしました。
 周波数変換はダイオードDBM、FET、DBM用ICなど、いろいろと考慮した結果、部品の入手性を優先し2SK241を2個使用したシングルバランスドミキサーにしました。ミキサーとしての能力はSN16913Pより若干落ちることが想定されますが、出力は複同調とし、また、同調回路をハイCローLとして、近接スプリアスを抑えました。
 ミキサー出力の後の高周波増幅は当初2SK241で行おうと思いましたが、思ったほどの出力が得られなかったため、2SC1906に変更しました。2SC1906はゲインが高く、入手も比較的容易なため重宝するトランジスタです。
 この後は2SC1815で高周波増幅を行い、終段の2SC2086でAM変調をかけて入力400mW、出力200mWを得ています。出力はフェライトビーズによる広帯域トランスを使用して安定動作を図りました。さらにその先にT型同調フィルターをつないで第2高調波以下のスプリアス対策としました。2SC2086はAMRC-696で使用した2SC1973に比べるとゲインは落ちますが、35Vの耐電圧があり、0.8W程度のコレクタ損失があることから終段に使用しました。ゲインが低下する分は、他の増幅器のゲイン配分を変えることで対応しています。
 変調は終段の2SC2086に変調器LM386Nの出力をトランスを介して接続し終段コレクタ変調をかけています。また、より深い変調をかけるため前段の2SC1815にも軽く変調をかけています。変調器はLM386Nで、汎用性の高さと、コンデンサマイクを使用することで十分な変調をかけられることから採用しました。変調トランスはST-83(0.2W)からST-41A(0.7W)に変更しました。大きなトランスを使用することでより良好な変調を得られるようにしました。(参考リンク:サンスイの小型トランスの規格表
 送信表示は送信電波の一部をコンデンサで取り出して、ダイオードで整流した出力をトランジスタに加えてLEDを光らせました。コンデンサはLEDが点灯する最低容量ということで2pFにしました。

◎その他
 送受切換は動作の安定なリレーを使用しました。2SA1015はリレーを動かすためのスイッチング回路で、PTTスイッチに流れる電流を少なくして負担を減らしています。アンテナ端子につないでいる10kΩは送信時に直流電圧を出す抵抗で、外部リニアアンプを接続したときの送受切換のコントロールのために入れています。
 リレーとアンテナにあるπ型LPFは、90.4MHzのSTV(FM補完放送)の混入を防止するために入れたものですが、送信のスプリアス特性を向上させることも兼ねています。90.4MHzは局発の2倍波と混合することで10.7MHzが出力されるために生じており(90.4MHz−39.85MHz×2=10.700MHz)、受信部L1のコイルだけでは除去できないため、アンテナにLPFを入れることで対策としました。
 ケースはAMRC-696と同じタカチ社のAU-3(180mm×70mm×160mm)を使用しました。このケースは、比較的安価で大きさ的にも使いやすいことから採用しています。移動運用での使い勝手を向上させるため、単3ニッケル水素電池10本を内蔵できるようにしました。
 ケース加工は、面倒な角穴を無くしました。すべて丸穴なので、ドリルとリーマがあれば加工ができます。パネルの文字は従来はサンハヤトのレタリングを使用してきましたが、レタリングの入手が難しくなってきたこともあり、本作品ではインクジェットプリンタで透明紙に印刷してプラスチック板に張り付ける方式としました。この方法はインスタントレタリングに比べると使える色やフォント、絵柄などの自由度が高いことがメリットです。塗装の色は、パネル面は従来の自作機と同様にグレーにしました。カバーは水色と青緑で少し迷いましたが、AM機はAMRC-696以外は水色で統一していますので、水色にしました。