自作で楽しむ 6m QRP AM トランシーバ(JR8DAG-2006AM) 〜 6mAM自作機のスタンダードをめざして 〜

2006.01.22 新規作成 /2006.07.31公開 / 2017.04.25 更新
ハムフェア2006自作品コンテスト規定部門優秀賞第二席

 ◎はじめに
 本作品は製作のしやすさや再現性を確保しつつ、6m QRP AM運用を実用的に楽しむことができる使い勝手の良い自作機のスタンダードをめざして、これまでの10年以上にわたる6mAM運用で積み上げてきたノウハウや技術を生かしながら製作しました。本作品はJR8DAGが2006年に製作した6mAMトランシーバーということで「JR8DAG-2006AM」という名称を付けました。なお、最後の6AMは6mAMも意味しています。

 ◎ハムフェア2006自作品コンテストへの出品について
 2006年1月、ハムフェア2006自作品コンテストの規定部門のテーマが「50MHz帯AMトランシーバ」と発表されました。このテーマが設定されるとは想定していませんでしたので、正直驚いたのと、しかも50MHz帯という周波数まで限定されている点も???でしたが、自作6m QRP AM機で運用を行っている管理人としては、作品を出品して入賞をめざすべきであると判断しました。
 次に、どのような作品を出品するかですが、ハムフェア2003自作品コンテストMicro6AM2002を出品した時点で6mAM機に関してはほぼネタ切れというのが当時の状況でした。一方で、自作品コンテストの入賞作品の傾向を見ていると、5年以上の長期間にわたって製作可能な再現性があり、かつ実用的に使用できる自作機が少ないように見受けられたことから、新たな6mAM自作標準機を開発する意義はあるとも感じました。自作6mAM標準機をめざした作品として1996年にAMRC-696を製作していましたが、製作から10年が経過し入手が難しくなった部品が出てきたことで再現性が低下したことなどから、2005年に新たな自作6mAM標準機をめざしたAM-6s2005を製作しました。自作品コンテストにこのAM-6s2005を出品しても良かったのですが、外観を見ると試作品的な要素があったことと、大きさも自動車の移動運用においてもやや大きく感じたので、この大きさをAMRC-696と同じにできないかと考えて、AM-6s2005の回路をベースにして新たな6mAM機を製作し出品することとしました。
 本作品はハムフェア2006自作品コンテスト規定部門優秀賞第二席に入賞することができました。自作品コンテスト表彰時におけるJARLコメントでは本作品は上手くまとめていた点が評価されたようです(当時の審査委員長のコメントをYoutubeにアップロードしています)。

 ◎作品の名称について
 テーマが「50MHz帯 AMトランシーバ」と言うことにもかかわらず「6mAM」としたのは、やはり波長で表した方が実感があると考えたためです。タイトルに「自作で楽しむ」をつけたのは、ハムジャーナルNo.76(1991年11,12月号)でJR8DAG-9の記事を書いたとき、当時の編集部が標題のサブタイトルとして「自作で楽しむQRP」と追記していました。当時からこの表現が気に入っていたので、今回の作品提出にあたってタイトルに「自作で楽しむ」と入れました。

 ◎製作にあたっての目標
 基本的にAM-6s2005と同じように6mAM自作機のスタンダードをめざすと言うことで以下のとおり目標を定めました。
1) 再現性を重視する。
2) 6mAMをQRPで自在に運用するための性能を確保する。
3) 移動運用での使い勝手の向上を図る。

 ◎本作品の主な特徴
(1) 6mAMをQRPで自在に楽しめる使い勝手の良い周波数可変トランシーブトランシーバーで、50.480〜50.650MHzを運用可能。周波数可変には簡単な回路で十分な安定度の得られるVXO(可変水晶発振)を使用し、これを送受で共用することで、トランシーブ操作を実現。
(2) 先行試作を行うことにより回路、部品の入手、製作における再現性を確保。また、同時に交信が可能かどうかといった運用面での実用性も確認。
(3) 受信部はIF(10.700MHz) に4素子のラダ−型水晶フィルタ−を使ったシングル・スーパー・ヘテロダイン方式で、AM交信に必要な感度、選択度を確保。ノイズリミッターを内蔵して外部ノイズ対策を実施。
(4) 送信部は終段に2SC2086を使い、入力400(mW)、出力200(mW)。変調方式は終段コ レクタ変調で送信出力に比べて大きな変調トランスを使用したことにより良好な変調を得ている。
(5) 周波数構成の検討やコイルの使い方を工夫し、必要なスプリアス性能を確保。
(6) 大きさは幅180mm×高さ70mm×奥行160mm(突起物除く)で自動車での移動運用もしやすい大きさ。さらに、電源を内蔵することで移動運用の使い勝手が向上。重さは電池込みで約950g。

 ◎回路について
 回路はAM-6s2005と同一です。
 回路図回路設計の考え方については、下のコンテンツをクリックしてご覧ください。

 ◎使用感など(2017.04.25現在)
 2006年4月から運用を開始し、2017年現在、Esシーズンの他、コンテストや移動運用で使用しています。2017年4月25日時点で日本の全エリアおよび韓国の1,731局と交信でき、2016年6月12日に本作品による1day AJDも達成しました。受信は感度、選択度、安定度などの基本性能はメーカー機に若干劣る程度でAM交信には十分な性能があります。送信音は変調トランスを大きくしたことなどもあり良好な変調であるとのレポートをいただいています。
 6mAMは運用局数が少ないため交信はなかなか難しいですが、Es伝搬等のコンディションに恵まれれば他エリアとの遠距離交信も十分に可能です。バッテリは10〜15時間の運用、60〜80局の交信で電池交換が必要な感じです。本作品は受信性能や送信音質については必要なレベルを確保し、周波数もAMで主に使用される周波数をカバーしており6mAMをQRPで自在に楽しめる実力があると考えます。また、約10年の長期間にわたって交信が行える能力が本作品にあったことも実証できたのではと思っています。
 製作から10年経過しましたが、部品は製造中止品があるものの、現在でもコイルを始め同等の性能を有する代替品が入手できることから、本作品の製作は何とか可能であると思います。また、本作品をベースに28MHz機の10m QRP AMトランシーバー(JR8DAG-2010AM)、21MHz機の15m QRP AMトランシーバー(JR8DAG-2015AM)、7MHz機の40m QRP AMトランシーバーJR8DAG-40AM2015)も製作しており、他の周波数に変更することも可能な設計となっています。本作品が6mAMの自作トランシーバーの参考例となれば幸いです。

Youtube(M.Kannoチャンネル)に本作品を使用した交信の様子をアップロードしました。リンク先は以下のとおりです。
6m(50MHz) QRP AMでの交信(2015年) - YouTube (再生リストです)
6m(50MHz) QRP AMでの交信(2016年) - YouTube (再生リストです)
2015.07.18 JA4TSF局との交信(50MHz,QRP,AM)
2015.07.19 JR3KQF局との交信(50MHz,QRP,AM)
2015.07.25 JR3KQF局との交信(50MHz,QRP,AM)
2015.07.25 JJ1SWI局との交信(50MHz,QRP,AM)
2015.08.29 JJ1PIJ局との交信(50MHz,QRP,AM)(JJ1PIJ局録画)(JJ1PIJ局の録画によるものです、本作品の信号がどのように聞こえたか確認できます)
2016.04.24 JA8CXX局との交信(50MHz,QRP,AM)
2016.05.20 JA2OPP局との交信(50MHz,QRP,AM)
2016.05.29 JJ1SWI/1局との交信(50MHz,QRP,AM)
2016.06.12 JR3KQF/QRP局との交信(50MHz,QRP,AM) ←→ JR8DAG/0.2W ←→ JR3KQF/0.05W 2016/6/12 17:12(JR3KQF局の録画によるものです)

◎本作品の概要動画を作成しました。
 本作品の概要を動画で作成し、YouTube、ニコニコ動画にアップしました。リンクは以下のとおりです。
自作で楽しむ6m QRP AM トランシーバー(JR8DAG-2006AM)(2016.05.05版) - ニコニコ動画:GINZA
6m QRP AM トランシーバ(JR8DAG-2006AM) - YouTube
6m QRP AM トランシーバ(JR8DAG-2006AM) - ニコニコ動画:GINZA

JR8DAG/菅野 正人

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【コンテンツ】

回路図はこちらです(2016.04.24現在 , circuit , 約76kB)

作品概要(ハムフェア2012ブース展示用説明分,2012.11.23,PDF形式,約321kB)

製作の経過(2006.07.29現在)

回路設計の考え方(2006.08.23現在)

プリントパターン(2006.02.18作成/2014.04.27修正 , 約50kB)

部品配置図(主なもの,2007.01.01作成/2014.04.27修正 , 約73kB)

自作品コンテスト提出書類(2006.07.31,PDF形式)

自作品コンテスト展示用説明文(2006.07.31,PDF形式,約150kB)

スペクトラムアナライザの計測結果(2014.02.06,約97kB)

自作品コンテストにおける動作試験測定データ(2006.11.25,約91kB)

入賞カップと並べた写真(2006.08.31,約53kB)

自作品コンテスト賞状(2006.08.29,約98kB)
【更新情報】
2017.04.25 使用感などの記述を更新
その他、ページ全体の文章を修正
2017.02.19 使用感などの記述を更新
2016.10.28 使用感などの記述を更新
その他、ページ全体の文章を修正
2016.06.23 Youtubeに交信の様子をアップロード
使用感などの記述を更新
2016.06.04 Youtubeに交信の様子をアップロード
使用感などの記述を更新
2016.05.05 ニコニコ動画に本作品の概要動画(第2版)をアップロード
使用感などの記述を更新
2016.04.24 送受切換時にリレーと並列に接続している100μFの電解コンデンサを10μFの積層セラミックコンデンサに変更しました。
Youtubeに交信の様子を追加
2016.03.31 使用感などの記述を更新
2015.12.04 Youtubeに本作品の概要動画をアップロード
2015.11.29 ニコニコ動画に本作品の概要動画をアップロード
Youtubeに交信の様子をアップロード
2015.10.14 トップページの記載を変更
使用感などの記述を更新
2015.07.01 トップページの記載を修正
使用感などの記述を更新
2015.04.11 使用感などの記述を更新
2014.12.22 使用感などの記述を更新
その他、文章の記述を修正
2014.04.27 プリントパターンに間違いがありましたので修正しました。
2014.02.06 スペクトラムアナライザの計測結果をアップロード
2014.01.18 使用感などの記述を更新
2013.05.26 送信から受信に切り換える際の音が大きくなっていたので、送信時に受信部のLM386N(IC1)を止める回路の電解コンデンサ(4.7μF)を積層セラミックコンデンサ(4.7μF)に変更しました。
使用感などの記述を更新
2012.11.23 ハムフェア2012のブース展示で配布したパンフレットに掲載している作品概要をアップしました。
2012.11.22 使用感などの記述を更新
2012.06.23 送受切換時にリレーがばたつくことがあったこと、また、キャリブレート回路に使用しているダイオードの耐電圧特性を高めるため、キャリブレート回路および送受切換リレーのダイオードを1S1588(小信号シリコンダイオード)から100V1Aの整流ダイオードに変更しました。
使用感などの記述を更新
2012.02.29 使用感などの記述を更新
2010.08.31 使用感などの記述を更新
2010.06.10 作品の定格、系統図を追加しました。
VXOを調整し、運用周波数を50.550〜50.650MHzから50.480〜50.650MHzに変更しました。
使用感などの記述を更新
2007.01.01 主な部品配置図をアップロード
2006.11.25 動作試験の測定結果のアップロード
2006.08.31 コンテスト賞状、入賞カップのアップロード
2006.08.10 回路設計の考え方を修正
2006.08.03 本ページの更新
2006.07.31 自作品コンテスト提出書類アップロード
2006.07.29 自作品コンテスト第2次審査結果通知、優秀賞第二席
2006.06.11 自作品コンテスト第2次審査作品提出
2006.05.28 自作品コンテスト第1次審査書類結果通知
2006.05.03 自作品コンテスト第1次審査書類提出(規定部門)
2006.04.15 運用開始
2006.02.18 プリントパターン作成
2006.01.20 ホームページ作成(非公開)


◎本作品とAM-6s2005との比較
JR8DAG-2006AM AM-6s2005
回路 同じ 同じ
大きさ 180mm×70mm×160mm
タカチ AU-3
200mm×70mm×700mm
タカチ KB-4
電源 単3ニッケル水素電池10本内蔵可能 単3ニッケル水素電池10本内蔵可能
部品の実装方法 プリンタパターン作成
15cm×10cm
FCZ基板や生基板を利用した
表面実装
パネル プラスチック板にインクジェットプリンターで
印刷したシールを貼り付け
パネルの文字はネームランドPCで
作成


外観の写真 外観の写真(exterior)
タカチのAU-3を使用
ドライバを使わずに電池交換が可能
(大きさ size 180mm×70mm×160mm)
撮影:CANON EOS Kiss X2 画像編集:PaintShopPro6J

クリックすると拡大画像を表示します(約180kB) 内部の写真(左:送信部,右:受信部)
上から見たところです
(単3ニッケル水素電池10本を内蔵しています)
Left:TX Right:RX
撮影:CANON EOS Kiss X2 画像編集:PaintShopPro6J

クリックすると拡大画像を表示します
本作品の系統図

【本作品の定格】
[共 通]
周波数 50MHz
電波型式 AM(A3E)
使用半導体 2IC 8TR 9FET 17Di
電源電圧 DC 12.0〜13.8(V)(標準)
消費電流
受信無信号時 60(mA)
送信無変調時 150(mA)
送信最大時 220(mA)
空中線インピ-イダンス 50(Ω)
外形寸法 180(W)×160(D)×70(H)
(単位 mm , 突起物を含まず)
重量 950(g)(単3ニッケル水素電池10本込み)
局発発振方式 可変水晶発振(VXO)
発振周波数 39.780〜39.950MHz
[送信部]
終段入力 12.0(V)× 35(mA) ≒ 400(mW)
出力 200(mW)
終段石 2SC2086
不要輻射 -50(dB)以下
変調方式 終段コレクタ変調
[受信部]
受信方式 シングルスーパーヘテロダイン方式
中間周波数 10.700MHz
受信感度 0dB(uV)程度 (S/N 10dB)
選択度 ±3kHz(-6dB),±6kHz(-40dB)


◎コンテストでの入賞歴(2007年12月31日まで掲載)
 2008年以降の入賞記録は現在までのQRP記録のページをご覧ください。
2007.12.23 第23回1エリアAMコンテスト1エリア外部門8エリア1位
2007.10.06 - 2007.10.07 第28回全市全郡コンテスト電信電話部門シングルオペ50MHzバンドQRP北海道1位
2007.04.28 - 2007.04.29 第49回ALL JAコンテスト電信電話部門シングルオペ50MHzバンドQRP北海道1位
2007.01.01 - 2007.06.30 6mAMマラソンコンテスト(2007年前半)8エリア1位
2006.12.23 第22回1エリアAMコンテスト1エリア外部門8エリア1位
2006.10.07 - 2006.10.08 第27回全市全郡コンテスト電信電話部門シングルオペ50MHzバンドQRP北海道1位
2006.07.01 - 2006.12.31 6mAMマラソンコンテスト(2006年後半)8エリア1位
2006.08.19 ハムフェア2006自作品コンテスト規定部門優秀賞第二席
2006.04.28 - 2006.04.29 第48回ALL JAコンテスト電信電話部門シングルオペ50MHzバンドQRP北海道1位
2006.01.01 - 2006.06.30 6mAMマラソンコンテスト(2006年前半)8エリア1位


◎交信実績(2006.08.26まで掲載)
2006.08.26 2,6エリア3局と交信 札幌市北区(常置場所)
2006.06.04 1,2,4,9,0の41局と交信 上川郡比布町移動
2006.05.28 8エリア3局と交信 河東郡鹿追町移動
2006.05.27 1,4エリアの3局と交信 河東郡鹿追町移動
2006.05.23 8エリア1局と交信 美唄市移動
2006.05.20 1エリア2局と交信 横浜市磯子区円海山移動
2006.05.13 8エリア1局と交信 札幌市北区(常置場所)
2006.04.29 8エリア1局と交信 札幌市北区(常置場所)、ALL JAコンテスト
2006.04.15 8エリア1局と交信 札幌市北区(常置場所)