(0)そもそもの「きっかけ」
2002年11月にARRL/VEC東京チームの試験があり、興味半分で受験したところ、
仙台を新幹線で出発するときには無資格だったものが、帰りにはAmateur Extraの合格
証明書CSCEをもらうことができました。
約10日で最初のコールサインAL1Uの割当がFCCのWeb上で確認でき、すぐにVanity
Callを申請して12月には新しいコールサインAL5Aが許可になっていました。
免許を手にしたら無線がしたい! 当たり前のように計画を練り始め、ターゲットに
したのが米国領のサイパン島。ここならWの免許で簡単に運用でき、よく知られた
世田谷旅行倶楽部(以下、旅行社)に頼めばレンタルシャックを日本語で予約できるしvv
で、5月下旬のWPX CW期間を予約できました。
しかし、イラクでの紛争やSARSのため、やむなくキャンセルすることとなりました▼
(0−2)突然の思いつき
9月には飛び石で4連休にできる週があることに気づき、8月末に旅行社にメールを
送ったらOKの返事。仙台空港からグアムまではコンチネンタル航空が就航していて、
通常は週4便しか定期便はないが、夏場の数ヶ月は毎日飛んでいるとのことで、帰りの
出発が早朝なのこと(2泊4日?)を除けば満足できるスケジュールでした。
急に予定を立てたため、参加者は1名。Mariana Resort & Spa のレンタルシャック
は6名が泊まれるだけのベッドが用意されていて、ちょっと贅沢なツアーです。
(0−3)AL5ってどこのプレフィクス?
運用していて何度も聞かれたことですが、AL,KL,NL,WLで始まるコールサインは全て
アラスカに郵便の住所を持っている人に割り当てられるものです。つまり、AL5は
アラスカのプレフィクスなんです。
私は今でこそフロリダの郵便転送会社を利用しています(米国では住所変更しても
コールサインの変更を申し込まなければ同じコールサインを継続できる)が、受験する
ときにはそのような知恵も無く、そのころ交信したWの局に「受験のために住所を貸し
てほしい」と次々にメールを送ったんです。怪しい日本からのメールに唯一返事をくれ
たのがAndre(=KL7AC)で、FCCからの免許を2回も転送してもらいました。
(1)事前準備
リグもアンテナもサイパンに用意されているので身軽に出発できます。運用する中身
に合わせ必要な機材を持っていくだけ。
去年、小笠原に持っていったパソコンにはロギングソフトやRTTY,PSK31,SSTVが入って
いるし、Wから50メガのEMEのリクエストがあったのでJT44のソフトだけを追加で
入れました。ただ、レンタルシャックにはYAESUが提供したリグしかないため、友人から
借りた取扱説明書を頼りにパソコン〜リグの接続ケーブルを作りました。
簡単な着替えとパソコンをスーツケースに詰め込んでの出国です!
(2)入国審査
仙台からグアムまでは約4時間かかります。グアムに到着する直前にコンチネンタル
の機内で入国に関するビデオを見せられるのですが、何かグアムでやらなければならな
いことがあるのに気づきました▼ (英語の次に日本語でも説明してくれている。)
旅行社からはサイパンに入るときの用紙を送ってもらっていたのでサイパンで出入国の
審査を受けるのだとばかり思っていたのですが、実際には乗り継ぎのグアムでも必要と
のことで、緑色の申請書を記入してパスポートと航空券を添えて出すと、パスポートに
判子を押し緑色の半券を返してくれます(この半券はサイパンへの搭乗口で回収です)。
で、グアムに滞在する人はそのまま外へ、サイパンやパラオなどに行く人はそのまま
ゲートの方に引き返します。帰りも同じ(逆方向)。緑の紙は山のようにあるのですが
日本と違いボールペンがありません(知らない土地での出来事にかなり焦ります)。
私も持っていなかったので携帯したほうがいいですね。
(2−2)グアムで暇つぶし
乗り継ぎまでの時間は十分にあったので、空港内のハンバーガ屋さんで腹ごしらえ。
場所柄、ちょっと割高な気もするのですが大きさは日本の2倍はあったかな。。。
グアムからサイパンまで、実際に空を飛んでいるのは30分くらいで、水平の飛行を
する間もなく着陸する感じでした。入国審査は簡単で、旅行社で送ってきた書類を出し
て終わりです。書類の写しをパスポートに綴じてくれますので帰る時までなくさないよ
うにしましょう。
空港にはホテルから迎えの車が来ており、約30分でチェックインできました。
(3)飲み水がない!
部屋には大きな冷蔵庫があるのです。でも中は空でした▼
夜10時まで売店が開いているので飲料水はここで買うしかないのですが、人里離れた
山の上からロビーに戻ってきたら既に売店は閉まっていました(大焦り)。やっぱ、人
には聞いてみるもので、フロントでも24時間売ってくれるとのこと(ただし、フロン
トでは500ccのみ)。
夜の便でサイパンに到着するのでしたら、チェックインの時、売店で買うのがいいで
しょう。カップラーメン(1種類)・ポテチ・おつまみ・ビール・ジュースも買えます。
(4)リグの設置
機材は全てばらされていて、リグはダンボール、機材は衣装ケース、増設用のアンテ
ナはスキーバッグに入っていました。私は1人で行ったためこじんまりとFT1000MP、
FT920、VL1000を設置しましたが、ケーブル類は全て同じダンボールに入っ
ていますので、接続だけ間違わなければ動作します。
あと、前にも書きましたが、パソコンでRTTYなどをやる場合にはケーブルは日本
から持っていく必要があります。私はICOMユーザなので直結でふだんは使っていま
す。そのつもりでYaesu用を作って持っていったのですが、パソコンからの電源
ハム音がリグに入り、VOXが利きっ放しになるという事象が発生しました▼ この信号
を止めるためはトランスをかませる必要があったのですが、トランスなど現地で売って
いるハズも無く、シャック内で利用できる物がないか探した挙句に117v−100vの
トランスを目的外利用させていただきました(笑い)。
ヘッドホンはたくさんありました。同軸も十分です。
(4−2)タワーのクランクアップ
クランクアップ初心者で、深夜の暗闇での作業。巻き取る加減がわからずに迷いまし
た。結局、単にハンドルを回すだけで上がっていきます。ロックは特になし。ワイヤが
切れるかな、、、と余計な心配をした瞬間です。
どうもローテータの指示とアンテナの方角がずれているようです。仕方ないので夜が
明けるのを待って太陽の影から北を推定しましたが、正確に方角を合わせるはコンパス
を持っていったほうがいいと思います。
(5)電話
旅行社の案内には電話機が2つ、と書いてありますが現在は1つになっていて、フロ
ントに電話するときには9なしの「322−0770」で、外線のときのみ頭に「9」
を付けます。電話が盗難に遭って、ピックアップしてもらえないのではないか、とかな
り焦りました▼ 日本と比べると雑音が多い電話です。当然、国際電話はOKです。
(5−2)ピックアップ
部屋とフロントの往復は車の送迎で、24時間大丈夫です。ただ、かなり忙しいみた
いで、電話して30分くらいは来ません。2回目の電話を入れると直ぐに来るようです。
(5−3)雨漏り
1人部屋が2つとも雨漏りしていました。ベッドメークに来た男性に話したら「修理
するようにボスにいう」、といっていたので直っていると思うのですが念のため。
半端な雨漏りではありません、部屋の中に水溜りが出来ていました、Hi。
(5−4)日本人スタッフ
現地スタッフの多くは地元の方やフィリピンなどから移住された方でした。日本人ス
タッフは、フロント前の旅行デスクに男性が、売店に女性がいますので、急用の時には
そちらに行かれたらいいと思います。丁寧に対応していただけます。
(6)椰子の実
たくさんの椰子の木が生えてて、実がごろごろ落ちています。ピックアップしにくる
方に聞いたら、おいしく飲めるとのこと。もし、体調に自信があれば1個拾ってきて飲
んだらいかがでしょう?(私はお腹が弱いので遠慮しましたが。)
ハンドドリルは工具箱にありますので、ストローをお忘れなく!
(6−2)ホテルでの食事
せっかくサイパンに行ったんだから南国の美味しい物でも食べてきた、と想像される
かもしれませんが、実は無線に夢中になってて<まともな物>を口にしていませんでし
た。簡単にまとめると;
・日本から持っていったカップラーメン 2個
・スプリングス ポテトチップス 1缶
・サッポロポテト バーベキュー味 1袋
・缶ビール(一番絞り) 4本
・缶コーヒー 1本
・缶コーラ 1本
・ミネラルウォーター(大・小) 4本
コテージに準備されていた電熱器とヤカンはありがたかったです。
(7)荷物が行方不明?@仙台空港
荷物を待っていると、「お客様の黒井様、カウンターまでお越しください」とアナウ
ンスが入り、恐る恐る行ってみると・・・「たいへん申し訳ございません、お客様の荷物は
手違いがありグアムで別の便に積み込まれてしまいました」と。「???・・・」はて。
急なことで、でも荷物の中にはパソコンが入っていて、交信記録も全部そこに入っている
のになあ〜・・・どうぇ〜
しばらく考え込んでいたら、ベルトコンベアの上を自分の荷物が横切って行く・・・
あれ?
結局<手違い>は積込記録の方ってことが分かり(おいおい・・・)、無事に荷物を引
き取ることができました。
(7−2)男の1人旅は怪しい?@仙台空港
税関の女性職員にいろいろ正直に答えていたら かなり怪しまれました。
特に「現地で誰とも会わずにアマチュア無線をしていた」といったら「天体観測ですね・・・」
と(なんのこっちゃ?)。まあ、EMEに挑戦する時にお月さんを見上げたので間違いでは
ないんでしょうが。
何かチグハグな会話が続き、手荷物検査を受けることに。「モールスを乱射してきた」
なんていったら別室にでも案内されたのでしょうか?
(8)運用結果
表にまとめたとおり、約2,200局と交信できました。残念ながら、50メガのEMEは
交信に至りませんでした。南北アメリカのパスが開けなかった代わりにヨーロッパへは
よく飛んでいったようです。撤収する前の8時間にわたり21メガではヨーロッパへの
十分なサービスができました。
(8−2)QSLインフォメーション
全ての交信に対してカードは作成済で、今日現在、SASEでの請求については郵送済で
す。JARLのコールブックではJH0MGJの設置場所が新潟(実家)になっているために、か
なりのJAが実家にSASEを送ってきており、支障をきたしています。また、JAから、
わざわざフロリダに送っている方もおり、転送費用が馬鹿になりません。これがJAの
常識だとしたら非常に残念なことです。。。
なお、年内いっぱいはSASEを待ってカードはこちら(仙台)に置いておき、新年早々
にビューロー(日本かアメリカ)にまとめて郵送する予定です。
(9)最後に
今回のサイパン運用にあたり、世田谷旅行倶楽部の川村さん、Mariana Resort & Spa
スタッフの皆さん、スポンサーの各社、そして交信していただいた皆様に深く感謝いたします。
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