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おしゃれ泥棒

「おしゃれ泥棒」という映画がある。

原題「How to steal a million」というものだが、これが何時ごろの映画か定かに覚えていない。

若いときから題名だけは知っていた。

実に面白い映画である。

これのDVD版を買ってきて、PCのデイスプレーで見てみた。

テレビの画面でも見てみたが、PCのデイスプレーで見るとまた違った雰囲気で楽しめる。

というのも、face to faceという感じで、小さな宝石箱をひっくり返して、その中から宝物を探すというような気持で見れる。

実に大人の映画だ。DVDの箱に書かれているライナーノートによると、次のように記されている。

「美術の愛好家であり、収集家、美術品を美術館に寄付する篤志家とも知られているシャルル・ボネ。

しかし、誰も彼のコレクションを見た人がいない。それもそのはず、彼は天才贋作家だった。

一人娘の二コルは何とかその悪事を止めさせようと胸を痛めていた。

ボネを不審に思った美術商は私立探偵サイモンを雇う。

ところが家に忍び込んだ彼は、まんまと二コルに見つかってしまう。

彼を泥棒と信じ込んだ彼女は、父親の悪事がばれる前に美術館に侵入し、父親の贋作であるビーナス像を盗み出してほしいと依頼するが・・・・・・・・・・・

世界の女性が憧れたジパンジー・ファッションに身を包んだオードリー・ヘップバーンが、スタイリッシュなパリの街を舞台に魅せる盗みと愛のテクニック・・・・・・・・」

となっているが、この文章はあくまでも映画を見せるための宣伝文句で、映画そのものはもっともっと面白く、はらはらどきどき、そしてヘップバーンとピーター・オトールの会話に絶妙な面白さがある。

この映画のキャッチ・コピーとしてはロマンチック・コメデイーという言葉が使われているが、まさしくコメデイーである。ペップバーン扮するところの二コルが、さまざまな思い違い、勘違い、早とちりをするわけで、それをフォローするピーター・オトールと会話に実に軽妙な笑いが隠れている。

最後の最後まで二コルは彼の本職が私立探偵で、贋作を追い求め、それを糾弾する立場だということがわからず、彼を相棒に引き釣り込んで父の名誉を保とうとする辺りが非常に微妙な面白さがある。

最初、彼をこそ泥と思っていたが、いざ実行に移す段になるとプロの泥棒と思い始め、その過程で愛が芽生えるという設定で、蓋をあけてみると彼自身も物を盗むということは始めてであった、というどんでん返しがあった。

ある意味では大人の漫画的な要素も多分に持っている。

この中でアメリカの大富豪という触れ込みで登場している、イーライ・ウオラックという俳優は、脇役として秀逸だと思う。彼は「荒馬と女」というクラーク・ゲーブルとマリリン・モンローの映画にも共演しているが、実に優れた脇役だと思う。少しばかりコミカルな演技が実に上手い。

 

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