昔、「黄金の腕」という映画があった。
何時ごろの映画であろう。
定かに覚えていない。
定かに覚えていないが、このテーマソングだけは耳に残り続けていた。
それで、最近、近くのスーパーマーケットに行ったら、CDやDVDの投げ売りコーナーに山積みで売られていた。
値段を見るとたったの500円ではないか。
迷うことなく買ったが、かってこの映画は確かに題名は知っていたが、その内容は全く未知のものであった。
テーマソングだけが耳に残っていただけの映画であった。
しかし、主演がフランク・シナトラである。
これも知らなかった。
シナトラの奥さん役がエレノア・パーカーとなっているが、これは私にとっては未知の女優である。そしてシナトラを助けるガールフレンドの役がキム・ノバックであった。
で、その内容というのは、結局のところ、麻薬の中毒患者が自分の意志で麻薬の誘惑に打ち勝つ、という麻薬患者更正映画のようなものであった。
フランク・シナトラがドラマーとして、薬と縁を切ってデビューするかしないか、という点が見所ではあるが、結局のところ彼がドラムを演ずるところは最後までなかった。
麻薬を打つとこういう苦労をしなければ、薬から逃れることができなくなるから、してはいけませんよ、という意味では非常に説得力のある映画であったが、フランク・シナトラがドラマーを演ずることを期待してみていた私にとっては、気の抜けたビールのようなものでしかなかった。
ライナー・ノートによれば1965年のアカデミー賞を取ったとなっているが、こういう賞もある意味では興行成績を上げる手段に成り下がって、本当の意味での価値を表しているものではないと思う。
映画に文化的価値を見出そうと思うほうが本当はおかしいわけで、映画の芸術性などというと、わけのわからない、面白くもおかしくもない作品になってしまうわけで、いっそのことアカデミー賞なども人気投票で決めればいいと思う。
知った昂ぶりの有名人が、もったいぶった評価などせずに、大衆に受けたものから順に与えればいいと思う。
この映画、配役の割には面白くもおかしくもなかった。