050525  呉儀副首相のドタキャン

呉儀副首相のドタキャン

 

平成17年5月24日の中日新聞1面の報道によると、自民党幹事長武部氏が中国の王家瑞対外連絡部長と会談した際、武部氏は「条約には内政に関する相互不干渉の原則が明記されている。そうした点からの配慮も必要ではないか」と正したのに対して、王氏は顔色を変えて「今、あなたは何といったか。一般の日本人ならいざ知らず、与党幹事長だ。信じられない発言だ」と激怒したと報じられている。

武部氏の発言は当然のことだ。

ただしすぐに「言いすぎだった」と誤ってしまったので、台湾では非常怒っている。

この短い記事から推し量られることは、王家瑞という人は、自民党幹事長というものをよほど偉い人、政治の中枢にいる人と思い込んでいるということがわかる。

恰も自分たちの中国共産党の幹部というニュアンスで捉えている節がある。

「一般の日本人ならいざ知らず」というフレーズは、「政府関係者ではない、つまり統治に関わりを持たない有象無象の無知蒙昧な一般大衆を統治している貴方が」、「一般大衆からは超越した存在である貴方が」、というニュアンスがこの言葉から汲み取られる。

そのことは、基本的な民主主義とか民主政治というものが彼の頭の理解の外にあるわけで、それはそのまま中国の政治の状況を映し出していると思う。

中国共産党、中国政府というのは、一般大衆から超越した存在であり、無知蒙昧な大衆を管理、監督するものだという、古典的な中国の政治の状況をそのまま映し出していると思う。

だからこそ21世紀に至っても中華思想が抜けきれず、自分たちが宇宙の中心で、日本は中華思想の一番外側の夷狄として、東海の小島の野蛮人という感覚でしか我々を見ていないのである。

これがあるからこそ、呉儀副首相の小泉首相との会談をドタキャンもあったわけで、要するに日本と中国では価値観が全く違っているわけで、違った土俵で「お互いに協力しましょう」と言い合ってもかみ合わないのは当然である。

我々はチャイナ・ドリームから目を覚ますべきで、福沢諭吉が「脱亜入欧」といったことを再度、検討する時期に来ていると思う。

 

Minesanのエッセイに戻る