父の純愛物語
私の親父は平成11年90歳で天寿を全うした。
その間に、2度妻を娶ったが2度とも先立たれた。
先妻は昭和27年に三人の育ち盛りの男の子を残し
二度目の妻には子育てと云う大命題を前に、
惚れた腫れたという感傷に耽る暇も無かったに違いない。
それだけに先妻のことが頭に残っていたのであろう
二度目の妻を送って2年後(昭和59年)
もう後妻に対する遠慮も薄れ掛けた頃、
これを記したようだ。
最初はラブラブの新婚生活が、戦争を経る事で
物悲しくも哀れな生活に変異していく様が読み取れる。
これは父にとっては妻の話であるが、私にとって母、生母の物語である。
いわば私の前史とも言うべきものである。
父がこれを認めている頃、私は父のしている事をせせら笑っていた。
自分がまさか自分史に興味を持つとは夢にも思わなかったからである。
親子とは妙なところで似たような事をするもののようだ。
原稿用紙250枚に亘る父の若かりし頃の生活は凄惨な生き様のようだった。
それに比べてわが身の幸福を心から感謝しなければならない
と思いながらワープロ化した次第である
平成15年11月
長谷川 峯生。