ISOとKAIZENの部屋
     
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I KAIZEN(生産改善)のページ


生産の海外移転を手をこまねいて見ているか?
TOC(制約条件の理論)を学ぶ=JITを超えた生産方式となり得るか?
他社に真似の出来ない生産のしくみを作る
日本の製造空洞化を乗り切る一提案=新5Sで行こう     
標準化生産

 いま5Sを考える
 5SとISO

生産の海外移転を手をこまねいて見ているか?
 中国を始めとした海外生産への移転がすごいスピードで進んでいる.工賃が、日本の20分の1、10分の1と言われるともう降参とばかり海外へと草木もなびいている.確かに海外のほうが計算上も有利となる分野はあるが、移転を決意する前にちょっと待て、TOCで見てみようということをお勧めする.
判断の根拠
1)標準原価方式で、日本の分単価は、60円、中国は、10円という比較をしたら要注意.
2)会社として、日本の工場で作りきれないのか?今でも手余りなのかで判断は違う.
3)市場はどこかにより判断は異なる. 日本?、世界?中国国内を狙う?
4)日本では、とことんやりましたか? 1日24時間、365日稼動しましたか?=日本のコンビ二では、1日24時間、365日稼動あたりまえ.元旦、盆、大晦日勤務あたりまえ. 製造業は、GW,年末年始、夏休み、土日休み、昼8時間勤務が普通.これで勝てますか?
5)JITは日本が進んでいると思っている方は、中国を見てください. 5Sも、JITも日本以上のことをやっている会社がいくらでもあります. 

以上から、もうだめだと思って、あきらめた企業は残念ながら白旗を上げるしかない.
まだやるべきことがたくさんあると思う企業は、チャンスがある.
生き残るために、日本製造業もがんばろうではないか! JITを含むTOCで行こう!
JITだけでは勝てない.思考スタイルを変えよう.

TOC(制約条件の理論)を学ぶ=JITを超えた生産方式となり得るか?
 最近「ザ・ゴール」「ザ・ゴールU」に代表される、TOC(Theory of Constraints=制約条件の理論)が脚光を浴びている.本の売り方のうまさと、小説風の導入とあいまって評判を呼んでいる.日本では、新らしもの好きと、3文字アルファベットに弱いところもあり、TQC,TPM,TQM,JIT,SCM,などと次々に紹介されると遅れてはならじと、こんどはTOCかというところも出てきてしまう.大体が、どの理論もそれを極めれば相当の効果をあげ得るものであって、どれが良いか悪いということではなく、その企業がどれだけ真剣にやったかにより左右されるものといえよう.あのやり方はだめだったということを聞いた場合、多くは、その企業の取り組みの弱さや、真剣味に欠ける姿勢に問題がありそうである.
 それはさておき、TOCはJITを超えたかという論争がある.本を読んだり、講習を聞いたりすれば分かることだが、TOCは一つの考え方であり、「メイク・マネー」をサプライチェイン(市場から生産販売まで)を通じて制約条件を見つけて徹底するものである.その中には、JIT生産方式の考えを100%尊重しているが、「メイク・マネー」という切り口で、「1個流し」とか、「仕掛り1個」、「かんばん」といったことにはそれほどこだわらないのである.仕掛削減とか、リードタイム短縮といったことは、JITの得意分野であるが、製造現場では、それを達成することに一生懸命やることが目的となってしまい、その時点でその企業が置かれている状況下で、「メイク・マネー」の見地で考えると、その選択が一番良いかを見失ってしまう.
 注文が多くて市場に供給できないような状況ならば、とにかくたくさん作ることが一番である.しかし昨今の日本企業の多くのように、注文が減り、また海外移転で国内の生産が減るときには、市場が制約条件であるから、別の切り口で進めなければならない.
 このTOCについて言うと、提唱者のエリヤフ・ゴールドラットが、TOCをまとめる以前に、トヨタは、JITを始めており、ボトルネックの解消ということで制約条件をブレークすることをやっているし、手余り、手不足状況下での判断は、千住鎮雄教授の「経済性工学」が以前から行っている.TOCは、これらの手法や理論を応用して、「メイク・マネー」の観点から、スループット(売上から材料費を引いたもの)の比較でサプライチェイン全体から判断をしようというものである.
 TOCはJITを超えたかと言う問題ではなく、JITを進めるにあたっては、JITそのものを目的とせずに、市場、企業全体を見直しその時点の状況下での条件を見て正しい判断(時として、在庫積み増し、仕掛り増という反JITを含む)をすべきであろうという提唱である. 何しろ、時代の変化が早すぎて、その時点判断を誤ると大変なことになるすごい時代であることを認識すべきである.

他社に真似の出来ない生産のしくみを作る.
 2001年、12月に中国広東省の日系SO社を見学させていただいた.光学ピックアップを生産している工場であったが、そこは日本でも真似の出来ないようなすばらしい生産性をあげていた.作業員の手の動きは極めて速くそれを11時間交替で続けている.一時的にがんばることは出来るが、これを継続するということは大変なことである.聞いてみると、従業員との間に、会社情報の公開(日本人の人件費、外注工賃などを含む)、人員登用制度、利益配分の透明化など、目先の手の早さや、コストダウンの取り組みの裏に数え切れないほどの工夫と試行錯誤の連続があったようである. 工場を見て、ただそれを真似するなどということは出来ない、確固とした工場運営の自信が見て取れる.
 日本の製造の空洞化が叫ばれて久しいが、ただ工賃が安いとか、飴と鞭でやればやっていけるといった単純な考えでは、海外に行ってもうまくいかない.製造をうまくやるには、どこでやっても同じである.日本でうまく出来ない人や、会社ではやはり海外に行っても同じである.いやもっとうまくいかないであろう. 私にSO社を知らせてくれた知人は、「機械化よりも人を使い、また工程仕掛りなども有って、壮大なアンチJITをやっているよ」といっていたが、そういうJITがどうのこうのというレベルではなく、「人の能力がどこまで伸びるかを徹底して追及して、その過程として、無駄取りをせざるを得ないような生産の仕組みが出来ていた」と解釈すべきだろう.事実、生産性が200%(同社基準)を超えたらもう次は機械化を考えなければいけないでしょうとSO社の董事の方が言っておられた. まさしく、他社に真似の出来ない生産の仕組みを実践しておられる方の自信がにじみ出たすばらしい工場であった.
 私たちも、自分の会社の生産品にあった生産の仕組みを、日本であれ、海外であれ、自身で築きあげていかなければならないということを痛感した次第である.

日本の製造空洞化を乗り切る一提案=新5Sで行こう
1. 日本の製造の空洞化の危機が続いている。このままでは、いったい日本はどうなってしまうのか本当に心配である。この危機に対して、日本の名だたる生産人は解決のすべを提示できないでいる。11月にある5Sの研修会の最後に会場の参加者から、「先生方は、今までの日本の生産技術を盛んに海外に移転してきて、海外の人々を一流の製造人にしてきたが、我々日本に残らざるをえない人に何ら今後の指針を出しえないでいるではないか?」と質問され答えにつまり、不覚を取ってしまった。コンサルタントの端くれに身をおくものとして、恥じ入るところである。この命題は、いつも頭から離れることはないが、明快な答えが出ていないところに忸怩たる思いがあるのである。日本全体としても、政府も、学会も、経済界も、労働組合も、あらゆる人が考えていかないといけない命題であり、今まだ明快な指針に見当たらない。そうもいってはいられないので、今考えていることを一提言としてまとめてみた。 
2. PEC産業教育センターの山田日登志先生は、NHKの番組や、「工場管理」2001年12月号で、「……人件費の削減には、…自働化しかり、FAしかり、低賃金を求めて工場移転は、地方から海外へと続けられ、働く人を生かし、生産性と品質にかかわるかの研究は置き去りにされてしまったようだ.……そこに風穴をあけたのが、セル生産であり、一人屋台であり、一人一人の意思を尊重し自分たちで裁量の製品を作り上げるために一人一人が工夫をするシステムである.…」と提言され、実践されている.これはひとつの解決法として今後の指針となりうるものであると思う. 

3. 少し違った見地から考えてみると、要は製造海外移転(最近は農業産品も)の空洞化により太刀打ちできるものは何かということである.低賃金の海外で日本より有利なものは何かというと、@大量生産品目、A日本以外でも生産技術的に対応できるもの(いまや.5SもJITもかんばんも海外でうまく行われている.又日本ほどでなくてもセル生産や、デルコンピューターのアモイ工場では、二人屋台まで行われているという)、B海外消費地の近くでの生産、などが挙げられると思われる.
4. 一方日本での活路はどこにあるだろうか? 私はキーは新5Sであると思っている.
  @Special: いわゆる汎用品でなくココしかできない、この技術でないとできないというもの.
  ASpeed: 海外が安いといっても、どうしても輸出入に時間がかかるから、すぐほしいというニーズは残る.経営者も、安くすることばかりでなく、スピードにより価格差を設けるべきである. 特急品は高い、だが今すぐほしいというものを作る.
  BSmall size: 大量生産指向はどうしても、機種切り替えが苦手であるし、このノウハウは日本各社が工夫に工夫を重ねた結果であり、知恵のだしどころであり、又教科書では教えにくいところである.この知識は日本はすごい. ロットサイズの少ない受注は敬遠してきたかもしれないが、これからはココがねらいどころである.これも、サイズの小さいものは高く売るようにしたい.
  C成熟品生産:ハイテク品は早く手がけたところが一番おいしい汁を吸うのであるが、次々に追従されて、最近のパソコンのように半年で半値といった惨状を呈することとなるのである.ココは、じっくりと成熟品を改良して利は薄くても息の長い商売を考えたほうが良い. 私は、ハイテクに対して、ローテクと読んでいるが意味は時代に対して過去成熟製品であるが、それがないと産業が成り立たない基幹製品をおろそかにしないということである. たとえば、電気なら、抵抗器とかコンデンサ、機械なら、ビスとかナット、釘といったもの.いまさら大手メーカーが参入しそうもない分野でこれらを長年にわたって作り品質的にも極めている各社は、徒に数を追うのでなく、上記3Sを考えて生産して各社の持ち味を出してゆくのがのぞましいのではないか.
  D隙間・周辺製品:これからの商品としては、花形商品の周辺機材がひとつの選択肢である.例えば、パソコンをやっているとわかるようにパソコン本体とは別に、カード、ディスク、ルーター、LAN、などいったものが次々と出てくる.これらは大手も手がけているが、数年前名前も聞かなかったようなメーカーが続々参入している.一つ一つはそれほど高くないが、単機能の商品と考えるとパソコン1台6-7万の時代を考えると結構いい値段である.本命商品の周辺を開拓してゆくのもひとつの手である.

結局、海外にシフトしても絶対的に日本に残る部分はあるので、それを見極めて、「早ければ高くても買う、一個でも作ってくれれば高くても買う、という商品」を残し見つけて、それに特化して製造人の本領を発揮していただきたい.                                  (2001.11.29)

決まったことをきちんとやる−標準化生産のすすめ 「工場長のページ」  
 [工場管理]1999年2月号 池上 晶登 執筆
1. 製造人の行動     物作りに携わる製造人のあるべき行動の姿は、ズバッと一言で言うと「限りなきコストダウンと品質向上であり、それ以外の結果をもたらすものは全て無駄な行動である」といえる。そのために数々の生産手法が紹介されそれぞれのやり方で成果を出しているわけであるが、一方、別の面ではISO規格の認証を受けた企業も増加していてその手順書の他に、安全規格とか輸出相手国の規制、JIS、法律による規制等々、物作りに当たり標準、基準、規格、生産手法等の手順書が工場内に複雑に入り組んで導入されており、いくら立派な手順書や手法があっても行動が伴わなければ消化不良を起こしがちで、思わぬトラブルに遭遇した工場も時として見受けられるのである。こういった、一種の複雑な製造環境の中で、すっきりと分かりやすく整理して仕事を進め、生産性向上と品質向上を目指するのが、「決まったことをきちんとやる−標準化生産」である。

2.決まったことをきちんとやる−「2つのキー」    決まったことをきちんとやるには、2つのキーがある。1つ目のキーは、「決まったことがまずあるか」ということだが、この段階でいきなり「アウト」という工場も多い。無いのは論外だが、あっても口頭だけで文章化されていなかったり、規定がどこにあるか分からなかったり、昔作っただけでメンテが行われていなくて実状に合わないといった例が見られる。2つ目のキーは、「きちんとやっているか」であって、これもはなはだ心もとない工場が多い。仕様書があってもそのとおりやっていないとか、記録が無いとか、変更を口頭でやっているといった例が見られ、中には標準よりも俺の名人芸でやっているという勇者も出てくる始末である。こうしてみると意外に「決まったことをきちんとやる」というのは難しいことが分かる。

3.標準化生産への「関」     行動を遮る考えを「関」というが、何が標準化生産を妨げているのだろうか?
1) 標準化は、技術進歩、新しい発想を阻害する。 この反発が一番多いようだが、決まったことだけ毎日やっているので新鮮味がなくやりがいがないとか、新しいことをやろうとしたら標準にないからと止められた、といったことが言われている。
2) 決まったとおりやるというと、機械と変わらないのでは無いか。 人間性が無視されて、ただ機械の一部に過ぎないのではないかと悩む。
3) 記録やら、点検やら、やたら多くて、ちょっとでも忘れるとすぐ注意される。 手順通りやれとうるさいし、それもあれこれと多くてかなわない。監査員とかがよく来て少しでも違っていたり、記録を忘れるとえらくお目玉をくらいかなわない、と言ったような例で感情的に標準とか規定は嫌いだと思っている。

4.標準化生産のメリット     標準化生産にはどんなメリットがあるのでしょうか。
1) 1番良い方法を標準化するので、迷うこと無くどの工場、どの工程でも適用できる。 どの工場、工程も良い意味での競争で他よりも良くしたいとの考えは当然であるが、一番いい方法は、その時点で1つしかないのであって、割リきりよくそれを適用すべし。新たな労力を、更なる改善の研究に注ぐべし。
2) 生産品の工場移管、海外展開がスムースに行く。 昨今は、生産品が海外の工場に比較的短期で移管と行ったことが当たり前になっているが、標準が決まっていれば教えやすく、立ち上げがうまくいく。
3) 生産品のばらつきが少ない。 決まったやり方であれば、品質、出来高、コストいずれも安定して生産できる。
4) もし問題が出た時でもトレース、再現実験が容易。 問題の追跡の際、作り方が標準化されていれば異常事態の再現ができて、原因追求が容易である。
5) もっと良い方法が無いか、標準を基にしていつでもどこでも検討が可能。 改善のスタートポイントが、現時点で標準化されていて1番良いと言われている方法なので、誰でもどこででも(海外工場と日本と離れていても)更なる改善が検討できる。その工場、工程が独自のやり方であるとそこへ行かなければ良く分からないし他への展開がやりにくい。

5.標準化生産の進め方    標準化生産は決して、生産現場に無理な管理を押し付けたり、新鮮な発想を阻害したりするものでなく、その時点で1番良い方法を標準として肯定し、決まったことは皆んなで必ず守り実行すると言うものです。またそれは、更なる改善への出発点でもあり、冒頭に述べたコストダウンと品質向上に確実に寄与する基本的考え方です。

1) 要求されるすべての基準、法律、規定等を必要最小限網羅した、「これだけは」の標準手順書を作る。
2) 記録、確認も目的に応じて、「記録用」の最低基準と、「使うため」用の必要分を規定化して、決まったものは必ず実施する。 @「記録用」は、法律、安全規格、顧客からの指定等で必ず行なければならないもので、省くことはできないが記録方法の工夫の余地はある。
 A「使うため」用の記録、確認は、その工場、工程で何らかの目的で使う為に採るもの。良く整理して必要なもののみ採り使わないものは止める。
3) 標準化を「管理の道具」で無く、「仕事を楽にして、良い物を作る道具」として使う。利点を強調して、必ず実施するよう現場にその必要性を理解してもらう。
4) 決まった標準も、常に新しいアイディアでもっと良いものはないかと見直していく。 標準は変えられないと言う迷信は排除して、正しい手続きに沿って変えていく。「暫定変更票」(有効期限を明示しておく。ISOの規定類で明文化)を用意して、一定の簡易手順で素早く新生産手順がテストできるようにすると良い。その後良ければ恒久的に替える。


いま5Sを考える
1.5Sのコンセプト
  整理,整頓,清掃,清潔,躾を縦一列に並べて、ローマ字の頭のSが5つあるので5Sであると順に説明してもよくわからない。
  最初の3Sがまずあって、その時間的継続として清潔があり,全体的な精神のバックボーンとしての躾がある構造である。これを図に表すと,次のようになる。
             
 
整理                                
整頓  ⇒ まず3Sが先 ⇒ これを継続する、すなわちこれが清潔(時間軸の感覚)
清掃 

躾は,決まったことを守り,さらに改善をしていくという精神的な支え。

以上のように立体的に考えないとよくわからない。

2. Sの数あわせ
  世の中には、独自の文化を創造する企業も多く5Sでもいろいろな工夫が見られてよいのだが、中には単にSの数あわせまがいのものも見られる.勿論しっかりした哲学に裏づけされていればよいのだが、語呂合わせ的なものもあるようである.参考までに、どんなものがあるかというと、
  しっかり
  しつこく
  斉唱
  斉動
  整備
  スピード
等が挙げられている.いずれも最初の3Sとは一線を画していて、3Sを推進するための副詞的な心構えとでもいった内容である.これを横一線で9Sとか,11Sといわれてもなお分かりにくく本質が見失われてしまわないかと少し心配である.とにかく3Sが基本であり、まずこれを徹底的行うべし.私が海外で出会った,一流の製造人は「3Sがまず先」とほとんどの人がおっしゃっていた.

3. 5Sは何のためにやるのか?
 すべて[利益]を出すためである。企業はもちろん利益を出しつづけなければならないがそのための手段として5Sが不可欠である。
 実例として,日系のマレーシア工場でワンランク上の5Sを徹底的にやったことがある。きっかけは,VIPが訪れるというよくあるパターンだが,その後もレベルを下げずに現地人の工場長を中心に熱心に継続した。最近では,ISO 9000等で[購入前工場監査]が一般的だが,ここを訪れた購入予定先の監査員があまりの素晴らしさに驚き、訪問前にネガティブであった印象が一変して取引開始となった。5Sが直接商売となったよい事例である。
 5Sは日本企業の十八番であるかのようであるが,実際東南アジアのシンガポール,マレーシア,(他の国,インドネシアとかタイ、韓国等も同様のようである)、いまでは中国でもかなりの会社が,素晴らしい5Sをやっているのを目にして感心する。日本人駐在員がいるところはあたりまえとして,日本人(たぶん製造のベテラン,一流の人)に教えてもらった現地の人が今は先生となって,現地人だけで進めているのをよく目にする。3年前,中国の台湾の対岸アモイ(厦門)の日系部品メーカーを訪ねたが,日本人は一人もいなくて立ち上げは台湾人が行ったと胸をはっていた。中は大変素晴らしく,隣接する寮の内部も5Sが見事に徹底されていて、日本国内の一流にも引けを取らないものであった。
 日本も[製造の空洞化]などといわれているが,5Sの元祖としてまだまだアイディアを出して元気にやっていきたいものだ。日本人の英知と緻密さでいけば絶対にリーダーシップを取っていける。

4. 5Sは英語で何というか?
 海外工場で5Sをどう訳して、どう定着するかは、各社苦労しているところである.どうすればよいかというと、まず一番には、その国に【日本生産性本部】のような生産の元締めがあり、必ず5Sのポスターなり、現地語と、英語の解説書を出しているからそれをそのまま使うのがよい.しかし中には、現地で翻訳自体が難しかったり、適当な言葉自体がないということで、【SEIRI,SEITON,SEISO,SEIKETSU,SITSUKE】をそのまま使っているところも多く、結局「SEIRIとは何か?」という話になる.私がシンガポールにいたとき、同僚の Mr.Henry Lauと話し合って5Sならぬ5Cでうまくまとめた例を紹介する.5Sの定義にうまくマッチした訳ではないだろうか?
 整理 CLASSIFY   :分類すると言う意味.何と何を分類するか? 勿論いるものといらないもの.
 整頓 CLEAR      :何がどこにあるか明白である.にわかのときにもすぐ間に合うように.
 清掃 CLEAN      :塵ひとつなくきれいになっている.
 清潔 CONTINUE   :時間的な継続のこと
 躾  COMMITMENT :約束したことを守る (注:一般的には,DISCIPLINE を使うのが多いようであるが.)
 
よろしかったらお使いください.

5SとISO
5SとISOとは深い関係があります.ある会社の予備審査で,5Sが悪く審査ができる以前の情況だとして審査員が帰ってしまった事例があります.あなたの組織は大丈夫ですか?

ISO9001:2000 ISでは、17個もの識別という言葉が出てくる.
4.2.3  文書管理=>変更の識別、改訂版の識別、文書が読みやすく、容易に識別可能、廃止文書を識別
4.2.4 記録=>識別等のための文書化された手順
7.53. 識別及びトレーサビリティ=>適切な方法で製品を識別、監視および測定要求事項に関して、製品の状態を識別、トレーサビリティが要求事項である場合、組織は製品に固有の識別を管理.
7.5.4 顧客所有物=>顧客所有物を識別し、検証し、保護し、防護すること.
7.5.5 製品の保存=>内部処理から予定納入場所での引渡しまでの間、製品を適合したまま保存すること.これには、識別、取扱い、包装、保管、保護を含むこと.

7.6 監視機器及び測定機器の管理=>校正の状態が明確にできる識別をする. 
8.3   不適合製品の管理=>組織は誤って使用したり、又は引き渡すことを防止するため、要求事項に適合しない製品を識別し、管理することを確実にすること.

以上は、5Sを行うこととは書いてないが、5Sそのものであることは明らかで、ISO9000は非常に熱心であることが分かる.それは、そもそも5Sがしっかりしていない組織からは、しばしば品質の重大事故が起きうる事が予測され、文書、記録、測定機器の管理が乱雑であることが多いからである.一番分かりやすい例は、【誤出荷】である.違った製品を出荷するとか、未完成のまま出荷する、不良品を出荷するということはあってはならないことだが、大体どこの組織でも起こりうることで、冷やりとしたり、クレーム処理に追われたということは大体の人が経験したことではなかろうか.特に大切なところは、【整理】【整頓】で、しっかりと所定の基準に従って分け、置き場を明確にすることです.

ISOと5Sを極める
整理というとただ乱雑なところを片付けると思っている人が多いのですが、そうではありません.ISO的に考えると、
A:製造,引渡し及び据付けの全段階においては、部品の段階から、製造途上のもの、完成品まで製品を識別しなさいとありますから、適切方法で行うこととなります.以下の事例は不適合の可能性があります.
・製品が、無表示のまま置いてある.
・指定の棚、置き場に表示と違うものが置いてある.

B:検査・試験の状態では、
・検査前と検査後の区分がされていない.
・検査適合品と、不適合品の区分がされていない.
・その他の特別な状況、例えば判定保留中とか、再検査待ちといった状況を分けておくことが求められます.

C:不適合製品の管理では
・明確な識別と誤って使われない処置がされていない.
・状況の表示、例えば、特別採用品、選別済品、廃棄待ち品等がされていない.

D:顧客支給品の管理については、物品の識別、検証及び保護・防護を実施することととあります.何らかの形で、顧客支給品であることが分からないと管理できませんから工夫が必要です.

これらは、ISOに限らず、生産性の向上、労働安全、環境管理にもつながることですから、こんなところで不適合点を取らないように、必ず実行しましょう.
また5Sが心もとない組織は、この機会に全組織的に5S改善を進めましょう.これが儲かるISOにつながります.


   

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