ISOとKAIZENの部屋
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I  ISO9001:2015 改訂情報
   2015年版移行のコンサルティング詳細はこちら

このページでは、2015年に発行されたISO9001の改訂情報をお知らせします.2015改訂では、大幅な改訂となり、2008年版認証済み組織でも、QMSを見直す必要があると思われます。

NEW  ISO9001:2015トップマネジメントの役割及び審査時の想定質問 (2016.04.23)
2015年版では、トップマネジメントの役割が強化されたといえよう。実質的には、5.1.1「リーダーシップ及びコミットメント」の箇条に、追加の要求がみられる。おそらく今までの審査では、トップマネジメントの審査時間は、30-40分くらいでその内容も、「最近の御社の状況はいかがですか?」、「ISO9001の運用で成果は上がっておりますか?」、「QMSについて、今どんな課題がありますか?」といった一般的な質問が多かったのではないでしょうか。しかし、2015年版では、リーダーシップについて、かなり具体的な質問が予想され、まず「QMSの有効性についてトップマネジメントに説明責任(アカウンタビリティ)があること」が、大きな変更であろう。 もし今まで、「それは、品質管理責任者のほうから説明させます」とされていたようですと、おそらく2015年版では「いや、それはトップの方からお伺いします」ということになるのではないかと思われる(予想ですが、トップに関連するところで2時間くらいは審査時間がかかるのではないか?)。
さて、審査時の質問で、私が優秀と思われる審査員は、おそらく質問の前に改訂の主旨を説明して分かり易く問いかけてこられると思うが、中にはストレートな質問を投げかけてくる審査員もいるのではないかと推測される。実は、品質マネジメントシステムについてとか、プロセスアプローチの質問は、質問する方が本当によくわかっていないと、質問も、それに対する回答もちぐはぐになってしまう可能性が高い。
箇条通りの質問をすると、例えば
1)御社の事業プロセスへのQMS要求事項の統合は確実になさっていますか? (回答)統合しております。
2)プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進されていますか? (回答)両方とも促進しています。
というようなことになってしまいます。

そこで、今でもトップマネジメントの方が率先してQMSを推進してこられた組織が大半と思われますが、念のため今回の改訂説明に当たっては、トップの方への社内説明を十分に行ってください。何しろ、このQMSは組織の目的を達成するためのツールですから(事業プロセスへの統合)、トップの方が先頭に立ち、進めてほしいのです。 事務局の方や品質管理責任者の方とお話すると、トップへの説明と対応でかなり悩まれているようです。そこでお薦めは、トップマネジメントの方へやんわりと、想定問答集を貴社の今までの審査経験からお作りになることです。これを作りますと、作る方も、それを読むトップの方も、ISO9001の狙いがよく分かってまいります。

当社で考えた「審査時のトップ向けの想定問答」の部分例を以下に示しますと、
1.これから、貴社がQMSを構築されている前提として、貴社の現状をトップの方がどうとらえているかをお聞きします。それらがどう品質方針や品質目標につながっているかを確認させてください。
1-1 まず、組織の及びその状況の理解ということですが、貴社の事業目的や戦略的な方向はいかがでしょうか?
  ・それらについて、内部及び外部の課題はどのように明確にされていますか? 
1-2 貴社の利害関係者といいますとどのような方、組織が対象となりますか?
  ・それでは、利害関係者の、ニーズ及び期待はどのように把握されておられますか?
1-3 次いで、リスク及び機会についてお伺いします。リスク及び機会はISO9001:2015では新しいのですが、今までも企業活動では普段に行われていたのではないかと思います。まずリスク及び機会はどのように、決定されているか手順をお伺いします。
  ・決定されたものはございますか? 詳しい内容は、6.1項でお伺いします。
(以下略)

ISO9001:2015のトップマネジメントの役割の要求事項。多くは、2008版と変わっていないが、5.1リーダーシップが強化されている。




NEW  ISO9001/14001:2015 移行に関するQ&A(当社解析による) (2016.03.23)
Q1:(ISO9001) 品質マニュアルの文書化要求が消えたが、品質マニュアルを継続すべきか?
 環境マニュアルはすでに2004年版から消えているが、ISO9001でも2015版では要求から消えている。但し、「7.5.1文書化した情報:一般 b)QMSの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報」で必要があれば組織が決めると規定している。従って、あくまでも組織の判断で、「品質マニュアル」継続することは一向にかまわない。
 「品質保証(顧客要求の実現、法的順守等)」は、ISO9001の取得の有無にかかわらず、組織では行わなければならないので、ISO9001の取得は、品質保証を越えるさらなる品質改善が目的である。品質マニュアルは社内での運用の規範として活用する他に、顧客に対しても、我が社は品質についてこういう優位があるということを実証する為に、品質マニュアルは積極的に活用することが望ましいとも考えられる。組織の判断で戦略的に活用することが望まれる。

Q2:移行に際して、2015年版の箇条番号に合わせて、品質/(環境)マニュアルを構成し直さなければならないか?

 多くの組織は、品質/環境マニュアルの構成をISO9001/14001の箇条に合わせているのではないかと思われるが、ISO9001:2015版では、序文0.1 一般にて、「文書類をこの国際規格の箇条の構造と一致させる。」意図はないと明確に書かれている。各社の考えで構成してよい。
 また、QMSでは、そのしくみをISO9001の記述順序で進めることにはなっていないので、注意を要する。例えば、4.4.1 QMSプロセスの確立では、f)項にて「6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。」とあり、6.1リスク及び機会を先に取組まなければならない。ISO14001では、同様の記述はないが、「0.3 環境マネジメントシステムの詳細さ及び複雑さのレベルは,組織の状況,環境マネジメントシステムの適用範囲,順守義務,並びに組織の活動,製品及びサービスの性質(これらの環境側面及びそれに伴う環境影響も含む. )によって異なる。」とあるので、ISO9001と同じと考えてよいだろう。

Q3:品質管理責任者/環境管理責任者の制度が消えたが、2015年版でも制度を継続してもよいか?
 ISO9001でもISO14001でも2015版では、管理責任者の任命は要求から消えている。これも、どのように責任と権限を決めるかは組織が決めることであるので、管理責任者制度を続けることもできるし新たに仕組みを制定し任命することもできる。従来の制度で、管理責任者の仕事で大きなものに、「マネジメントレビューへのインプット」があった。 2015版 9.3のマネジメントレビュー-インプットへは、「だれがどのようにインプットするか」は、管理責任者制がなくなっても明確にしておく必要があるであろう。

Q4:2015年版では、用語が今までと別の表現になっているものがあるが、自社でもこれに合わせるべきか?
 2015年版用語では、QMSでは、「供給者→外部提供者、購買製品→外部から提供される製品及びサービス、作業環境→プロセスの運用に関する環境等」、EMSでは、「環境目的、環境目標→環境目標に統合」など表現が変わっている。これらについては、ISO9001:2015版の、序文0.1 一般にて、「この国際規格の特定の用語を組織内で使用する。」意図はないと明確に書かれている。従来の用語を使うことを含めて、各社の考えで表現してよい。

Q5:(ISO9001) 『工程設計』は、2015年版でも適用除外できるか?
2008年版で、多くの審査機関は「工程設計は、7.3設計・開発に含まれない」としてきたようだが、2015年版では、4.3適用範囲で、《意図した除外》を防ぐために、「組織が決定したQMSの範囲で、ISO9001の要求事項が適用可能ならば、組織は、これらすべてを適用しなければならない」とある。例外なくすべて適用ということである。もし除外する場合は、「それを除外してもQMSの正当性に影響しないことを示す」と規定されている。工程設計が、自組織のQMSにとってどういう位置づけであるかが重要。例えば、顧客から、作り方すべて(作業指示書や治工具の指示、提供を受ける等)の場合で、その通り作っていれば工程設計はないと考えられるが、製品図面を顧客から渡されて、その製品の作り方を自社で展開する場合(金型や治工具の製作、作業指示書の製作等)は、QMSの中での位置づけとして設計・開発は除外できないのではないかと考える。(規格説明会でのTC176/SC2/WG24日本エキスパートの山田秀氏の発言を参考にした.) 貴社が適用範囲で、はっきりしない際は事前に審査機関と相談しておくのが望ましい。


NEW 
JISQ-9001/14001/9000: 2015版は、2015年11月20日に発行されました。 (2015.12.10)
  ISO9001/14001/9000の2015年改訂、国際規格(IS)はすでに、2015年9月に正式発行されましたが、JIS化には、所定の手続きが必要なため、ようやくこの11月20日に正式発行された。新版JISは、JASのウエブストア他、全国JIS取扱い書店で購入できる。 新版JISには、旧版にも見られた下線を附した、「JIS独自の、 国際規格にはない参考事項」が含まれている。
  改訂移行期間は3年だが、JIS版で認証している組織は、2018年11月19日までに移行完了となると思われるが、詳しくは審査機関に問い合わせてほしい。

NEW ISO9001 2015版-IS 規格改訂説明会(東京)速報  (2015.10.02)
 ISO9001:2015-ISの発行を受けて、10月1日JSA主催の「規格改訂説明会」が開催された。講師は、TC176/SC2/WG24日本エキスパートの山田秀氏。
 会場は、ざっと150名余の方が来られていた。 FDISからISへの変更はほとんどなかったことから、2015版の総合解説で、1.改訂の経緯、概要に1時間、2.逐条解説に1時間半、3.質疑に30分という構成であった。 私の参加したFDIS説明会講師は、同じくエキスパートの須田晋介であったので、同じことを言っていますが、若干切り口が変わり、今回も有意義なものでした。 その中のハイライトは、
1)2015版で、全く新しい要求は、「8.5.1g)ヒューマンエラーの防止」である。 箇条4組織の状況や5リーダーシップや6リスクと機会などは、「ちゃんとした組織では、当たり前にやっていること」であり、新しい要求とはみなされないのではないか、といわれていた。
2)リスクについては、「不確かさ影響」であるので、2008年版の予防処置の要求にかなり似ている。またリスクへの対応では、P-FMESなどは有効な対策の一つであろう。但し、FMEAが仕組みとして出来る組織はよいが、小さな組織にまでFMEAを推奨するということではない。組織の実情に合わせてほしい。
3)プロセスアプローチについては、「0.3で、促進しており、プロセスアプローチの採用に不可欠と考えられる特定の要求事項を4.4に規定」している」とあり、プロセスアプローチ自体が、要求事項ではない(shallではない)が、4.4で、実質的にプロセスアプローチを具現化している。
4(質問に答えて))2008年版で、多くの審査機関は「工程設計は、設計・開発に含まれない」としてきたようだが、2015年版では、4.3適用範囲で、「意図した除外」を防ぐために、「適用可能ならば、組織は、これらすべてを適用しなければならない」とある。例外なくすべて適用ということである。 工程設計が、自組織のQMSにとってどういう位置づけであるかが重要。例えば、顧客から、作り方すべてを指示されてその通り作っている場合は、工程設計はないと考えられるが、製品図面を渡されてその作り方を自社で展開する場合は、QMSの中での位置づけとして設計・開発は除外できないのではないか。
5) 箇条1から10の並びは、QMSをこの順序でやりなさいということではない。実際の流れは、箇条通りではないこともある。 例えば、4.4は、箇条6が決まらないと進められない。
以上は、出席した当社代表の聞き書きメモですので、参考としてご覧ください。

NEW ISO9001 2015版ISは
2015年9月5日に発行されました。 (2015.09.25)
  

NEW
ISO14001 2015版IS及びISO9001 2015版ISは9月15日に発行されました。(2015.9.25)
ISO14001:2015 最終国際規格(IS)と
ISO9001:2015最終国際規格(IS)は、ISO本部(ジュネーブ)のHP発表で、2015年9月15日に正式発行されました(英文版)。英文規格は、ISO本部からでもJSAでも購入できます。日本語対訳版は、JSAより、ISO9001は10月1日に発行されています。 なお、JISは、11月に発行とのことです。
一般に、FDISからISへの変更は、「編集上の変更」即ち、文法上の間違いとか、文章の並び構成の編集などを目的とされており、FDISに賛成を投じた国は、意見を述べられないために大きな変更はないとされている。 今回の変更を、当社で分析した結果、9001では、タイトルの表題の変更など、14001では文章の並びの変更でいずれもごく小さな変更にとどまっている。

1)ISO9001➡FDISとISとの差異
①タイトル:5.2.1 「品質方針の確立」に、
②タイトル:8.2.2「製品及びサービスの要求事項の明確化」に、
③タイトル:8.2.3「製品及びサービスの要求事項のレビュー」に、
④8.2.3.1 「Note …その代わりに,レビューでは,カタログなどの関連する製品情報をその対象とすることもできる。」に変更
2)ISO14001➡FDISとISとの差異
①6.1.1 「… 次に関連する、 環境側面(6.1.2参照)、順守義務(6.1.3参照)、そして4.1及び4.2で特定した,その他の課題及び要求事項の、リスク及び機会を決定しなければならない。」
(内容は変わっていないが、文章が項目並びから、上記のようにつながった。

NEW ISO9001:2015改訂
を読み解く。 今回の改訂は、大改訂に相当する! (2015.08.17/09.29再編集
 ISO9001:2015-ISが発行された。当社では、ISを入手し、またJSA主催の改訂版説明会に出席し、その内容を分析してきた。 現時点での分析結果から今回の改訂につき、いくつかのキーポイントを、発表させていただく。(文責:(有)池上生産技術研究所)
1.
 【大改正】 今回の改訂は、2000年版以来の「大改正」であり、移行の難しさは今回がトップであろう。 2000年改訂以降2008年に追補版発行があったが、この時は2000年版の議論あるところを明確にするという位置づけであったため、新たな追加要求はなく、その移行も容易であった。 日本のISO/TC176メンバーも2015年改訂は「大改正」と捉えている模様である。当社も、今回は、移行に相当なエネルギーを要する「大改正」と捉えている。 然らばその理由は?
2. 
【組織の主体的取り組み】 2000年版では、その要求事項が割合明確且つ具体的であったため、「適合性」に主体を置く、システム構築、適合性審査が主体であった。しかし2015年版は、組織での主体的取り組みを促す、
「4.4.1組織は,この国際規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,品質マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。」や、文書も組織が必要なものを組織が決め、組織の責任・権限も「品質管理責任者」制度がなくなり組織が制度を決める等、組織に大幅な裁量が任された。 この結果、組織は、組織にふさわしいしくみを自分たちで考えて構築しなければならなくなった(横並びシステムや他社のまねシステムは意味がなくなった》。 一方、認証機関の審査員は、組織の意図をよく聞き、それが2015年版の要求事項に適合しているかを判断しなければならなくなったので、相当プレッシャーが高まるものと推測される。
3. 
【プロセスアプローチ】  「プロセスアプローチ」が2000年版以上に求められる結果、組織も、認証機関審査員も、「プロセスアプローチ」の本質と、その運用をマスターしなければならない。「プロセスアプローチ」について、説明会の席上で、私は「TC176は、どの程度のプロセスアプローチシステム構築を考えているのか? 中小企業に自動車セクター規格(TS16949)並みの要求をするのは酷ではないか?」と質問したが、エキスパートは、「例えば、タートル図のようなものを使用することまでは求めてはいない(しかしタートル図は、有用である)。今後TC176として、何らかのガイドラインや解説書を準備する」とのことであった。 一方JABの担当者は、プロセスアプローチについては、かねてから審査機関にその運用を求めてきたので、今回から新たに「プロセスアプローチ審査」というわけではない。今回の2015年版の適用に際しては、審査機関にプロセスアプローチを再度強く求めているし、移行審査の際、JABも審査機関の審査に立ち会って、その適用を監視するとの表明があった。 2015年版審査からは、「プロセスアプローチ」に沿った審査がなされるものと思われる。 問題は、プロセスアプローチについてその本質を知っている人が、審査員を含めてどれくらいいるのかということで、自動車セクター規格の、ISO/TS16949を取得済の組織や、TSの審査員は、必須として理解しているが、他の組織や、ISO9001の審査員はどうであるか、いささか心配なところである。 

(まとめ) 2015改訂は、組織にとっても、審査機関、審査員にとっても、かなり大きな改訂であろうと考えているので、移行期間が「3年間」あるものの、「早めの対応」をお勧めする。  改訂に当たっては、条文をよく読み、組織内で「当社は何を目指すのか」ということをトップマネジメントを中心に議論して、組織にふさわしいシステム再構築をめざす必要があろう。


NEW ISO9001:2015改訂 IS プロセス関連図  プロセスアプローチ  (2015.07.25/09.29
再編集
  2015改訂では、プロセスアプローチが強調されている。プロセスアプローチは、2008年版にも書かれていて新たな項目ではないが、
IS-0.4項では、「品質マネジメントシステムを構築し,実施し,その品質マネジメントシステムの有効性を改善する際に,プロセスアプローチを採用することを促進(Promote)する。プロセスアプローチの採用に不可欠と考えられる特定の要求事項を4.4に規定している。」とあり、実際に、「4.4品質マネジメントシステム及びそのプロセス」では、インプット、アウトプットを明確にする、などプロセスアプローチそのものが規定されている。 但し、プロセスアプローチ自体が要求事項(shall)ということではない。自動車セクター規格である「ISO/TS16949」は、プロセスアプローチが必須となっており、「プロセス関連図」、「タートル図」、「プロセスアプローチによる内部監査」などで運用されるが、この流れは、ISO9001でも応用できる。(もっとも、9001でもタートル図を作れということではないが、その応用や適用を考えておくと、分かり易い。) 当社で、ISO9001 ISを、「プロセス関連図」で書いてみると、一例としては以下のようになる。 実際の運用では、このように考えて進めるとわかりやすいだろう。


 ISO9001FDIS:2014 図2-PDCAサイクルを使った、この国際規格の構造の説明


※プロセス関連図 池上生産技術研究所編集


ISO9001:2015改訂 「組織は、改訂版に沿って”マニュアル/QMS構造”を再構築すべき」か? (2015.02.06)
 2015改訂で、組織で実務的に頭を悩ます問題は、おそらく「マニュアルや組織の規定を再構築しなおすべきか?」ということと、「QMS自体を再構築しなければならないのか?」ということであろう。規格の条文構成が、大きく変わったので、今までのままでは、参照規格を探すのに飛び飛びとなってしまう可能性がある。これに関しては、DISのAnnexA A.1構造と専門用語で明確に述べられているので紹介したい。要は、組織は「(今回の改訂に当たっては)構造と専門用語の結果的な変化は、組織の品質管理システムのドキュメンテーションに反映されている必要はない」ということである。従って、各組織は、改訂版が発行された際にその「ギャップ分析」を行い、従来の体系、文書類に替わった点のみを反映することで、改訂版に対応できるということである。
 更に、用語が変わってきているが、それも組織は必ずしも改訂版に合わせる必要はないとされている。例えば「documented informationt=文書化された情報」は「文書、記録、プロトコル」など組織により用いられる用語でよい。
 尚、ISO14001DISには、9001のような文章が見当たらない。基本的には、ISO9001と同じ対応であると思われるが、どちらかというと現行規格でもISO14001のほうがこうした規格の構造について、PDCAに沿って章を構成している点等進化しているので、組織でも検討項目であろう。
 また、9001と14001(或は他のMSも)の統合を考えている(あるいは統合している)組織は、MSの上位構造(HLS)により、共通化して、再構築するメリットが高い。


 改訂の移行期間に関しての注意:改訂版が発行されて以降3年間の間に移行を完了すべきとのことであるが、ISまたはJISの発行日が異なる場合がありうることに留意すべきである。過去においては、ISO本部のIS発行日は多くの場合、UKAS(イギリス)などとリンクされるので、その日が以降3年のスタート日となるが、日本の場合JIS化されるのに時間がかかる可能性がある。貴社が、「JAB」認定であった場合、JABの移行期間は、JIS発行日となると思われるので注意されたい。過去においては、JISのほうが半年程度遅くなっていた。これらについては、正式の改訂版が出た時点で、審査機関から案内があると思われるので注意されたい。

ISO9001/14001:2015改訂に関する情報 (2015.01.10)
 2015改訂に関して、JSAの「規格開発情報-マネジメントシステム」のページからのリンクで、ISO9001/ISO14001の開発情報を見ることができます。
ISO9001では、改正概要、リスクについて説明されております。 FDISの発行が、2015年7月、IS発行は2015年 9月とのこと。
ISO14001では、改正情報、日程が説明されております。 IS発行は2015年夏を目標とのこと。


8) [リスク]と「機会」を解く (2015.01.09)

ISO9001:2014-DISでは、マネジメントシステム規格–AnnexSLによる共通テキスト「上位構造(HLS)に合わせて、章の構成とテキストが共通化されている。既報の通り、ISO9001の改訂DIS版では、「6.1リスク及び機会(opportunity)への取り組み」が今までにない新しい規格となっている。しかし、日本語的に見て、リスクと機会という言葉はなかなか両立しないし、これだけで何を言っているのかがわかりにくいのではなかろうか。実は、2008年版でも、「機会」は2ヶ所出てくる。5.6.1 MR一般の「品質マネジメントシステムの改善の機会の評価」と、8.4 データの分析「c)予防処置の機会を得ることを含む,プロセス及び製品の,特性及び傾向」である。 「○○の機会」という文章であって、日本語的には、まだわかりやすい。

 しかし、日本語でもう一つよく使われるのが「機会=Chanceチャンス」で、この「機会=opportunity」とは、区別しがたいが、英語圏(欧州語圏)では、意味が明確に分かるらしい。実はこの2語の違いは大きい。チャンス(Chance)とは、一般的に良く用いる言葉だが、実は『一見、予想/期待などをしていない偶然性が強い感じの機会=良いも悪いもある』という意味になる。オポチュニティ(Opportunity)は『努力の結果によって得られる望ましい機会』という意味になるようである。 

(例文)
・Hank is taking a big chance by leaving his job at the firm. I sure hope the new business opportunity he's pursuing goes well for him.
※ハンクはその会社での仕事を辞めるという大きな賭け=チャンス【機会】に出ている。彼が追い求めているビジネスオポチュニティ【機会】が、彼に成功をもたらしてくれることを私はもちろん願っている。
・また最近では、英国のスコットランド独立投票で、キャメロン首相が、オポチュニティという言葉をよく使っていた。例えば、「We now have a chance — a great opportunity — to change the way the British people are governed, and change it for the better, the prime minister said.(September 19,2014)」※我々は今、チャンスがある-それは絶好のオポチュニティ【機会】だが-英国の人々は統治され、良い方向にチェンジした=開票決定後のキャメロン首相談。

 従って、6.1章は、品質マネジメントシステムを計画する際には、「リスク=脅威」と「オポチュニティ=(リスクを取り除くよう)努力する機会」を、a)からc)項目で考慮しなさい、と解される。

※以下、ダイジェスト。

4)AnnexSL実際の条文比較(ISO22301:2012版)
今後改訂される、ISOのMSはAnnexSLによって進められることになっているが、実際の条文比較をすでに発行されたISO23001(BCMS)で、部分的に行ってみた。

AnnexSL

4 .組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
組織は,組織の目的に関連し,かつ,そのXXXマネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を決定しなければならない。

6.1 リスク及び機会への取組み
XXXマネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は, 4.1に規定する課題及び4.2に規定する要求事項を考慮し,次の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を決定しなければならない。
- XXXマネジメントシステムが,その意図した成果を達成できることを確実にする。
- 望ましくない影響を防止又は低減する。
- 継続的改善を達成する。
組織は,次の事項を計画しなければならない。
a)上記によって決定したリスク及び機会への取組み
b)次の事項を行う方法
  - その取組みのⅩⅩXマネジメントシステムプロセスへの統合及び実施
  - その取組みの有効性の評価

ISO22301:2012版
4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
組織は,組織の目的に関連し,かつ,そのBCMS の意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を決定しなければならない。
組織のBCMS を確立し,実施し,維持するに当たって,これらの課題を考慮しなければならない。
組織は,次の事項を特定し,文書化しなければならない。
a) 組織の事業活動,機能,サービス,製品,取引関係,サプライチェーン,利害関係者との関係,及び事業の中断・阻害を引き起こすインシデントに関係する潜在的な影響

b) 事業継続方針と,組織の目的及び組織の総合的なリスクマネジメント戦略を含むその他の方針とのつながり
c) 組織のリスク選好 
状況を明確にするに当たって,組織は次を実施しなければならない。
1) 事業継続に関係するものを含め,組織の目的を明確に述べる。
2) リスクを生じさせる不確かさを生む内部及び外部の要因を定義する。
3) リスク選好を考慮に入れて,リスク基準を設定する。
4) BCMS の目的を定義する。
※(当社注記)あるものを選び、それを欲求すること。 「選択」に比べると、 「あるものを別のものより好んで選ぶ(prefer)」 という含意が強いと思われる

6.1 リスク及び機会に対処する活動
BCMS の計画を策定するとき,組織は,4.1 に規定する課題及び4.2 に規定する要求事項を考慮し,次の事項のために対処する必要があるリスク及び機会を決定しなければならない。
- BCMS が,その意図した成果を達成できることを確実にする。
- 望ましくない影響を防止又は低減する。
- 継続的改善を達成する。
組織は,次の事項を計画しなければならない。
a) 上記によって決定したリスク及び機会に対処する活動
b) 次の事項を行う方法
1) その活動のBCMS プロセスへの統合及び実施(8.1 参照)
2) その活動の有効性の評価(9.1 参照)

4.1は、冒頭の一般規定であるが、内容はわかるとして、では具体的にどうすることを要求されている「shall」なのかわかりにくいところであろう。個々のMSによってその要求は具体的である。

一方、「6.1のリスク及び機会に対処する活動」は、AnnexSLをほぼそのまま使っている。 但しリスクアセスメント等は、MSの必要性の重要性により、個々に詳しく規定されている。たとえば、このBCMSは、リスク対処そのものがMSの目的であるので、「8.2 事業影響度分析及びリスクアセスメント
」で章を改めて詳しく規定されている。 

ISO CD 9001で、リスクに関しては、6.1で、AnnexSLを適用し、顧客満足やリスク回避、緩和、受容などに一般的に触れている。リスクアセスメントなどの具体的条文はない。

3)CDに見る主な改正点

2)改訂の狙い 
最近のマネジメントシステムの普及により、多くの組織が複数のマネジメントシステム規格(MSS)の実施及び認証取得を目指しています。これによって、効果的かつ効率的な方法で複数のマネジメントシステムを簡単に結合または統合する必要性が生じています。ISO/TMBは整合性及び互換性のあるMSSの提供を目的として、従来のGuide83を改訂し、2013年4月に、このAnnexSLを作成しました。Annex SLは総括的なマネジメントシステムの枠組みを記述しています。しかし、品質、環境、サービスマネジメント、食品安全、事業継続、情報セキュリティ、エネルギーマネジメントのようなシステムのための十分に機能的な規格を作るには分野特有の要求事項を追加しなければなりません。

2015年頃に予定されているISO 9001の改訂では、リスクマネジメントの考え方が取り入れられる予定です。ISO14001やOHSAS18001にはリスクベースのマネジメントシステムですが、ISO 9001も同じようにリスクへの対応が求められる仕組みとなるでしょう。すなわち、現ISO9001の欠点である、「リスク分析なくして品質目標を定めている」等の改訂を意味します。現在、ISO9001の改訂の基盤となるAnnexSLが発行されていますが、これには、ISO9001やISO14001などのISOマネジメントシステム規格の上位構造の共通テキスト・用語・定義が記されています。そして、ISO9001も、14001、OHSAS18001なども、統一した、共通の章立てとなる可能性があります。一番影響を受けるのはISO9001でしょう。 
 IRCAのサイトでは、「AnnexSL」は規格ではなく、規格開発者がマネジメントシステム規格を開発する際の支援となる付属書であり、この付属書は、現在の各規格には多くの共通要素があるにもかかわらず、十分に整合していないため、組織がシステムを合理化し、調和、統合するのを難しくしているという規格ユーザーの批判に対応すべく開発されました。 ……この付属書の使用が開始されれば、全ての新規及び改訂されたマネジメントシステム規格は同じ構成となり、全ての規格の共通領域で、同じ用語及び条項構成が用いられることになるでしょう。ISO 9001の顧客重視やISO 14001の汚染予防のような問題などの要求事項についても、改訂の際には共通の構成の中で取り扱われることになります。  …… 特に、付属書の中には新規の項目があり、トップマネジメント、その役割、及び組織の状況を理解する必要性に主な焦点が当てられています。全体的な枠組みを以下に紹介します。
1.適用範囲
2.引用規格
3.用語及び定義
4.組織の状況
5.リーダーシップ
6.計画策定
7.支援
8.運用
9.パフォーマンス評価
10.改善
引用:http://www.irca.org/ja/resources/inform/archive/issue32/1/ISO-Guide-83/
  :http://www.irca.org/ja/resources/inform/archive/INform7/-/Annex-SL/
    :AnnexSLはこちらからDLできる。こちら

1)改訂までの日程

   

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