ふらふら 日記


■ 5月16日(土) 奥多摩・池田フェイス 晴れ後曇り

 まだ第二登のない真島さんの「ゴースト・ステップ(5.13a)」を原田君が見てみたいらしく、真島さんと原田君の三人で池田フェイスへ行くことにする。 池田フェイスはチャートの垂壁で、今のはやりからは外れているけれど、壁に走るクラック状のインナー・ホールドを使うルートが多く、楽しめる。

 あまり人気の無い岩場なのに、ホール・バックを持った先客が一人いる。 挨拶するなり、「アメリカン・エイドの練習をしたいけど、音とかが耳ざわりで雰囲気が壊れるなら帰りますけど」と言われる。 「音とかは関係ないけど、ここはフリー・クライミングの岩場として開拓されたところなので、ネイリングするのは良くないのではないか。 フレンズとかナッツを使ってクラックを登るのは問題ないと思うけど。」と答える。 その人はどうしようかと考えているらしく、岩場の左の方を見上げてウロウロしている。

 壁に草とかが少し生えているので、真島さんが「プロパー・ストレンジャー(5.10c)」を登り、降りながら壁の掃除をしている。 さっきの人も登ることにしたらしく準備をしている。 どうするのかと思って見ていると、ピトンの束とかもギア・ラックに付けている。 ほっておいてはいけないという気持ちになり、もう一度話に行く。 前と同じようなことを繰り返し話していたら、「そんなことは、わかってんだよ! 帰るよ! 」と怒ってしまい、ギアを投げ出している。 話し合うという雰囲気ではなくなってしまった。

 私はこの岩場の所有者でも開拓者でもないので大きなことをいう資格はないのかも知れないけど、今日、私たちが来ていなかったらどうなっていたのだろうかと思うと暗い気分になってしまった。 クライミングを楽しもうという感じではなくなってしまった。 「しかたないんじゃないですか」と某山岳会に所属して本チャンの経験もある原田君に言われる。

 気を取り直して「ファースト・フィンガー(5.10a/b)」でウォーミング・アップするけど、ギリギリで登れたという感じだ。 次は、私のお目当ての「スティンガー(5.11c/d)」をやる。 三回やったけど、結局、登れませんでした。 体も動いていないけど、落ちるのが恐くて、つっこめなかった。 精神的に弱い。 その後、「きいてないよー(5.10d)」に挑戦し、これはなんとか一撃する。 最後に「スティンガ」の下部に残っていたヌンチャクを回収しに行きましたが、ほとんど各駅停車でした。

 原田君は「スティンガー」を登った後で「ゴースト・ステップ」に挑戦してました。 が、カールク帰り討ちにあったという感じでした。 真島さんは、さすがに初登者で、核心部で一回落ちてたけれど、終了点まで登りました。 もう一つの公開プロジェクトにも、一度だけリードで挑戦してましたが、今日は登れないと言ってやめてました。

 イヤな思いもしたけど、黙っていたら後悔したと思うので、まあ、良かったのでしょう。 「スティンガー」のムーブを忘れないうちにまた来たいと思うけど、どうなることやら。

■ ルート図


1998年5月18日作成
Copyright 1997-1998 Hirosawa=Makoto