黄金の3日間、こう過ごした |
初めての6年生の担任である。行事などで追われないように、事前準備を綿密にして、
始業式に臨んだ。
6年生は始業式の前日に準備のため学校にくる。各教室の荷物移動の手伝いのあと、
体育館での入学式の準備、装飾、掃除、一年生の教室での教科書や配布物の準備などを行う。
(どこへ行き、何をするかは終業式ですでに指示)
当日の指示は昨年度の担任が行う。一事一原則を意識して、指示を行った。
・ あいさつ(大きな声で)
・
今日手伝いに行く教室の順に並びなさい。右から1の1一番左は6の2です。
・
おへそをこちらに向けなさい。お話します。
・
これから行く教室の先生の指示に従います。時間は9時半までです。
・
雑巾は持って行きます。それ以外の荷物は置いていきます。
・
各教室へ移動します。
・
仕事が終わったら、次の担当の場所に行きます。
・
移動開始。
9時半ごろ、体育館に子どもが集まってきた。1年生の教室に行く子ども以外の子どもが
体育館に来るが、今年は新しい先生ばかりで、先生方の仕事と子どもの仕事の指示をすべて
しなければならず、終業式で話した仕事が終わると、「次何するんですか」と次々に言いに
きた。ここは、認識・準備不足。また、一度集めてから指示をすればよかったと反省した。
指示に追われ、指示が行き届かない子は休んだり、遊び始めた。
そこで、「ここにあるいすを全部、水ぶきします。一人一回です。」と指示。その間に仕
事を考え、終わった子どもから、からぶき、モップかけ、装飾と次から次から仕事を与え、
暇のないようにした。
最後は、全員を集め、始業式の時間や持ち物などの指示をする。
子どもが帰宅後、職員会議。4時過ぎから前日準備
・
下駄箱、ロッカー、荷物かけの名前貼り
・
教室環境整備
@ 学校目標、生活目標、生活時程表を貼る。
A おたよりを貼る場所に色画用紙を貼る。
B 机の確認、いすの確認、教室備品の確認
C
黒板や机をきれいにふく。
・
名簿の印刷
・
集金袋の準備
・
学級だよりの印刷
・
副教材を選ぶ(今年も、赤ねこ計算スキルを採用)
・
学校の校務分掌などの事務
・
掃除・当番表の作成
・
TOSS到達度評価テストの印刷など(2日目以降の教材の準備)
一日目 |
1、担任発表
笑顔で子どもたちの前に立つ。前に並んでいる子と少し話す。
2、クラスの時間
・ サッカーゴールの前に集合
・ 「先生の一メートル以内に近づきなさい(人数が少ないので)」
・ 「おへそをこちらに向けなさい」
・ あいさつ「おはようございます。」15点。校庭のはじまで届くくら
いの大きな声で言いましょう。「おはようございます」100点。
大きな声だと気持ちがいいね。
(100点以上になるようにあと一度やり直させるべきでした)
・ 教師のあいさつ「今年もよろしくお願いします。前日準備での働きはとてもすばらしか
ったよ。他の先生方もみんなほめていました。今年も楽しみです。またいろいろなこと
をしましょう。」
・ 下駄箱の確認と、入学式参加のために教室へ移動
・ 新入生補助の子どものみ、玄関へ。教師はあちこちへ行くので、教室待機の子どもには
黒板に書いた早口言葉を言えるように話しておく。
・
合間、合間で教室へ行き、早口言葉のテストを受ける。受かった子に
先生役になってもらう。
3、入学式
・ 終わったあと、教室で子どもたちをほめる。「式の態度は立派だったよ。」
・ おたよりをわたす。題名の由来やみんなのいいところを書いたことを話す。みんな、
自分の名前を探していた。笑顔で読んでいた。友達のところを読み納得している様子
もあった。「今年もよいところを伸ばして、どんどん活躍する6年生になりましょう。」
→現在、子どもたちは驚くほど、ここに書かれたように行動している。
・「先生は今年、おたよりを100号出します。みんなにも100回、がんばってもらうこと
があります。どちらががんばれるか、競争しましょう。」
とやらせるだけでなく、教師の決意も示す。
・ 次の日の予定と持ち物を確認する。(準備するものリストを一緒に配布し、一週間は持ち
物チェックをすると宣言)
・ さようなら
二日目 |
・ 教科書を配る→ページ数の確認→名前の記名(本来宿題にしたいが、ここの学校の子ども
は何度言っても、教科書、ノート、持ち物に記名が少なく落し物も持ち主が見つからない
ことが多いので、時間を取った。ここで、机間巡視しながら筆箱の中身のチェックと、無
記名で一年過ごすことがないように、隣同士の確認と最後に教師のチェックを入れる。学 校保管の教科書を集める)
1、
教師の決意を語る(叱る3原則)(期待する姿3つ)
2、
ルール、マナーの確認
@ 下駄箱では、決められたところに下履き、共用のところに上履きを入れる。
A 座席は、目の悪い人優先。2ヶ月にいっぺん変える。
B 給食当番は、班ごとに一週間交代。給食着の番号は決めておく。洗濯したら、
次の人に渡す。忘れたら、6か7の給食着を着る。
C 掃除は班ごと。一週間交代で行い、掃除の担当するものは、番号ごとに、一日交代とする。
D 日直は、一人で行う。座席順か名簿順か・・・。→座席順になった。
朝の会―係からの連絡(出席、健康観察、宿題チェック、朝自習、宿題そろえ)
先生がきたらあいさつ
給食―準備は一分間で行う(去年は遅いとよく給食主事さんに言われたので)
いただきます(チャイムが鳴り終わってから、20分後)
ごちそうさま(食べ始めてから、25分後に行うー最大1:05まで)
E 提出物は朝来たら、広げて指定の場所に出す。忘れたら、連絡帳に書く。
F 集金袋は、先生が来るまで出してはいけない。
G 忘れ物は、前の時間までにそろえておけば、セーフとする。ただし、申告はする。
H 給食準備は協力して行う。
I おかわりは、一つものは、立候補ジャンケン。(エントリーは一回)
J 汁物、ご飯物は食べ終わった人から順番に。(残りが多いときは、いただきますの前に先生
が希望者全員に配る)
K 自主的な係は、希望者が集まれば、作ってよい。一ヶ月ごとに、係の仕事を紹介してもらう。
L 先生が、チャイムが鳴ってもなかなか来ないときは、朝自習係が指示する。
M 休んだ人がいたら、隣の人が欠席カードを書き、近所の人に預ける。
二人とも休み、または、一人席の時は、班の人が分担する。
N 給食は、半分以上食べる。どうしても残しそうな場合は、多目にはもらわない。
O 残さず、早く食べ終わったら、片付けて、連絡帳を書いていてよい。読書も可。
P 気分が悪くなり保健室へいったり、早退した人がいるときには、給食の片付けは隣の人が
行う。先生が付き添ったときは、日直が行う。
Q 休み時間は、健康のために、外で元気に遊ぶ。ただし、宿題わすれ、課題おくれ、具合が
悪いなどのときは教室でよい。
R 雨が降ったときは、教室で静かに過ごす。トランプはやってもよい。
S そうじが終わったら、終わっていないところの手伝いをする。最後にあいさつをする。
21 並び方―集会、朝礼は背の順。体育は、男女別の赤白。避難訓練は背の順。
その他、遠足、移動教室では変更もある。
専科の授業は名前順。すべて、先頭の指示に従う。
先頭の人がハンドサインを送る。グー→座る チョキ→静かに パー→立つ
一番後ろの人が、先頭に合図を送る。
22 五分休みは、次の授業の準備を行う。トイレ、水のみに行く。静かにすごす
23 用がないとき、先生が出張などでいないときは、放課後は残らずに帰る。
24 夕焼けチャイムを守る。残る必要がある場合は、先生に言う。
25 持ち物―赤鉛筆1本、鉛筆(2BかBの濃いもの5本)ミニ定規、白の消しゴム
記名はしっかりとし、鉛筆は毎日削っておく。
26 ノートは記名をしっかりとし、新しいノートになったら、ナンバーを入れて、先生に渡す。
2
ておく。
28 話は目で聞く。
29 あいさつは大きな声でしっかりと。
30 いすはきちんと入れよう。
31 整理整頓を心がけよう。
32 ありがとうを毎日、たくさん言おう。
33 手をしっかり挙げて、進んで発表しよう。(一日2回以上目標)
34 自分のためでなく、みんなのために働こう。
35 差別、いじめは絶対にやめよう。見たら、注意しよう。
・ 問い返しながら、変更になった点は、子どもに確認したり、意見を聞きながら、
時には趣意説明をいれながら、全体で確認を行った。
・ 学校、学級の組織作り
春休みにつくった一覧表をもとに、はじめの三日間ですべてを決めた。そして、学級活動
がすぐに流れるようにした。一覧表には、すべて名前を入れて、プリンターで打ち出し、
色画用紙にそれぞれ色を分けてコピーして翌日からすぐに掲示した。
掃除や当番などは毎日自分たちで確認しながら行い、教師の指示がなくても、動いている。
(今のところ何人ですか、どこをするのですかという質問はない。)
委員長・部長・班長・係長など、長がつくものに一つはなろう。と去年から声をかけてきて
いるので、今年は委員長はすべて私のクラスから出た。縦割りや遠足の班長などもかたよら
ず、ほとんどの子が「長」を経験するようになった。
のちに、保護者会で、「今まで、兄弟で何度か6年生を見てきたが、だいたい、リーダー
になる子はいつも同じメンバーで、他の子はいやいやという雰囲気があった。こんなにいろん
なこどもが進んで立候補して、何でもやろうとする6年生ははじめてです。掲示してある担当
者などをみても、驚くばかりです。先生の子どもの動かし方はすごいですね。
親の方もがんばらなくてはと思います。」といわれ、PTA役員や卒対に、保護者会参加者ほと
んどが立候補するような盛り上がりになった。保護者への波及効果。
四時間目 遠足のために自習体制(TOSS到達度評価の算数)
終わった後のプリントの出し方、終わらなかったときの指示、帰りの会の持ち方、先生がい
ないときは残らず帰ること、次の日の持ち物などを確認し、先に決めた係のこどもたちに早
速仕事を始めてもらった。
三日目 |
一時間目 学活
クラスの目標は宿題とした。「あなたたちは〇小一のクラスだと先生は認めていますので、
目標は大きく、日本一○○なクラスとしましょう。」と、○○のところを考えてきてもらっ
た。
明るく楽しい、けんかの少ない、欠席の少ない元気な、協力する、
楽しい、頭がいい、心がやさしい、やる気がある、男女仲がよい、ゆかいな、
声が大きい、外で遊ぶなど、20個ほどの候補の中から、多数決で決めた。
途中、「市内一」「宇宙一」「世界一」でもいい?という意見もきかれた。
結果、『日本一 笑いあり けんかありのクラス』となった。
けんかありということは、いじめなどでなく、その場で当事者同士がスパッと解決という
意味があり、笑いは元気、明るい、やさしいなどが含まれるということで、みなが納得して
決まった。
二時間目 算数 (ノートスキルで授業開き)
向山型算数教え方教室4月号のノートスキルを拡大して、ノートの取り方を指導した。
お手本をよく見て、はみ出さないように、ていねいになぞりなさい。 定規を上手に使える子はかしこくなります。鉛筆に気持ちを集中させて書くと算数がよくできるようになります。 |
終わったあと、TOSSノートをくばり、記名とナンバリングをさせたあと、
ノートの最初の見開きページに貼らせた。
「わからなくなったら、これを見て、ノートの取り方を確認しなさい」と話した。しか
し、後日、日付を小さく書いたり、もったいないとつめて書く子どもがぽつぽつ出て、
書き直しをさせた。きちんとできている子は全体の前でほめた。
三時間目 体育
赤白の組み分けと、ハンドサイン・整列の確認を行ったあと、ゼッケンドッジボールを
行った。(「授業参観日・学級PTAで使えるネタ43」サークルやまびこ 明治図書)
「赤は青ゼッケン。白は黄色ゼッケンをとりなさい。」と指示。
「赤組はAコート、白組はBコートに入ります。」
市内のスーパードッジボールに参加した子どもがほとんどなので、そのルールと区別する
ために一度センターラインに並ばせて、座らせてから説明。
「当たったら、外野に行きます。外野で内野の人を当てても、命の復活はありません。
最後に、残った人のゼッケンの番号を足して、多かったチームが勝ちです。」
ここで、はじめて、ゼッケンのことを言う。運動が好きで、好きな番号をとった子どもは
だいたい一桁の番号なので、あせっていた。が、第一試合はそのまま開始。
試合終了。ここで初めて作戦タイムを取り、ゼッケンを取り替えてもよいことを告げた。
苦手な子には小さい数字。また、得意な子は大きい数字という配慮が見えた。試合中も
番号が大きい子を一生懸命狙うなど、盛り上がった。
四時間目 社会
都道府県、県庁所在地探しゲームを行った。○付けをしながら、同時にノートの日付やタ
イトルの書き方のチェック、箇条書きの書き方の確認も行った。
ノートに今日の日付を書きます。算数のノートのように、大きく日付を書きなさい。できていなかったら、答えがあっていてもやり直しです。 |
ノートの一番左のマスに@と書きなさい。これから、問題を出します。答えの県と県庁所在地をセットで書いて、先生のところに持ってきます。地図帳を見てもかまいません。 第一問 日本で一番面積の大きい都道府県と県庁所在地は? |
簡単、簡単と言いながら、「北海道」と書いて持ってきた子ども。「県庁所在地があ
りません。」「日付がありません。」「日付が小さいです。」と返す。ここで逆転現象
が起こる。
『一番!』『二番』と○をつけながら言っていく。先着十番まで。と言うと鉛筆の音が
早くなった。
第二問 日本一大きい湖のある県と県庁所在地は。 |
と、第一問と同様に、先着10名まで○付けをしたあと、全体の前で答えあわせをしなが
ら、進めていった。一番最初に来る県を秋田としたり、一番最後に来る県を山口とする子
どもが多かった。答えがちがっても、何度も挑戦してきた。書き方が違うと、返されるの
でみな必死にノートを取っていた。
第七問目は、二つあったが、一つしか考えておらず、子どもに教えてもらった。「すごい
ね。先生は気がつかなかったよ。」と一言。
四年生の時に、山がつく県、島がつく県というものをやったので、今回も「次は山がつく
都道府県でしょう。」「次は島でしょう?」と先を見通して、ノートに書こうとしている
子どももいたが、ことごとく裏切った。いろいろ用意しておいてよかったと思う。(実は
すっかり忘れていて、7問目に入れようとしていたが、とっさに変更した。)
その後、朝自習係の子達もこの問題を応用して考えていた。