第9章    マイネルファラオデビュー戦(99/8/7)

 待ちに待った愛馬ベル(マイネルファラオ)のデビュー戦。ラフィアン東京事務所に何度も電話してデビュー戦の日取りを確かめ、飛行機を押さえ、この日を迎えた。
 お盆休みに入った土曜日であり、またハイジャック事件の直後ということもあり早朝から羽田空港は混雑している。わかちゃんといとうはJALの出発カウンターで待ちあわせ、チェックインするも隣の席は取れず、別々に座ることになった。さらにいとうは金属探知器に引っかかりボディーチェックを受ける始末。定刻を少し遅れて9:30頃、新千歳空港に到着する。
 デビュー戦は5R、午前中最後のレースだ。空港からやなせの車で競馬場へと急ぐ3人。
 空港を出てしばらくして、「あれが札幌の時計台?」と今回が初北海道のわかちゃんが尋ねる。札幌市街まではまだかなりあるので時計台の訳がないと思ういとう。ほぼ同時にやなせの解説「あれはニセ時計台。本物はもっと小さくて、札幌市街の分かりにくいところにある。」、「てっきりあれがそうなのかと思っちゃった。」とわかちゃん。

 宝塚記念でサイレンススズカグッズをもらいそこねたわかちゃんは、今回は下調べ十分。「先着1万名にうちわが配られるらしい」、とわかちゃん。やなせが首をかしげる。「1万名なら絶対もらえるけど、そんなに配るかな?」、「HPに書いてあったもん」。期待をふくらませる3人。この日は暑かったのでうちわをもらえると助かる。だが競馬場に到着すると、うちわを持っている人はいるが、もう配ってはいない。「この人の感じだと、1万人は入っていない」とやなせ。「1人で何枚ももらった人がいるんじゃないの?」下衆の勘繰りを入れるいとう。

 うちわはさておき、パドックにはもう4Rの馬が周回している。大急ぎで整理本部に行き、申請を済ませるとパドックが空くのを待ち、場所を選んで2枚の横断幕を張り出す。東京と違って張るスペースにはゆとりがある。すべてがのどかな雰囲気だ。
 カメラの用意をしていると、いよいよ5Rの馬たちが入ってきた。マイネルファラオは6番目だ。初めて見るファラオは華奢だけど賢そうな顔つきをしている。前の馬がチャカつくと少し驚いたような顔をして首を上げるも落ち着いた気性のようだ。ファラオが前を通るたびシャッターを切るわかちゃんといとう。騎乗命令がかかり横山賀一騎手が乗る。厩務員さんは横断幕が2枚張られているのに気がついたらしい。写真を撮っているとファラオも横山騎手もこちらを見てくれる。このレースだけはほかの馬は目に入らない。「無事に走ってきてほしい」それだけを願って本馬場に向かうファラオを見送る。
 御自慢のデジカメを使って張り切って写真を撮っていたわかちゃん。本馬場では望遠レンズをつけてファラオを撮っていたが、モニターで出来上がりを確認してがっかり。デジカメに望遠レンズをつけると、ファインダーから覗いた映像と、実際に撮れる映像がずれてしまうのだ。ちょっと涙目。いとうに「こっちはちゃんと写っていると思うから…」と慰められる。
 こうやって競馬場内を忙しく走り回っているうちに出走時間が近づいてきたので、あわてて馬券を買うことにした。わかちゃんは「ベルの単勝100円を10枚買って周りの人に配る」と意気込んでいる。その横でいとうはベル絡みの単・複・馬連・枠連を無事購入してあとはレースを待つのみ…と思って馬券を確認すると枠連の軸を間違えている。慌てたいとうは買い直しに行って戻ってきて馬券を見ると今度は馬連で買っている。枠連はめったに買わないとはいえ、2度も間違えるとは…。
 人気はないけど本馬場入場後も落ち着いているファラオ。「掲示板ぐらいには載るんじゃないか、載ってほしい」と期待を込めた予想をする3人。芝1200mは2コーナー奥のポケットからスタートする。「調教時計からして追走に苦労するんじゃないか…」という予想が的中し(?)後方からのレースとなる。直線に入って脚を伸ばすも届かず、5着。けれどよく走ったと思う。この先期待の持てるデビュー戦だった。また無事に走り終えてよかった。「次ぐらいには、勝てるかな」「いや年内には勝てるよ、きっと」「いちょうSに出ないかな」などと期待が膨らむ3人。

 この後、うちわの真相が判明。うちわに執念を燃やしたわかちゃんがつかんできた情報によると「先着1000名だった…」とのこと。あいかわらず数字に弱いわかちゃん。
 それでもうちわをあきらめきれないわかちゃんは、午後になって「誰かうちわいらない人はいないかなあ。」と言い出す。「帰る時に捨てていく人もいるかもね、持っている人に『いらなかったらください』って言ってみれば?」と、いとう。この日は結局1日暑かったため、捨てる人もなく、みんなうちわのお世話になりながら帰っていったので、結局手に入れることができなかった。残念。

 今回の宿泊地は定山渓温泉。競馬&温泉&日本酒の旅は毎回一緒。風呂がとても広い宿で、露天風呂も多くとても楽しめた。夕食も盛りだくさんで(北海道という感じはあまりしなかったけど)大満足。夕食後は明日の牧場巡りの計画を立てる。

 今回のもう一つの目的は牧場巡り。札幌から3時間かけてやなせの運転で、有名種牡馬を見に行く。わかちゃんといとうは牧場巡り初体験である。
 一番の目的はベルの父アンバーシャダイのいるアロースタッド。ほかにメジロライアン、タマモクロスがいる。あとはわかちゃんが大好きな田原騎手(当時)騎乗のマヤノトップガンのほかオグリキャップのいる優駿スタリオンに行くことになった。もう一つの候補だった静内スタリオンは見学時間が合わなくて見られなくて残念。
 でもその分、優駿スタリオンではマヤノトップガンを思いのほか近くで見る事ができ、アロースタッドでは見られるとは思わなかったラムタラや、いるのを知らなかったタイキシャトルを見ることができ、とても有意義な牧場巡りとなった。また最後にノーザンホースパークに立ち寄り、社台グループがいかにすごいかを見学。社台ファームも外から眺め、これでは他がかなうわけがない、と納得してしまうすごさだった。
 こうして一日牧場地帯を回り、夕方千歳空港で解散し、北海道の旅は終わった。時計台を見ることも、トウモロコシを食べることもなく、競馬場と牧場と温泉以外は行っていないが、とても楽しい旅だった。
飛行機を取った後で、日程変更の可能性が生じ、かなり焦った。



常習犯らしい。






そもそも地理をよく分かっていない。結局本物の時計台を見ることもなく今回の旅行は終了する。





















ファラオは振り返ってこっちを見ていた。本当に。
わかちゃんは密かにPOGで取ったダイイチラインの写真も撮っていたが。


いとう=本職。








舞い上がりすぎ。

9番人気。





いちょうS信奉者=わかちゃん。



ラフィアンの出資口数も200と勘違いしたままなかなか覚えられない。






定山渓グランドホテル。











たまたま牧場の人が近くに連れてきてくれた。暑くて厩舎に帰りたそうだった。





帰りはポケモンジェットに乗った。子供だらけだった。

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99/08/31 (火) 22:22:38 W