第2章   「そのまま、そのまま、そのまま、そのまま〜!!!」
       第32回スプリンターズステークス(98/12/20)

 試験の前日にもかかわらず、何故か中山競馬場に集う3人。
 しかも、指定席でGTを見よう!、という意気込みのもと、始発で家を出たり(わかちゃん)、寮で後ろ指をさされたり(やなせ)しつつ、7時に船橋法典駅に集合した。

 正門に近づくと、指定席の発売状況が掲示されていて、まだB指定は余っている模様。
 中央門から入場し、B定席(禁煙)の列を探して並ぶと、わずか10分ほどで整理券が配付され、解散。結構ぎりぎり。8時ちょうどに再び集合し、番号順に並ばされた後、指定席券をゲット。開門時間(8:30)を少し過ぎたくらいの時間だった。

 指定席券を手に入れ、今度は横断幕申請のために整理本部へ。ひととおり申請は終わったようで、もう誰も並んでいない。
 素早く申請書を書き、シールを貼ってもらい、パドックに降りていくとスタンド側にまだわずかに空きがあったので、そこへ張り出すことに。今日はロバーツの短期免許最終日。まだ横断幕を張り出した日に勝ったことが一度もないので、今日こそは勝ってほしいと切望する3人だった。

 ガラス張りの指定席はとても快適で、10時頃から早くもビールを飲んでいい気分になる。内馬場を散歩したり、明日が試験だということなどすっかり忘れる3人。

 そしていよいよメインレースのスプリンターズステークス。タイキシャトルは絶対負けないとの予想のもとに、相手探しをする3人。
わかちゃん・・・ワシントンカラーとマイネルラヴ
いとう・・・・マイネルラヴとシーキングザパール
やなせ・・・マサラッキ

 いよいよ電撃の6ハロンがスタート。タイキシャトルはいつものようにきれいなスタートで問題なし。エイシンバーリン、シンコウフォレストらが先行する中、4コーナーをまわってシャトルがいつものように先頭に立った。ここで後続を突き放すかと思いきや、何と外からマイネルラヴがシャトルに並びかけて粘る、粘る。直線は完全にシャトルとラヴの一騎打ち。でも、明らかにシャトルの分が悪い。
 「シャトル〜!差せ〜!がんばれ〜!!!」と声援を送りつつも、馬券が当たることに変わりはないわかちゃん&いとうは内心余裕。だがそこへ最後方から一気に先頭の2頭に迫る馬が!。「あっ、バカ!そのまま、そのまま、そのまま、(以下くりかえし)そのまま〜!!!」という二人の声援もむなしく、シーキングザパールがシャトルをアタマ差とらえ、シャトルはまさかの3着に敗れた。
 ボックスにしておけば万馬券をゲットできたはずのいとうはしばらく動かず、わかちゃんも直線の声援(怒号ともいう)に疲れ果て、3人の間にはしばらく沈黙が流れた・・・。

 ラヴ表彰式終了後、予定されていたシャトルの引退式が始まる。関係者は勝って引退、と目論んでいたのだろうが、負けて、しかも3着で、何となく会場がしらけたようなムードになってしまったのは、ちょっとシャトルには気の毒だった。あれくらい頭のいい馬だと周りの反応って判りそうだし。
 また、さらに火に油を注ぐような出来事が。シャトルの戦績がターフビジョンで紹介されたのだが、一番最後に「98年スプリンターズS 1着」と表示されていたのだった。JRAもシャトルが負けるわけはないと思っていたのだろうけど・・・、寒い一幕だった。

 その後横断幕を外し、記念写真などを撮り、肩を落として西船橋まで夕暮れの道を帰っていく3人。「ま、いっか。来週あるし」「そうそう、有馬でリベンジね」、・・・有馬にも敗れ1週間後にやはり同じようにこの道を歩く未来をまだ知らないので、このときは幸せなのだった。
と思っているのは周りだけ。
3人にとっては当然のこと。












張らなかった日に限ってGT(朝日杯)を勝ってしまった。


温室みたいなもの。













マサラッキはすでに馬群に沈んでいたため、やなせはもう静かだった。



中山の直線をあんなに長く感じたのは初めてだった。一緒に走った訳じゃないけど。





しかもターフビジョンいっぱいに、でかでかと。




さらに始発で金杯にも乗り込む未来も・・・。

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99/08/31 (火) 21:39:02 W