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 東京組(いとう&わかちゃん)は早朝の羽田から一路北海道へ。ベル(マイネルファラオ)が待っていると思うと(別に待っていないか)朝が早くても気にならない。しかし土曜の朝の羽田ってツアー客とゴルフオヤジばっか。ところで、チームワークのない2人は行きの便が別々になってしまうのだった。途中、気流の関係で少し揺れたりもした飛行機は無事千歳空港に到着。ここでは白山優駿会北海道支部長やなせが2人を迎えてくれる。「駐車場の入り口で待ってるから」と携帯で連絡が。「駐車場ってどっちだっけ?」「確か近くにカニ売場があったような気がするんだけど・・・」などと話しつつ行ってみると、果たしてそのとおりだった。人間結構つまらないことを覚えているものだね。「暑いんだよね、去年の夏まではいかないけど、今日の札幌は26℃くらいになるって」会うなりぼやくやなせ。「私たちが来るときはいつも暑いよね」とわかちゃん。車を飛ばし、ベルの生産牧場のある新冠町へと急ぐ。車は順調に流れている。
 今日の最初の目的地は新冠にあるベルの生まれ故郷、武田寛治さんの牧場(武田スタッド)。実はこの旅の二週間ほど前、わかちゃんは武田さんへ手紙を書いて見学を申し込み、快諾を頂いていたのだ。11:30頃、地図を頼りに武田スタッドへ到着、と思いきや隣の隣の武田牧場でした。はずかし〜。 この辺は武田さんが多いのだそう。そこで武田スタッドの場所を教えてもらい何とか到着。
奥様の和子さんが出迎えてくれ、あいさつをすませ(ご主人はいらっしゃらなかったようで、途中で、お嬢さんが学校から帰ってきました。)、早速ベルの当歳時の写真を見せてもらう。「か、かわいい〜」。思わず声が出るかわいさだ。
 マイネルファラオはビッグレッドファームでは「ベル」と呼ばれていたが、武田スタッドでの幼名は「アークザラッド」で「アークちゃん」と呼ばれていたという。ファラオには生まれた時の、今まさに立ち上がろうとしている写真からあって、「生まれたときの写真はどの馬もあるわけじゃなくてね」と説明してくれる。流星は生まれたときから同じなんだ、ということを知った。まだ顔が小さい分流星は大きかったが形は全く今と同じ。流星で他の馬とすぐに区別がつく。「牧場にいるときから体は小さくて」と当歳の頃の話も聞かせてもらえた。ただ、性格はやんちゃだったそう。ベルのほかにもたくさん種牡馬、生産馬の写真も見せてもらいました。「マイネルファラオのどこが気に入って馬主になったんですか?」和子さんから訊かれる。「顔ですね、賢そうな顔です」やなせが答える。うなずくわか&いとう。
ダイタクベルタ
ダイタクベルタ
繁殖牝馬と2歳馬
繁殖牝馬と2歳馬
 「ところで、ダイタクベルタは今いるんですか?」すかさず尋ねるやなせ。「いますよ。見ますか?」と気軽に応じてくれる。「でも人が近づくと逃げちゃうから近くでは無理だと思うけど」。どうやらベルのお母さんは人嫌いらしい。「1回放すとつかませないんですよ、だから種付けに行く日には朝放さないことにしているんです、つかませないから」。ベルの性格とは違うらしい。「ファラオは競馬場ではおとなしいですよ」。「そうですか。じゃあこちらから中へどうぞ」。なんと放牧地に入れてくれました。また、サンダルという軽装で来てしまったわかちゃんには親切に運動靴を貸してくださる。近づいていくと「あれがそうです、あの逃げていったのがダイタクベルタです」。早速トコトコと逃げて行ったダイタクベルタ(上段写真)。ほかの繁殖牝馬は人懐っこいらしく近づいてくる。ダイタクベルタは今20歳、ベルの下は「グッドマイチョイス」という先日函館でデビューしたばっかりの3歳馬。その下は不受胎だそうで、さらにその下は流産、今年はまだ止まったかどうかわからないそう。近づいてきた馬たちは変なやつらが来たと警戒しながら匂いをかぎ、なめてみる。「これがボスなんですよ」黒い繁殖牝馬を指差して言う。カメラにも興味があるらしい。変なものだもんね。(写真は繁殖牝馬と2歳馬たち) 
 「あっちにいるのが当歳と母親です」隣の放牧地に行ってみる。当歳馬がこわごわ近づいてくる。「かわいー」思わず声を上げる2人。「これがフサイチコンコルド(の当歳)です。2月に生まれてからほかのが生まれてくる4月まで1人ぼっちだったからほかの馬とあまり仲良くできないんですよ。最近はだいぶ仲良くできるようになったけど」黒い子馬を指していう(写真上)。その分人にはなれているのかやなせは好かれたようだ。長く子馬をかまっていると母馬が不安げに近づいてくる。この母馬は最近セールで購入したそうで、前からいる馬たちの群からは親子でぽつんと離れている。馬なりの縄張りというものがあるのだろう。
 子馬たちは怖いもの知らずでどんどん近づいてくるのだが、1組だけじっと警戒してかなり遠くからこちらを伺っている親子もいる(写真下)。本当に馬の性格って1頭1頭違うものだ。サラブレッドのほか、アラブの子馬もいたが、皆いつもと違った人間が来ているのが珍しいのか、ニオイをかいだり、カメラをなめてみようとしたりするので、こちらもよけるのに結構必死だった。
 「ところで配合はどうやって決めているんですか?」いとうが訊く。「リーディング上位の種牡馬の中からお馬の親子(パソコンソフト)で分析して決めています。受胎確認後の支払いの種牡馬にしています。」「あれは、私も馬を買うときに使っていますが、当たったり当たらなかったりですよね」一口馬主歴の長いやなせが言う。「へぇー(お馬の親子?どっかで聞いたことがあるような気も・・・ずいぶん近代的な決め方だな)」わか&いとう。「このくらいの牧柵で馬は逃げ出したりはしないんですか?」いとうが訊く。「大丈夫ですね。社台なんかでは、金網を張ってきつねとか犬から守っているみたいですけどね」と和子さん。 
フサイチコンコルドの当歳
フサイチコンコルドの当歳
警戒する母仔
警戒する親子
CVF全景
コスモビューファーム
 もっとゆっくり馬を見ていたかったけれど、今回のメインはベルに会うこと。12:30頃お別れのあいさつをして、次に向かう。優駿SSに立ち寄り、マヤノトップガンをちょっと眺め(去年同様遠いところにいた・・・)、眺めが良い展望台に寄って記念撮影、軽い昼食をとりスターホウヨウ98がいる新冠町コスモビューファームに向かう。正直場所がよくわからないので、勘で車を走らす。行ってみても牧場はない。走っているうちに静内町に入ってしまった。その頃には13:40になろうとしていた。約束は13:30だったので、ラフィアン北海道事務所に連絡し、行き方を教えてもらう。しばらく走ると「(有)稗田牧場」の看板を発見、ありましたコスモビューF。しかし道が急に登っている。「こんなところ登れないよ」やなせがつぶやく。「そんなことを言ってないで登って、スターホウヨウが待っているんだから(笑)」と、もう気持ちはスターホウヨウのところへ行っているいとうが言う。登ってみて事務所らしきところで訊く。そこではパートの方(?)から上に行って厩舎で訊くように言われる。何しろ広い牧場で、どこの厩舎に行けばいいのかさえわからない。一番近くの厩舎ではスタッフが何名か仕事をしている。そこで訊くと連れて行って、見せてくれるという。(写真はコスモビューファーム全景)
 車でついていくと一頭の馬を引き出してくれた。スターホウヨウの98だ(写真上下とも)。ポートレートの写真とはちょっと印象が違うので戸惑う3人。よーく見ると確かにスターホウヨウだ(スタッフがそういっているからそうなんだけどね)。一生懸命写真を撮る3人。スターホウヨウはカメラがあまり好きではないらしく、ちょっと暴れる仕草をしていた。「いいですよこの馬」スタッフの方が言う(少し話してからこの方が担当の長浜大介さんだと知った)。「そうですか。入厩はまだですかね?」「もうちょっとかかりそうですけど、いい感じですよね、今日もマヤノゴージャス(同じコマンダーインチーフ産駒)と併馬して、向こうはちょっとムチ入れてこっちは持ったままで先着しました。スタミナはあるけど瞬発力はもう一つでしょうか。今年も3歳が調子いいからね(新馬戦開幕週2勝2着1回)ツアーでもゴージャスと併せるんじゃないですか?ツアーは来られるんですか?」。「いや来ないんですよ。今度は調教見たいよね」とやなせ。「調教は8時から11時頃まででその頃こられれば調教も見られますよ。この馬は芝の方がいいと思います。距離は1600、1800、2000mくらいがいいと思うんですよ」。ちなみに長浜さんは「ホウヨウ」と呼んでいるという。思っていたより適距離は短めか。この辺は折合い次第で走ってみなけりゃわからないと思うけど。
 「池上先生もちょくちょく見に来てくれますよ」と続ける。「騎手は誰だろうね」とわかちゃん。「横山賀?中舘?」といとう。「結構いい騎手乗りますよね、藤田とか後藤とか。体重も460キロくらいになりました。もうちょっと増えてもいいんだけど」と長浜さん。「食べないんですか?」「ちゃんと食べるんだけど増えないですね、馬場では一生懸命走りますから」この馬を愛してくれている様子が見て取れる。安心する3人。「いいよねー、走るよきっと」すっかり情が移り、次来るときは、調教を見たいと思う3人。
 「どうもありがとうございました。ところでこの後真歌に行くんですが、行き方がわからないので教えていただけませんか?」やなせが訊ねる。「この辺は初めてですか?静内温泉の看板が見えたらそこを右に入って、ずっと行くと静内温泉があるんですけどそこをもっと行くと左側にキャンプ場があってもっと行くと右側に黄色い看板に『真歌トレーニングパーク』って書いてありますのでそこです」と分かりやすい説明をしてくれた。長浜さんは本当に好青年だった。ありがとうございました。コスモビューFをあとにして、結局日本一勾配の急だという坂路とゲストハウスを見られなかったのは残念だった。
スターホウヨウの98
スターホウヨウの98
スターホウヨウ98
ファラオ
ファラオ食事中
マイネルファラオ
調教コース
真歌トレーニングパーク坂路
 長浜さんに教わったとおり車で走っていくと、ずいぶん距離がある。静内温泉もキャンプ場も越えてこんなところに牧場があるのかと思うようなところを抜けて行く。視界が開けるとそこに真歌トレーニングパークの看板が見えた。14:40頃到着。「また坂だよ。高いところが好きだよね」と言いながら事務所を探すが、それらしきものがない。近くに草刈りをしているスタッフがいるので訊いてみる。またもや車で連れて行ってくれるという。ついて行くと厩舎の前で停まった。厩舎の中にいるらしい。厩舎に入るとサッシュ、ラヴ(「噛み付くから気をつけて」と言われた。おそるべしG1馬)、アステール、ヘルツなどおなじみマイネル軍団が大勢いた(当たり前か)。プラチナムは放牧中、活躍馬ばかりだ。
 「Mファラオ」と名札がついた馬房を覗くが、ベルはいない。「外に出ているんだ。ファラオはまたこの暑いのに外に出て・・・。連れてくるから外で待ってて」とスタッフの方。日光浴ができるように庭付きの厩舎になっていた。連れてこられたファラオはしきりにいとうの手の匂いをかぐ。「ふるさとの牧場の匂いがするか?ベル」と、いとうが言うと「武田さんのところに行ってきたのか?」とスタッフの方。「ファラオは放牧してもあまり増えなかったね。じゃあ写真とるんでしょ、ファラオに足踏まれないようにね」と細かい心遣いをしてくれる。写真を撮り終わると「ごめんね、今草刈り中だから、もう馬房に入れるけど、あとは自由にどこでも入っていいからゆっくり見て行ってね」とのこと。忙しい中ありがとうございました。その後ゆっくりファラオと遊ぶ(写真上)。なでたり、写真を撮ったり。思っていたとおり素直でおとなしい気性のようだ。どの馬も人から大切にされているようで人を見ると寄ってくる。わかちゃんはアステールをなでているうちに、毛並みと反対方向になでたらどうなるんだろうという衝動にかられてやってしまったら、アステールに怒られてしまった。ごめんね。 でもベルがやっぱり1番かわいい。歯がかゆいのかしきりにいろんな物をかじっている。しまいにはわかちゃんの服(服についているリボンがぶらぶらしているのが気になったらしい)とかデジカメのカバーまでかじる始末。
 と、馬達が一斉に厩舎の中に入っていく。何が起こったのかと思って見ていると、15:00の食事の時間らしい。スタッフの方が順番にえさをあげている。「こんにちは」あいさつを交わす3人組。ベルからはしばし相手にしてもらえない(写真中)。厩舎の外には日本一長いという1500mの坂路が見えていた。これがスタート地点もゴールも遠くてわからない。さすが1500m(写真下)。せっかく来たからほかの厩舎も見せてもらうことにした。隣の厩舎は3歳馬が多い。抽選で外れたカンブリアンヒルズ98とか最後まで候補に残ったMザトペック(ケイローマン98)とかもいる。さらに隣に行くとラムタラの産駒もいる。「募集されていない馬もここにいるんだね。コスモの馬もいるみたいだね」といとう。「ベルのいる厩舎とは造りが違うよね、外へは出られないようだし」やなせが言う。「向こうは活躍馬待遇の厩舎なのかな。ベルもそこに入れてもらえているのかな」「がんばったからねー」愛馬の待遇に気をよくする3人。「じゃあ、そろそろベルにお別れを言って次行こうか」やなせが言う。「そうだね、ペンタイアも見たいし」。「じゃあね、ベル。また競馬場で会おうね、ちゃんと食べて大きくなってね」別れを告げる3人。
 車をさらに東に走らせ、15:40頃ビッグレッドファーム浦和メインファームに到着。(写真上)ここだけは教えてもらわなくても迷わずに着ける。事務所に立ち寄るとペンタイア、シルヴァーエンディング、イブンベイのいる場所を教えてくれる。でもその場所にペンタイアはいなかった。シルヴァーエンディングは我々にはまったく無関心で草を食べている。イブンベイは3人の姿を見て寄ってきてくれる。愛想がいいようだ。6月の会報を見てもイブンベイは人に馴れているらしい。2頭の写真を撮り終え反対側の放牧地に行くと黒い馬が疾走してくる(人が来たので厩舎に帰れるのかと思って間違えたらしい)。「ペンタイアだ」感激する3人。「いい走りだったなあ。なんかペンタイアもほしくなっちゃうよね。走りそうだよね」一気に惚れる3人。「奥手だからどうなんだろう?」という疑問はあるが一気に興味を持ってしまった。やなせが今年の募集カタログをもらってくる。ペンタイア産駒は何頭かいた。買うなら値段的にもこれかなというのはマイネアモーレ99かダイナマッケンジー99、どうなんだろう?。
 ペンタイアはさらに奥に走って行って嘶く(写真中)。と隣の放牧地にいる馬はこぞって近づいてきて並んでいる。「ペンタイアはボスなのか?」いとうが言う。ペンタイアはさらに移動してまた嘶く。今度は向かいの放牧地にいた馬が整列する。この馬たちは繁殖牝馬で、マチカネローレライ、ニホンピロアドニス、ヘイセイサンデー、マイネポラリスだった。「牝馬に対して嘶いているんだ、それで寄ってきているんだ」状況を理解する三人。ペンタイアはすごかった(いろんな意味で・・・)。そこを牧場スタッフがカートに乗って引き上げて行く。「こんにちは〜」真歌でもあいさつしたけどBRFは会うスタッフがきちんとあいさつしてくれる気持ちのいい牧場だ。(注、帰京してから東京事務所に確認したところヘイセイサンデーはBRFでは持っていないということでした。繁殖牝馬だと思っていたのは実は2歳馬で、ペンタイアは2歳馬に対して嘶き、呼び集めていたということが判明しました。)
 「2歳馬はどこにいるんだろう?」というわかちゃん。あれは?と指差してみたのはきれいな流星のはいったツルマルジョオー99だ(写真下)。「関西馬かー。写真だと印象ちがうね」3人組にとって関西馬は対象外なのでちょっと残念。「来週のツアーではいい子にしているんだよ、ちゃんとたくさん会員から気に入ってもらえるようにね」自分達に関係のない馬にエールを送る3人。あっちは?と行ってみた先にもまた何頭かの馬がいる。シェイディレーン99、スナークミラクル99、アルカザーマ99、などがいる。ジェニュイン産駒(シェイディレーン99)も結構気になっているいとう、注目だ。サンデーサイレンス産駒も気性はおとなしそうだし(ここだけか?)、なかなかいい感じだ。16:30頃放牧に出ていた種牡馬も引き上げて行き、我々もそろそろ帰ろうかということになった。
 今回の旅行は日程がきつかったけれど、予定していた馬も全部見ることができ、いい旅だった。結構日帰りもいけるね、と思った。また千歳空港まで2時間、車を走らせ帰途へつく。やなせさん宿直明けだったのにありがとう、今度は泊付きで来るね〜。
浦和メインファーム
浦和メインファーム
笑うペンタイア
笑うペンタイア
ツルマルジョオー99
ツルマルジョオー99

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00/08/06 (日) 14:43:44 T