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まつたに よしのり

松谷義範

まつたに よしのり

1911.4.3(明治44)〜 1996.7.6(平成8)

昭和期の神学者、実業家(東邦薬品)

埋葬場所: 26区 1種 16側

 山口県出身。1936(S11)東京帝国大学文学部哲学科卒業。卒業後は女子キリスト教主義学校の英語教師をしながら、バルト神学の追究に打ち込む。戦前に神学の著書を多く出しており、『神学的人間の思考』(1940)、『十字架の神学叢書』(1940)、『飯 食生活の問題』(1941)、『カルヴインの教会観』(1941)、『使徒行伝講解』(1941)、『三位一体論序説 聖書と教会の論理として』(1943)、『教会と権威』(1943)などがある。また、カルヴインやカール・バルトなどの翻訳も刊行している。
 戦後は、戦時中に医薬品販売と医学書出版を行っていた経験から、'48東京都世田谷区北沢で東邦薬品(東邦ホールディングス)を創設し社長に就任。7名から医薬品の販売を開始し、社員総出で医薬品をリュックに詰めて販売ルートを開拓。'50下請け製造から医薬品の自家製造へ転換。'59池袋の医薬品卸と初めて業務提携を行い、これを機に東邦薬品のシェアが拡大していく。
 '63独自「班長制度」を導入し、実績重視の経営を進め、市場開拓が本格化、薬品卸の優良企業を一代で築いた。'68全国規模の医薬品卸「ナショナルホールセラー」への道を歩む。朝礼での社長講話は、なぜかご近所でも大評判、人の心を動かす、真摯な経営思想を貫かれた。'70合弁会社東北薬品を設立。'79業界で初めて株式店頭公開。'83初代オーダー・エントリー・システム(MCAシステム)を導入など、時代に合わせた方法を導入し規模を拡大していった。
 '91(H3)松谷眞に社長の座を譲り会長に就任。この時期の著書に、『松谷義範経営論文集』全3巻(1972,73,78)、『我覇道を歩まず 経営思想とマーケティング』(1988)、『経営者と哲学』(1989)などがある。
 学者から経営者に転身し、経営者の宗教意識と宗教的信念、キリスト教からの民主主義の哲学を実業を以って実践した。享年85歳。没後、2007『創業社長は哲学者!―東邦薬品松谷義範の生涯』(著:東風英太郎)が出されている。

<現代日本人名録>
<物故者辞典>
<東邦ホールディングスの歴史>


墓所

*墓石は洋型「松谷家」。右側に墓誌があり、俗名・没年月日・行年が刻む。


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