神戸寅次郎

　駿河国庵原郡松野村北松野（静岡県富士市）出身。神戸重次郎、タマの二男として生まれる。幼名は虎次郎。1917(T6)寅次郎と改名。静岡英学校を経て、1887(M20)慶應義塾正科に入塾し、1889.12卒業。
　1890.1 新設された慶應義塾大学部法律科に入学。ハーバード大学から派遣されたジョン・ヘンリー・ウィグモア教授に師事。1891 慶応義塾普通部教員を兼ねる。1892.12 慶應義塾大学部法律科卒業（第一回卒業生）。1893.1 同校法律科の教員になる。1998.9 法律科の教務主任を務める。
　1899.8 慶応義塾第一回留学生としてヨーロッパに遊学。とくにドイツのベルリン大学、ハレ大学に学び、ハレ大学からドクトル・ユーリスの学位を受けた（学位論文「日本の合名会社」）。1902.12 帰国。その後、'10 慶応義塾大学部法律科主任、'16(T5)法学博士会の推薦により法学博士の学位を受ける。'17 法律科学長、'20大学令による慶應義塾大学新設に伴い、法学部教授 兼 法学部長に就任した。'22.3 大学部閉鎖のため大学部法律科学長を退任。'28.3(S3) 法学部長を退任。'35 慶応義塾学事顧問を務めた。亡くなるまで40数年に渡り慶應義塾大学で教鞭を執り続けた。
　我が国の民法学の権威として法学界に多大な功績を残した人物である。著書に『契約総則』（1915）、『民法論纂』（1915）、『契約解除論』（1922）などがある。享年74歳。

＜神戸寅次郎先生略歴（慶応義塾大学法学研究会）＞
＜慶應義塾百年史など＞

＊墓所には4基建つ。正面3基の和型墓石が並び、左から「法學博士 神戸寅次郎 墓」、真ん中「夫人 神戸澄子 墓」、右「医學博士 神戸照雄 墓」が建つ。神戸寅次郎墓石の右面に没年月日、戒名、享年が刻む。戒名は正顯院壽峰良機居士。享年は七十六と刻む。墓所左側に洋型「神戸益子 神戸光子」が建つ。

＊寅次郎の長男の神戸照雄は医学者として『糖尿病の食事療法 処方箋から献立まで』の著書がある。