東京出身。6代続いた亀戸の富豪の竹問屋の長男。幼い頃から川端五章に日本画を学んだが、のち文学に転じた。動物学、心理学、国文学、仏教など全てを独学で修得。
1928(S3)日本犬保存会設立に参画。翌年、目黒区自由が丘にある千坪の自宅で朝鮮、満州産など9頭のオオカミを飼育したのをはじめとして、家犬のほか、犬科、猫科、ハイエナ科、ジャコウ猫科、熊科などの多数の野生動物を飼育馴致し、野生動物の生態、心理を研究した。
'34動物文学会を主宰し、会誌「動物文学」を発行、シートンやザルテンを初めて日本に紹介した。また同時、フィラリア研究会を作り、犬の難病克服にも力を尽くした。'37犬科生態研究所を創設、所長に就任。
種の保存に重点を置いた啓蒙活動、私財を投じての動物愛護活動に力を注いだ。一方、幻の日本オオカミ研究にも携わり、56年間の研究の集大成である『狼』を出版した。
著書に『狼・その生態と歴史』『狼と生きて』『犬と狼』『犬を飼う知恵』『犬の生態』『犬の行動と心理』『私と犬』『猫の歴史と奇話』『動物と共に』『動物文学(全10巻)』など多数ある。
また、育てた70余頭の犬の誕生から死亡までを詠んだ約半世紀の歌を収める歌集『犬の歌』がある。サンケイ児童出版文化賞を受賞。享年88歳。2006(H18)片野ゆか著『愛犬王平岩米吉伝』が発行された。
民間の研究者として評価が高い。左利きの犬、笑う犬、電話で話が通じる犬、つれあいの妻(雌犬)をいつも気遣う夫(雄犬)、「お食事の支度ができました」という言葉を覚えた犬などの、犬たちの観察からその心理に迫り、後に動物行動学と呼ばれるようになる研究分野を独自に究めた。
ノーベル賞を受賞したローレンツと同時代に同じ領域を自力開拓した人物である。