多　忠保

　東京出身。父は宮内音楽家の多忠廉（おおのただきよ）。 多家は、明治維新までは１１家（絶家も含む）の系統があり、忠保は多宗家から江戸初期に分家した忠辰家の八代忠廉の子で、分家初代になる。
　1884(M17)雅楽生となり、笙（ふえ）、簟篥を学ぶ。1888伶員を経て、1904雅楽師兼楽師に昇進。 笙簧作りの名人。山井基清が忠保の口伝を筆記した「手移口伝書」がある。享年67歳。

＜芸能人物事典＞
＜徳川葵様より情報提供＞

＊墓域内には、右側に「多家之墓」、左側に27歳で戦死した嫡子の多忠長の略歴が列記された「故多忠長君戦歴之碑」が建つ。

＊多忠長は宮内省式部職楽師として活動していたが、太平洋戦争に陸軍伍長として参戦し戦死した。勲7等、功7級。

＊忠保の父の忠廉ほか嫡流の墓所は谷中霊園にあり、多家宗家の墓所は青山霊園にある。