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「江源武鑑」?そんなもの聞いたことないよ、というあなたに。 |
江源武鑑とは |
近江守護佐々木六角氏の末期四代の時代を日記形式で描いた書物。 全十八巻、二十冊より構成されています。 江戸時代に五回の出版が確認されており、元和七年(1621年)版本、寛永四年(1627年)写本、 明暦二年(1656年)版本、延享五年(1748年)版本、刊行年不明版本が現存します。 著者は佐々木氏郷とも、その名を騙った沢田源内とも言われますが実際のところは不明です。 ちなみに「江源(こうげん)」とは「近江源氏」の略です。 |
江源武鑑の問題点 |
江源武鑑は一つの問題点を孕んでいます。それはこの本が偽書とされていることです。 佐々木六角氏の末期四代に関しては通説とは違うもう一つの説があり、それをこの本が唱えているためです。 |
上の系図を御覧ください。通説では青字で書かれた人物が実在した嫡流とされています。 そして赤字で書かれた人物は架空の人物であるとされています。 江源武鑑ではこの赤字で書かれた義実、義秀を嫡流として話が進んでいくのです。 ちなみに通説で嫡流とされている定頼、義賢は当主の後見人であり、箕作城主箕作氏とされています。 |
江源武鑑の信憑性 |
最後にこの本の信憑性について。 内容は見ていただけばわかりますが、通説との年号のくい違いは結構あります。 また聞いたことのないような人物も多数登場します。そのほか天狗や妖怪の類、超常現象なども頻繁に現れ、 おや?と思うような場面も何度もあります。 ただこういったことは古文書にはよくあることです。 また『江源武鑑』以外にも義実以下の名前が登場する文献・資料は数多く存在しますので、氏綱の子孫が 嫡流であったという説を頭から否定するのはどうかと思われます。 この異説に興味を持って真相を究明してくださる方が現れることを切に願っております。 |