榎本くるみHFM LOTZ LIVE
福山ロッツ地下1階イベントステージ


11月25日、3連休最終日のお昼時、
晴れ渡る秋空の下、福山駅前は大勢のカップルや家族連れで賑わっていた。
こうして休日に福山駅前を歩くのはいつ振りだろう・・・
昔はよく仕事を早めに切り上げて休日の駅前を歩くのが好きだった。
毎日、同じ景色、同じ道を通っているのに丸っきり違う休日ならではの雰囲気がそこにはある。
そんな雰囲気を感じながら福山ロッツへ向かう。
11時頃、少し遅くなったかなと早歩きで行った甲斐無く会場には誰1人としておらず少々呆気に取られた。
名古屋出身で2006年メジャーデビューしたアーティスト。
先日、HFM主催で行われたイベントライブに出演した切っ掛けでラジオからはよく曲が流れていたはずではあるが、
いくら実力があっても知名度が無ければこんなものなのかな。
開場は12時から。
今並べば1番乗りであるが、熱狂的ファンだと思われそうなので少し離れたところから様子見(笑)
会場内にあるスピーカーからアルバムの曲が流れてライブ前の雰囲気が出ているがお客はいない。
ちらほらファンらしき人がいるようないないような・・・そんな感じで結局、12時を廻った時点で整理番号7番をもらい開場入り。
座席は決まっておらず早いもの勝ちなのでどこでも座れるのだけど、
通常、最前列から埋まっていくものだが、廻りを見ると何故か後ろを取っていたり最前列の人はやはりチラホラ。
僕ですら最前列は近すぎるので2列目を取ってしまったくらい(笑)
本当は、凄い混雑を予想して後ろからチラっと雰囲気だけ見れたらいいかなと軽い気持ちで来たものだから、
前列の目の前で見れる心の準備をしていなかったので、最前列はあまりにも気が引けてしまった。
女性アーティストということでやはり最前列は男性が占めている。
こういう場合、座高が高くて見れないのでステージ正面より斜め側の方が見易い。
場所を確保したら開演10分前に戻れば良いらしいので半券を席において昼食へ。

昼食を済ませて再び会場に戻ってみると座席200人は満席になるのか?というくらいガラガラであった。
ステージ上では、スタッフが音合わせをしているのかと思えば、榎本くるみ本人が歌っていた!
ボリュームは落ちていたがやはり想像通りの歌唱力の持ち主で始まる前から期待でいっぱい。
それにしてもリハをこうして見れるなんて嬉しいやらちょっと切ないやら・・・
おまけに最前列の座席に80番台の半券を見てありえない!と思ってしまった。
開演まで時間があったので再び辺りをウロウロ。
座席は地下1階200人分だが会場のところだけ1階2階まで吹き抜けとなっており、
座席に座れなくてもそこから見れる、まさに武道館のような体験が出来てしまうちょっとお得な場所。
開演時間の14時が近づくにつれて徐々にではあるが座席は埋まっていく。
榎本くるみってどんな人か知らないけど無料だし時間あるからちょっと行ってみようか・・・
いかにもそういう人が大半を占めていたと思うが、
興味本意で訪れた人達に言いたい。
今日は素晴らしいアーティストをまじかで見れて本当にラッキーです。

14時00分、HFM公開録音ということで朝の番組でお馴染みの貢藤十六さんが司会として登場。
聞き馴染みのある人がこうして目の前でしゃべっていると何とも不思議な気持ち。
目を瞑っているとちょっとしたリアルなラジオだ(笑)
小さなステージにあるのはギターとキーボード、センターにはスタンドマイク。
クリスマス前ということでステージ両サイドにはクリスマスツリーが飾られてあった。
そしていよいよ榎本くるみの登場!
小柄な人らしいが一段高くなっているステージから見下ろされると本当に小柄かどうかわからないが、
ジャケ写を見て想像してた雰囲気とはまったく違って結構綺麗なお姉さんといった感じ。

オープニングを飾るのは10月リリースしたばかりの新曲「リアル」
ここ最近、アルバムを聞き込んでいたのでこの曲は試聴で数秒しか聞いた事無いけど、
サビのメロディがとても切なくていかにも彼女らしい曲だと思った。
歌唱力は想像以上に凄くてキーも高い。
でも耳障りは無くて心地良い声の暖かさを感じさせてくれる。
いくらライブといえど店内だからちょっとトーンを落とすのかと思いきや初っ端から飛ばして来た。
それをわずか数メートルの至近距離でまともに浴びたものだから鳥肌が立たない訳が無い。
あの声はきっと1階の玄関まで届いたのではないだろうか?
その証拠に気付けば会場周辺は人だかりの山と化していた(と思う/推測)

初めて榎本くるみを知ったのはラジオから流れて来た「素晴らしい世界」だった。
最初、鬼束ちひろの新曲かと思ったが、このようなストレートな歌詞は書かない。
その後、CDを購入してあっという間に榎本くるみの世界観に入り込んでしまった。
榎本くるみと鬼束ちひろを比べてみると似たような雰囲気はあるが実はまったく世界観が違う。
実力としては圧倒的に鬼束ちひろの方が上かもしれないが、
彼女に無い良さを榎本くるみは持っているから聞いていて面白いと思った。
そういう切っ掛けを作ってくれた「素晴らしい世界」を2曲目に披露。
オリジナルは軽快なアップテンポだがピアノ、アコギのアコースティックなミディアムテンポは返って新鮮だった。
間奏の間は指で音を取っていたり、また力を入れて歌うところは小さく屈伸した姿がちょっと可愛ららしい。
会場からはスタンディングはもちろん手拍子も無かったが、逆にそれだけ彼女の音楽に入り込んでいたのではないだろうか。
今回はミディアムなテンポだったが、この曲はきっとファンの間で一人歩きする曲に違いない。
ライブで成長する曲は実力あるシンガーなら必ず持っている最大のライブに必要な武器である。
それをどこで持ってくるか・・・
オープニング、中盤、ラスト、アンコール・・・この曲はアンコールに似合うんじゃないかな。
そんなことを考えていると、いつか行われるであろう単独ライブが待ち遠しい。
1曲1曲終わるごとに大きな拍手、そして後を去る人はもちろん誰もいない。(と思う/推測)

軽くMCを済ませて3曲目は新作3部作の2弾目となる12月リリースの「夕陽が丘」
これも彼女の失恋実体験を元にしているとても切ないメロディ。
その後、「夕日が丘」のカップリング「雨降り小僧」はピアノがピアニカになってまたしても切ない。
次に歌う「She」は最初何の曲かわからなくてこれも新曲かなと思ったが「リアル」のカップリングだった。
なかなかアルバムから披露してくれない。

最後は、やっぱりこの曲「愛しき人」
この曲もサビの部分は相当キーが高く、きっと本調子じゃなければあそこまで出ないのではないかと思うが
でもその懸命に歌っている姿がまた素晴らしく心打たれてしまった。
今日はアコースティックなアレンジであったが、今度はぜひフルバンドで彼女の世界を体験したい。

披露した全6曲のうちアルバムからは2曲と聞きたい曲がたくさんあっただけに残念だったけど、
どこよりも早く新曲が聞けたのは嬉しかったかな。
思わず「夕日が丘」は買わなければ!と思ってしまった。
ライブ終了後、再び貢藤十六さん登場してインタビュー。
そしてCD即売会。購入者特典として直筆サイン&握手会・・・!?
まさかのサプライズ企画につい並んでしまった。
素晴らしいライブを無料で聞くのはあまりに心苦しいのでせめてものお礼にシングルを購入。
どれにしようかなと思い手に取ったのが「愛しき人」だったのだけど
後になって「リアル」にすれば良かったとちょっと後悔。
サインはCDのラベルに書いてもらった♪

ライブ終了後の即売会には多くの人が並び、アルバム片手にサイン待ちの行列が出来ていたのにはちょっと嬉しかった。
別に昔から応援していた訳でも無ければ、つい先日まで全然知らなかったアーティストではあるが、
どうでも良いアーティストがチャートを賑わすより、やはりこのような実力あるアーティストが世に出るのが普通であり、
彼女は絶対に売れなければいけないアーティストである。
今日のようにまったく知らない彼女の存在を知ったことで
多くの人へ榎本くるみが放つ素晴らしい世界が広がっていくのだと願いたい。
僅か40分くらいであったが想像以上に良いライブでした。
素晴らしい世界を見せてくれて本当にありがとう!


〜セットリスト〜

・リアル
・素晴らしい世界
・夕陽が丘
・雨降り小僧
・She
・愛しき人

全曲、ピアノ&ギターによるアコースティックバージョン