我が家のリフォーム(2)

            見積もりから補強工事まで

 この頃、大工は昔立てた家のリフォームや新築などを色々と手がけていて、最近はこんな仕事をしてるので見に行きましょうと誘います。まずは、大工の意見を聞いて見積です。

見積もり

 30年間、補修の他、塗装や畳替えのほか、書庫の娘の部屋の改築、サッシのペアガラス化などもやりましたが、本格的のリフォームとなると、色々なことが気になります。

大工も今は工務店の経営者となり、「昔は若かった。この家も昔は和室の内装などに力を入れ、外観が悪い。今度は、色々と良くしたい。玄関周りの形を治したい。屋根の勾配も変えたい。そうすると西側の一階部分に屋根裏部屋が出来、本など入れるのに良いですよ」等と調子の良いことを言います。

 こちらとしては、「先ずは、自分の住む空間として、2階の部屋を書斎として、ベランダを交換し、ひさしもすこし延ばし、遮光のルーフをつけ、雨の日にも洗濯物が干せるようにする。問題の柱部分を補強する。トイレ、洗面所、浴室などを改造する。電気配線を変える。名古屋から戻って道路に置いていた車の車庫を作る」などの話しをしました。

 女房と一緒に、大工がやっているリフォームの工事や、新築の家などを見て廻り、二人の話の概要が纏ったので、見積書ということになりました。

これですと持ってきたが、予想はしていたが、概要が書いてあるのみです。

すこし高くないか?と言うと、消費税+αくらいの比率で値引きということになりました。

女房は、詳細が不明だとか色々と文句を言います。

しかし、もっと値引きをといえば、引いたかもしれないが、後から追加作業をすると値増し要求が出てくるでしょう。契約が細かいほど、その可能性が高い。

リフォームでは何があるか分からないからリスクを見込んで見積りを出してきているはずで、細かく決めれば決めるほど、後からの要求がしにくくなります。

後から追加要求も出し、昔からの付き合いで、面子上やらねばならないようにして、リスク分を吐き出させる方が結局は良いのだといったら女房は分かったのだろうか? 

こんなやり方は一般には通用しないだろうが、そこは長い付き合いです。

駐車場騒動

 日立に戻るまでは、仕事の関係で住所は愛知県の稲沢になっていました。帰れば、車庫が必要です。玄関先は、娘の車が占拠していて置けません。

家は、団地の一番奥である関係から取付道路が16mほどありますがその横に細長い台形の土地会社の残地があります。

どうせ、処分も出来ず、市に税金を払っているだけだろうからと交渉し、相手も喜んで手続き費用など一切先方持ちで安い価格で売ってくれる事になりました。

その先の残地も団地のゴルフ仲間が畑にするということで二人で買うことにしました。

 手続きをしていく過程で、土地会社が「家の取付道路もお譲りしたい、金をくれとは言いません、今まで税金を払っていたのですが、それをお払いいただければついでにお譲りします」と言い出したのです。

それもいいだろうということで、話しをつけたのですが、測量はしたのですが中々、土地の権利書の書き換えなどの手続きに来ません。ともかく、買うことは決まったのだから、カーポートを立てるぞと言って工事を済ませてもまだこないのです。

 何回か催促をしてやっと来たのが、リフォームが終わって一年近くも経ってからでしょうか?!

何でだ?と聞くと、あの道路は、すでに公道ということで市道になっていたのですがーーー何処で間違っていたのか土地会社の土地名義で税金を払っていたのですなどと言い、結局、道路の横の残地のみを買う契約をしてようやく一件落着。いい加減なものですね。

               

                 残地買取り時のメモ(結局、私道ではなく、2、4はなし)

詳細計画?

 土地会社との話がつき、こちらは契約を待つのみとなり、平成5年11月中旬から工事をすることとなりました。家を建ててから33年が経ちました。

大工も今は工務店の社長、どうせ指示が不十分だろうと、工事の概要を書いてそれでも心配なので2部渡し、工事の中心になる棟梁のS君(家を建てた頃は、あんちゃんと呼ばれた大工見習いの若者だったが)が分かるようにしたのですが、始まってみると、案の定、渡していないので更にコピーを渡して説明し、色々追加変更も出るだろうと言っておきました。

基本的には、次のような項目になります。

1.  補修――少なくとも今後10年は再補修不要

         屋根(六寸勾配に変え、三州瓦、軒周り銅板まき)

外壁(張替え、モルタル、断熱材)

内壁(脱衣所、風呂場、トイレ、台所、2階の塗りなおし)

床の補強交換、断熱材(脱衣所、トイレ、畳下、押入れ)

雨戸(木製からアルミサッシ化)

窓の格子のアルミサッシ化、居間外の日除け交換         

2.  補強――客間、居間間の耐震補強

         最終的には、125H鋼2本で柱を組み、基礎を作って立て、これからH鋼を張り出して家の梁と結合することになりました。外の部分はベランダの一部となる         

3.  居住性ベランダの巾を約1.5mとし、サンルーフをつける。(見積もり時、東側のみと

言ったが恰好悪いので追加して全長とすることになりました

        電気配線、コンセントの追加、変更、LAN、アンテナ回線の追加

        勾配を増した一階部分の屋根裏に収納部を作る(西側のみだったが、玄関の上にも追加)

        客間の西外側に断熱もかねて奥行き三尺の物置を全面につける(扉は雨戸、窓は取り替えたサッシを使った)

        階段手すり、床下収納、台所の棚、台所ドア交換、洗面台、トイレ交換、(台所の床などは、以前に自分で補修)

4.  外観――大工言う所のリフォームに値する外観

        玄関の屋根周り、ドア、たたきなどの全面改修入り口の物置の外観(ドア、壁の改修、塗装しなおし)、カーポート(追加)電柱移設(東電)

 

 ここに載せた図面は、家の正面部分で、この他に、背面部分、電気配線、カーポート部分などです。まあ、こうやっても、実際には色々と変更が出ます。

           

                工事チェック表(正面側)側面、背面もあり、これでチェック
                  中身が見えないでしょうがおよその見当で見てください

     

工事の始まり

 工事は平成17年11月21日スタート。

この年は、12月に入ってから、毎日寒い日が続きました。棟梁のS君は、日立の北の方に住んでおり、通勤で道路が混む前に町を通過して、7時には到着です。他の連中もこの時間には来ます。

我が家の裏は、日立電鉄の大きな残地があり、ここで毎朝、焚き火をするのが日課です。

家からケーブルを引いて、木材の加工なども出来るし、仮設トイレなど持ってこなくても立小便も幾らでも出来るし、昼休みは中学の土手で自然薯は掘れるしということで、こんな現場は何十年もなかったと皆で喜んでいました。

                

                家の裏側(材木置き場、加工場、焚き火、立小便なんでもあり)

大工の手伝い、塗装屋、電気工事屋他、皆、地元の人で、この辺は昔はこうだったなどと言うことを色々と聞くのも、お茶の時間などの楽しみでもありました。

今や工務店の社長である大工は、毎日来るわけでもなく、S君の裁量に任せているものの気に入らないと文句を言うので、俺がそれで良いと言ったのだと言ってやることにしたのです。ともかく、紙に書いてあるのですから基本的には文句は言えないはずです。

とは言え、ここはこの方が良いなどと言うと、なるほどその通りで、そうなると追加が出てくるのですが、大工が自分で言い出したことゆえ、見積内でやることになります。

玄関周りなど、散歩がてら、周辺の団地を歩いて写真を撮ってきたりして見せると、俺はこういう方が好きだ、見に行こうなどと言うので、見に行ったり、ベランダや壁の配色なども一緒に見て廻って決めました。

              

              屋根の六寸勾配(一尺で六寸上げる)はかなりの変更

補強工事

 二間の間の補強については、考え方を大学同期一級建築士に相談し、それでよいだろうということになっています。

家の角の柱の補強、筋交も当時の写真から相当しっかりしています。また、壁をはがして見ると、土台の木材は浴室なども含め、腐った所はありませんでした。

ただ問題の柱の所の基礎は通気口部分からクラックが入っていました。基礎の横筋が少なく、高さは高くても荷重が集中していた為です。

 したがって、工事屋と相談し、新しい基礎を作ってそこから125のH鋼を2本立て、その上に125のH鋼を横に出し、これから二間の間の一尺の梁を釣る形で固定する構造としました。

そして、この部分を解体してみると、左右と奥行き方向の梁、柱のほぞの切り方、木組みの形に問題があったようで、かなり大きな鋼材の火打ちで補強されていましたが、ここが変形しています。

時は、おりしも、耐震強度偽装事件の真っ只中。

やっぱり!!」と言うと、「俺もまだ若かった」などと大工は言い、「30年も経ったから時効でしょう」などと言訳をします。

         

               梁の継ぎ手部分の変形(一階方向の梁が変形、割れている)

 この部分の継ぎ手の荷重を減らし、火打ちで固め、奥への梁の上にH鋼を差込み、二階の荷重を分担させることにしたのです。

二階の部屋の骨組みは、一階部分から三尺下がっています。奥に通っている梁の上に作られています。角部の筋交いは頑丈に出来ており、角の柱の下の部分を切り取り、ここにH鋼を差し込みます。H鋼材と一階部分の梁とは、火打ちとボルトで固めます。

 

         補修前の二階の角部分               補強後の二階の角部分

                 

                       補強後の梁の部分(fig09の外側)               

                  
                                                                                        完成後の補強部分外観
              このH鋼の横梁をベランダの片側として、ベランダを作りました。