「毛」(け)

 五行説の生物のカテゴリー

 「毛虫」――毛で覆われているもの――――その頂点は「麒麟」

 「羽虫」――羽で覆われているもの――――その頂点は「鳳凰」

 「鱗虫」――うろこで覆われているもの―――その頂点は「竜」

 「裸虫」――裸のもの――――――――――その頂点は「聖人」

 「介虫」――甲羅で覆われているもの―――その頂点は「神亀」

 

人間は、ミミズやうなぎなどと同じく、裸虫の一種と言うことになるのです。

人間だって「毛」があるではないかと言われる人もおられるでしょう。

しかし、それはどうやら、役に立たないものかアクセサリーと言うことなのです。

現に、アクセサリーにならない「鼻毛」や、「腋毛」などは剃ってしまうでしょう。

「髪」や「眉」は、色々な形に変えて、目立つようにするし、アラブでは、「髭」は立派な男性の印
でもあります。

そして、「*毛」はいつのまにか「ヘアーヌード」と言うことで芸術?にまでなってしまったのです。

 大体、手入れをしない不要なものとして無くなったり剃ったり抜かれたりしてしまう「毛」には、
その場所の名前がついています。
「産毛」「腋毛」「鼻毛」「耳毛」「胸毛」「脛毛」「*毛」などです。

そして、なぜか、「*毛」だけを「ゲ」と読まず、「モウ」と読むのです。
それ以外の「毛」は、それぞれに立派な名前があります。

「髪(かみ)」「髯(ひげ)」「眉(まゆげ)」「睫(まつげ)」などです。
これらは、「毛」と言う言葉を使わない上、手入れをされて立派なアクセサリーとなっています。

「腋毛」や「鼻毛」を剃ったりきったりすることは聞いたが「*毛」は?とおっしゃる人もいるでしょう。.
しかし、昔、吉原の女郎はそれを邪魔なものとしてそり落としていたそうです。

もっとも、必ずしも不要なものと言うわけでもないようで、「かわらけお伝」と言う実在の女が、
歌舞伎役者などとのゴシップで江戸時代には大いに喧伝されもしたようです。
そして、いまや立派にアクセサリーの仲間入りをし、芸術にまでなったのです。