矛盾――さらに未知の世界へ

 

5月までは何とか、今までの延長線上で経過して、6月には、未知の世界に入るだろうと思い、それを書いたが、やはり、当っているようである。

未知と言う意味は、ALSと言う病気で起こることは分っているが、何時、どのようにと言う所が人によってかなり異なることによる。

 6月が過ぎて、7月に入り、どのような現象が起こるかはわかってきたが、今度は、その対応が難しい。

一言で言うと、身体に起こる現象が、ある種、矛盾をはらむものであり、どう対応すべきか迷わざるをえないからである。

 

1.筋力の保持

 病院に入院して寝たきりでいると、筋力が衰え、リハビリによってそれを回復するということが行われる。

現状は、リハビリに相当する運動をどうするのかが問題となっている。

歩いたり、体操をしたりすると言った基本的なことが出来ないわけではない。確かに筋力が落ちて、ある種の運動は難しくなってきた。

しかし、運動自体に支障がある訳ではない。それを妨げるもの、それは呼吸であり、心拍数である。

すこし動くと、呼吸が切迫して、心拍数が85近くまで上がる。場合によっては90位になる。当然呼吸も切迫する。

前に、メインテートを飲んでいたときは、平脈で50、運動しても、55−60であり、止めてからは、平脈で60、運動して65−70位であった。その後、平脈で73くらい隣、今では、75位となっている。

 これでは散歩も十分に出来ない。呼吸筋の衰えで、呼吸機能に障害が出ているといえばそれまでだが、運動と言う矛、呼吸と言う盾という形になってしまっている。

 

2.唾液と睡眠

 ものを食べると唾液が出て、嚥下を助け、消化を助ける。

ところがこの分泌がおかしくなっている。例えば、カステラやパンを口に入れてかむと

中々唾液が出たという気にならない。かんでいるうちにやって出てくる感じだが、面倒になって、牛乳などで流し込もうと横着をすると、むせたりする。

ところが、食事がおわり、口の中をすすいだりしたあとや運動の後など、口の中に唾液が溜まる。沢山出ると唇の横から垂れたりする。これは、さらさらしていることが多い。

まあ、昼間は、ティッシュで拭いたりしているが問題は、夜である。

 うがいを良くして、しばらく安定になるまで待って横になっても、姿勢によって、咽喉の状況が変わり唾液が出る。

仰向けには寝にくいので、口元にタオルなど置いて横を向いて寝るのであるが、口を閉じて鼻で息をしている時には、口の中に唾液が溜まっている。ぬるぬるしてのどや舌にまとわりついて気持ちが悪い。

それでも眠ってしまい、しばらくすると口からも呼吸をするのだろうか、口の中が乾いてしまうと、舌の周りが乾いてざらざらになる。トイレに行くので口に水を含むと口の中はすこしはよくなるがあごの奥は、ぬるぬるが中々取れない。

 唾を飲み込むというが、その動作は結構やっているのだが、飲みkんではいないようである。空気のみが胃に入るようだ。

おならやげっぷが良く出る。

ものを消化し、飲み込むのを助けるはずの唾液が、飲み込むのを妨げるという、これもまた矛盾である。

 

寝たきりの人の痰を吸い取らねばならないというが、こういう現象なのだろう。

咽喉の奥にくっついたものを柔らかくして取り出す方法はないものなのか?

無理に取り出そうとするとかえって、唾液が分泌して後が大変になるのではないかと思える。

ものを食べるということと呼吸をするということが、球麻痺という現象で矛盾した動作となっているのである。

 

鍛えたり、対策しようと思ってやることがかえって不具合を助長するという矛盾が発生して来ているのである。