名古屋の思い出

名古屋の食べ物(4)  きしめん

 

 麺が平べったいのを別にすれば、うどんである。

味噌煮込みうどんのうどんのように、小麦粉を水だけでこねて作るのではなく、塩を加えて普通のうどんのようにしてつくる。

今の刈谷市(昔の三河の国芋川)で作られていた平らなうどんは「芋川うどん」とよばれて、江戸時代から名物として知られていたという。

一般的なうどんに比べ、平たく伸ばす為、職人の技量がいるといわれており、味噌煮込みうどんの項で書いた川井屋などでも親父が一生懸命作っていた。

 ゆでた麺に暑いつゆをかけ、油揚げや鶏肉を具としてねぎや鰹節をかけてた出るのが一般的であり、基本的にはうどんと同じといえよう。

ただし、味は、いかにも名古屋風で濃い口である。

きしめんの基本形

 このような作り方であるから、具に凝ったりして価格をあまり高くすることも困難である。

結局、名古屋駅のホームの立ち食い食堂で、さっつと食べると言う、江戸の十六文そば的な感覚の食い物といえよう。