名古屋の思い出

名古屋の食べ物(2)――味噌煮込みうどん

 日立にいた時代から、名古屋には仕事でよく行っていた。

出張の時、また、名古屋在住の時で、最も良く食べたものが、味噌煮込みうどんである。豆味噌の汁、色々が具など、その濃い味が小生の好みに合っていた。

名古屋駅(新幹線地下の山本屋本店

 讃岐うどんなどのように、うどんそのものを味わうものとは言えないだろう。何しろうどんは太くて硬く、生煮えのような感触であり、どちらかといえば、すいとんの味に似ている。

まあ、入っているものは、うどんである必要も無く、すいとんでも、ほうとうでも何でも良いといった感じがする・

 ねぎ、しいたけ、かまぼこといった一般的な具のほかに、名古屋コーチンの親子とか季節のきのことか、色々なものがあり、普通のもので1000円位だが、具によって価格が異なり、2000円位にもなるのだ。

 土鍋に汁とうどんを入れて、煮立てて、具を入れて完成。ふたをして出す。この土鍋の蓋は、一般の蓋のように空気貫の穴がない。

この蓋を使ってこの上に暑い汁と具、うどんを取り分けて食べる。

名古屋の人は、大抵、ご飯を別にもらい、これと一緒に食べることが多い。

味噌煮込みうどんの基本形

 名古屋の市内には、色々な所に、うどん店があるが、味噌煮込みについていうと、「山本屋本店」と「山本屋総本家」と言うのがあり、どちらも元祖と名乗り、チェーン店を展開している。

小生のような味音痴には、どちらも似たような味に感じるが、「本店」の方は、自家製の漬物が食べ放題と言う点がありがたい。

 そのほか、小生が住んでいた白壁町近くに「川井屋」と言う店があり、ここは手打ちのきしめんが売りなのだが、味噌煮込みうどんもうまい店でよく食べに行ったものである。

川井屋(基本はきしめん)

親父が、自分で麺を打っており、ある時、会社の人間が、腹減ったから大盛りにしてと頼んだら、大変な量である。

彼が、何でこんなに多いの?と聞いたら、親父いわく、うちの大盛りには一半はない。玉はすべて一人前、大盛りとは二人前だとのたまった。

 濃い味のものを腹いっぱいと言う名古屋と言う田舎に良く会う食べ物だろう。

何しろ、戦国時代、武田の陣中食だったのが、武田滅亡後、徳川に伝わったのが初めと言う説もあるようだからーー