提案

 何か提案をし、それが実行されて成果が出る。どんな場合でもそれは素晴しいことである。しかし、どんなに素晴しい提案でも、実行されなければ意味がない。

会社で仕事をしていた頃、色々な人の色々な場面での提案とそれに関しての出来事を見てきた。

そして、感じたことが幾つかある。

第一は、決定権のある人や部門に「NO」と言わせないことである。一度「NO」と言ったことは、良く覚えている。したがってそれはなかなか覆らない。

NO」と言わせないということは、「NO」と言う前に一旦、引き下がることも含んでいる。

第二は、幾つもの案を常に暖めておくことである。予算が余る、不景気で時間が余る、様々なことが起こる。普段から考えておいて、タイミングを見て提案する。

これが通る確率は高い。

第三は、自分だけの案にしないことである。やり方には二通りあると思う。

一つは、似たような案をいくつか準備しておいて、選択をさせて、相手に選択させ、あたかも相手が考えたようにする。

もう一つは、案の中に欠点を設けておいて、そこを直させることである。

いずれも、決定権のある相手が自分で考えたように仕向けるのである。

 「アイツがこんな案を持ってきたが、どうも駄目だ。俺がこう直したのでこれでやろう」

などと言えばしめたものである。うまく行かなかった時の責任まで分担してくれるのだから。

しかし、中には、どんな案を持っていっても中々決めない、皆が色々といった挙句、「君らがそういうならそれでやってくれ」と言う人もいる。

そして、途中の経緯などはあまり聞かず、うまく行かなかったりすると、自分が決めたのではない、君らが決めたのだなどと言って、最後の責任を取らない。

  何回も資料出させてやり直し、君らが言うならそれでやろうか

でもこれなら未だ良い方で、

  智慧出さず何とかせよと口を出し、資料出させて何にもしない

となると、時々は、刺激して後は放っておくかーーー