電鉄線跡地利用を考える会

                      水路の溢水対策(その1)

 日立電鉄線が廃線になり線路などが撤去されました。跡地をどうすると思っていたら日立市に譲渡されました。税金を払うくらいなら、市に使ってもらった方が良いと言う事です。

団地の人達は、以前から線路の横の土地を、畑や駐車スペースとして使っていたので、一部、購入するという人もいます。

残りはどうするのか?色々な問題が起こりそうなので、団地として「跡地利用を考える会」を作りました。一杯飲みながら、情報交換、懇親などを深めようという訳です。

ところが、早速、問題が起こったのです。

 5月頃、団地の中で市の職員が測量をしていたので、聞いたら下水道工事の測量ですというので、下水管が駄目になったのか気にも留めなかったのですが、6月の市報で、団地内に用水路のバイパスを造る事になったと言う記事が出て、7月始めに、説明会をやると言う通知が来ました。

 団地内の道路を、100mも掘り返し、1m角の暗渠を造り、団地横の用水路が大雨の時に水が溢れるのを防ぐと言う事らしいのです。電鉄線が無くなり、跡地を掘り返して暗渠を造るのが容易になったのです。

      

  A 私有地(草ぼうぼう)

  B 道路クラック

  C 個人所有矩面

  D 直角コーナー

  E 道路/水路交差部

  F 団地側溝

  G 国道横冠水部















              団地内冠水状況と新暗渠案緑のルート)  

例によって、お役所のやる事、「左様、心得ろ!」と言う説明だろうと思ったので、事前に質問事項をまとめ、それに回答するように申し込むべく、資料を纏めてみました。

 これには、幾つかの仮定とデータが必要です。

1.  降水量(仮定)           60mm/hr位の降雨量があり、その60%が流れ込む

2.  上流の降水面積(仮定)     ざっと見て100ha

                            概算水量10ton/sec

3.  用水路の流速(仮定)      谷川など2−3m/sec(ネットで調べた) 

      増水時は、4m/secとする

4.  水路断面(大体)          U字溝部分              1.2m                                       上部ブロック部            2.52m                                       合計                 3.72m

                3.72×4=14.9ton/secとなり、冠水は起こらないはず。

 (下水道局の計算でも面積117ha、降水量46.2mm/hr、55%で見て、11.2ton/hr

  で、溢れることは無い勘定となる

 この計算で分かるように、計算上は水が溢れて道路が冠水することなど起こらないはずですが、数年前にも、冠水したこともあり、ブロックの所までは何回も溢れているとの事。

結論として、ほぼ、L字型に曲がっている部分などの水路抵抗が大きく、市が考えている案では駄目だろうとの結論で、資料を事前に提出しました。

 案の定、説明当日は、計算の仮定が甘くこれでは駄目だということで、とりあえず、曲がって居る所の草を刈っておくなどの処置を依頼し、市もその部分は個人の土地なのでと言いながらも、草刈対策もきちんとしました。

 その後、当方の見解の回答が来たので、下水道課の課長なども入れ、当方も詳細写真などを持っていって打ち合わせを行いました。この水路以外にも、公園部分には、中学校から流れこむ水もあり、この排水溝が不十分で、道路の上に流れ出すという問題も有ります。

 

        団地水路の入り口             カーブ部分(1)

 

        カーブ部分(2)             公園の角(向こうが直角部):この公園も冠水

 

        直角部分(草で覆われている)       直角部分(市が草刈をした)

 

 冠水部の中心(ここにバイパスを入れる計画)    中学校の坂(白いのは流れた砂)

 中学側は10m以上も高く、下図の枡に来る以前に道路に溢れてしまい、上図右の道路の側面が土手と
なって団地内の道路(上図左)に流れこむ。

                   

    中学からの側溝(この枡から溢れる)             団地の側溝

                  

                     橋の下に二つの側溝の孔がある

 ここに全ての水が集中し、かつ、直角部の水路抵抗が大きく、水を処理しきれず、冠水に至るのです。

 

          /25の冠水(1)               7/25の冠水(2) 

 

                           

               /25の冠水(市の職員の頭の所まで水が来た)

             
                                               
                
/25の冠水(車のタイヤの中央まで)

 ここは新しく工事をやり、バイパス水路を付けた所です。しかし、流路と直角であり、更に従来の流路も直角に泉川に入っています。バイパスに水を流す運動エネルギーは殆どありません。現状でも、そこに土手をつけて抵抗を増して、水が横に流れるようにしているのです。 

お役所仕事ですから、すでに予算は取ってあります。しかも、下水道工事として暗渠の作業だと国の補助金の比率が高いということもあり、市の財政逼迫の折から、本年度中に工事を済ませたいとの意向です。

 L字部分は公園で、ここを削るのは都市整備課との打ち合わせがいるので、市の中で打ち合わせますということで、ここは終りました。 まあ、少しでも良くなるのなら、反対はしないと言っておいたのです。

しかし、7月25日、先に市が想定した以上の雨が降りました。公園の辺りは30cm以上も冠水です。
 しかも、更に下流の以前、工事をして国道の下のバイパス水路を作った所も、バイパスの効果なく、冠水してしまいました。

市の関係者を呼んで、見てもらい、さてどうするということになったのです。市はコンサルなど頼んで検討を始めましたが、お互い頭が痛いことです。

 この結果も入れて、今後の方針の打ち合わせは、9月過ぎになってしまうかもしれません。

 

「谷地の水田化」

 弥生時代に谷地を水田化した所は、全国に有ります。そこには、渇水と大雨に備えて必ず池が作られています。全部、田にすれば耕地面積も増えるのに、あえて池を作っているのです。

我々の団地の上流側も沼地がありそこが遊水地でした。それを宅地開発で埋め立て、団地にしてしまったのです。したがって、短時間に増水し、下流が屈曲している為、水が溢れるという結果を生んでいます。
このような団地には、公園の代わりに遊水地が欲しい所ですが、子供が落ちるなどと言うことで、作られません。

 最近のように、大人ですら急な増水で流されて命を失っているのは、水を使う智慧が日本人から失われてしまったということでしょうか。

 

「水のエネルギー」

 ある深さに溜まった水が流れ出す(底からの場合)と水は次の二つのエネルギーを持ちます。一つは水面の高さh(m)で決まる位置エネルギー(mgh)重力加速度で9.8m/sec

もう一つは流速v(m/sec)で決まる運動のエネルギー(1/2mvです。

水はこの二つのエネルギーを持って流れているのですが、位置のエネルギーはあらゆる方向に働くのに対し、運動のエネルギーは、流れていく方向にしか働きません。

 水道の水が蛇口から出るのは、水の持つ圧力、すなわち位置のエネルギーで決まっているのです。
それをすごい速さで流れているから、横向きのバイパスを造ればそちらへもその勢いで流れるだろうと勘違いして作ったのが、国道のところのバイパス水路です。(管の中で水が満たされていて水圧がかかっていれば別ですが)

これは、直角の水路ですから、水がある程度の深さになってこないと十分な水流にならないのです。

 さて、団地内の水路は、これから下水道課と一緒に検討して、冠水が起こらない程度まで水位を下げることが出来るかも知れません。しかし、こちらの流れを良くすると、下流側の国道横はますます、問題となるでしょう。

こちらの担当は、河川課ですがーーー

(実際には、水の持つエネルギーはもう一つあります。それは回転のエネルギーです。 鳴門の渦潮、津波など、別の形のエネルギーです)

 

「おまけ」

 男が立って小便をしても飛び散らないのはなぜ? それは、位置のエネルギーや運動のエネルギーの他に、もう一つのエネルギーを利用しているからです。

竿の中の流路は、鉄砲の銃身と同じように螺旋が少し付いているのだそうです。

それで、回転しながら飛ぶので、飛び散らない。女性はそうは行かない。

男も年を取ってくると銃身がやわになってやはり駄目!!!