大地震

インドネシア、ハイチ、チリなど、大地震が起こり、津波の被害も加わって大変なことになっている。

日本は世界一の地震国で、しばしば大災害が発生している。

地震、雷、火事、親父」といわれるが、これは、日本では一過性の災害で、頭の上を通り過ぎるのを待って復興に取り掛かることになる。

幸い、江戸時代以前は、大地震で災害が起こっても、それだけでは、ハイチの様な大災害にはならなかった。
度重なる地震の経験からそれなりの対応がなされていたのであろう。

しかし、明治以降の地震では、そうも言っていられない。

建物が倒れるという直接の災害で人が死ぬだけではなく、火災や津波の影響が大きい。

阪神淡路沖地震でも火事による被害が多かった。関東大震災は、更にすごかった。

江戸の町を見ると庶民が住んでいる下町は、人口密度も高く危険も大きかったろうが、寺社や掘割なども多く、大火災にならない限り、結構逃げ場があったように思える。

それに引き換え、関東大震災では、下町の掘割なども埋め立てられ、廃仏毀釈でかなりの寺が無くなり、大きな建物も増え、人口も増えていた。

 陸軍被服廠(本所)では、逃げてきた人が火の海の飲み込まれ、3万8000人が死んだという。
江戸時代ならこの辺りは、掘割の発達したところでこのようなことにはならなかったのではなかろうか。

横浜では、ホテルなどの西洋建築が倒壊し、ここでも大勢の犠牲者が出た。石造建築の耐震性がなかった時代である。

 浅草では、 町の象徴であった十二階、凌雲閣も倒壊した。

こんなことを書き出したのは、日頃、伸び行くスカイツリーの写真などを見たこと見もよる。


       


凌雲閣              スカイツリー

あの辺りに、塔が出来てしばらくして、東南海地震,東海地震がやってこないことを祈る。


(注)
屋外の大型機器を設計していた時の知見を少し書いてみます。
地震で構造物が壊れるのは、「強度が低い」「震度が大きい」ということになりますが、
それぞれに簡単なことではありません。
地震振動は上下動、横振動ですが、場合によっては回転力も発生します。
また、地盤の状態も問題です。液状化現象など予期せぬことも起こります。
地震自体、近いか遠いかで周波数が違い活断層の近くでは大きな値となるでしょう。
構造物は、地盤、基礎の上に立っています。これらが弱ければ、構造物がどんなに
丈夫でも壊れることがあるでしょう。建物が丸ごとひっくりかえることもあるのです。
建物には、共振周波数があります。基礎や地盤がどんなに丈夫でも地震の周波数と
建物の固有振動数が一致すれば、大きな振動を生じて、部分的に破壊、そして
全面破壊至るかもしれません。スカイツリーなどは比較的構造が簡単で、方向性が
少ないので、計算は簡単でしょう、また、モデル実験も比較的容易でしょう。
計算もできなかった昔の五重塔の心柱構造など共振を避けるすばらしいアイデアです。
千年以上の時を越えてそのアイデアが使われているのは、日本人として誇るべきことです。