呼吸 息をしないと言うことは死んだと言うこととほぼ同意義である。 人間は、空気中の酸素を肺から取り込んで、肺胞から血液に供給する。そして、体内で発生する炭酸ガスを肺から排出する。 このメカニズムのどこかに異常が起こると、生きていくことに阻害が生ずる。 このメカニズムを大きく分けると次のようになるだろう。 1. 血液 2. 肺と肺胞 3. 肺を動かす筋肉など 4. 気管 5. 咽喉 ALSの場合、 1.血液はあまり関係ない(結果としての血液中の酸素量と炭酸ガス量は重要だが)。 2.肺と肺胞は病気の進展とともに関係する。 3.肺を動かす筋肉などは大きな要因。 4.気管はあまり関係ない(ここに溜まっている空気は無駄な部分であり、呼吸量が減った末期には問題となる)。 5.咽喉はひとつの大きな要因である。 咽喉は、そこのみの異常でも無呼吸症候などを起こし、睡眠時に呼吸が止まるなどの障害が出ることがある。 咽喉の障害では、もうひとつの誤嚥下と言う問題がある。 ALSの場合、呼吸筋が弱る。肺活量が減る。と言う第一段階から障害が始まる。 1回の呼吸で吸入できる酸素量が減るのである。それを呼吸の回数で補うことは呼吸筋が弱っていてできなくなる。同時に、炭酸ガスの排出も難しくなる。 「呼吸回数×1回の呼吸量」がある量以上ないと、血液中の酸素量が減り、筋肉などの劣化が加速される。また、炭酸ガスの量との関連もあり。苦しみを感じるようになっていく。 ALSではこの問題が大きい。 小生の場合、球麻痺と言われる咽喉の劣化が、四肢の筋肉の劣化よりも先行している。 したがって、呼吸に対する対応は、次のようになるであろう。 1. 花粉症の予防。呼吸や食事の負担が大きくなるのでこれはまず防ぐ必要がある。 このため、抗ヒスタミン剤などを使う。 2. 誤嚥下を防ぐ。このためには、食事の中身を替える必要がある。いわゆる嚥下食とするがそれでも、呑み込みが大変で食事の時間もかかるので、PEGを造営して、これも併用していく。咽喉の劣化の進展に応じて比率を変えていく。 3. 睡眠時の呼吸管理のために、BiPAPを準備し、呼吸量の低下に備える。 これもまた、状況に応じて対応する。 現在(3月中旬)でも次のような現象がおきている。 1. 急に動くと、心拍数が増え、場合によっては100近くになる。しかし、休めば収まってくる。 2. 呼吸数も増える。(普通でも昔より呼吸数は大きい。肺活量は2年前は3800、昨年五月で3600 2月で3150となっている。ちょっとした運動でも息切れを感じる。 3. 血圧が上昇するが、この変化も休むと下がる。 以前、メインテートを飲んでいたときの脈拍数は50−58くらいあったが、今は、静止状態でも65−70、少し動くと80台となる。 すでに呼吸に影響が出ており、寝ているときなどどうなっているか? 幸い、不整脈が出ないので、気分的にはあまり影響がないが、もしなったとするとどうなるか? これらを考えて、早めに、花粉症、BiPAP,PEGの対応をした。これからは、これら含めた管理を進める必要がある。今までは、体重、筋力などの管理が中心であったが、今後は、食事と呼吸の管理が加わることになる。 呼吸の劣化を抑えるのは、筋力の劣化を抑えることであろうから、上半身の筋力をできるだけ保つことが必要だろう。 しかし、これらはあくまで、終末期にいたる過程の段階での対応である。 その先に待っている終末期までの時間をどれだけ延ばせるかが問題であろう。 |