パソコン自作の為の基礎知識(その5)
CPU――インテルの戦略
(その4)まで、PCの構成要素について、あえて書いてきましたが、PCを作る時、その変化によって、色々な問題があり、それを克服することもまた、自作派の楽しみでもあったのです。
しかし、そのことは、自作派のみならず、幾つもの世代のPCを同時に使っている会社の担当者にとっても頭の痛い問題です。
ここでは、CPUとChipsetの変化を、その主導権を握ってきたインテルのCPUを中心に書いて見ます。
CPUメーカーはいくつかありましたが、その中心は、インテルであり、競争者はAMDです。
AMDはインテルのセカンドソース(言うならばOEM)としてCPUを始め、その後、自主製品に転換しました。
インテルとしては、AMDが無い方が良いのですが、ないと圧倒的なシェアーとなってしまい、独禁法に引っ掛ってしまうことになり、頭の痛い問題でもあるのです。
CPUの性能は、動作クロック(周波数)を目安としていますが、その性能を生かすには、メモリー、マザーボード、チップセットの周波数(FBS)などの性能の向上も欠かせません。
他方で、性能を上げコストを下げるには、小型化が必然で、このための加工技術(如何に狭い線幅で加工するか)の向上と製作の歩留まりの向上も重要でした。
これらの進歩の過程で、自作派は色々なことをやってきたのです。
この15年の技術進歩をまとめると、図のようになります。この図は、インテルの主力製品であるペンティアムを中心に書いてみました。
ここまでいたる段階で、インテル、AMD,その他のCPUメーカーは熾烈な戦いをしてきました。相手が新製品を発売すると知るや、その二日前に電撃的に、同じようなものを発売するなどと言うことをやってきたのです。
これらの製品の中には多くの失敗品もあります。比較的安定したCPU,チップセット、それを使ったマザーボードという組み合わせは余りありません。
CPUの戦いは、20005年前後までは、周波数(クロック)をあげる競争でも有りました。しかし、それは損失を増やし、発熱量を増やして色々と問題となりました。ともかく電球のフィラメントほどの大きさで、80Wと言った熱を発生するのですから冷却は大変です。
現在では、別の手段、コアを複数にして、負荷の分散をし熱の発生を抑えるとか、色々な方法で性能アップを図っています。
我々、自作派のひとつの楽しみは、CPUのクロックをあげて(オーバークロック)、安いCPUでも高いものと同じような性能を引き出せないかと言うことです。
その原理は次のようなものです。
最近のマザーボード(自作派がつかうもの)は、オーバークロックが出来るようになっています、また、コアの電圧を上げて過負荷状態にしてクロックをあげると言うことです。
しかし、やたらとやってみてもうまくいくものではありません。下手をすると高価なCPUがパーになります。
そこで、これならオーバークロックができるだろうと言うCPUを見つけることです。
それは、図に示したようなことで可能となります。
CPUを作る時、出来上がったものは、同じ性能ではありません。歩留まりとは、最終製品として合格する前の不良品と、性能が出ない不良品があります。
性能が出ない不良品は、ランクを下げれば製品として売ることが出来ます。ある幅の中に入った性能の製品を例えば2.0GHzとして販売すると、2.0から2.1GHz位のものを2.0で売るでしょう。うまく買うと10%位のオーバークロックは容易です。
しかし、それは宝くじみたいなものです。
ところが、実際の製品では、大量生産のため、幾つかの工場で作るのですが、工場によって製品にバラツキが出るのです。特に新しいプロセスの新製品でこれがあります。
このような情報は、PC製作メーカーのマニアなどからネット上に流れ、型番から製作工場を割り出して、それを購入すると言うことになります。当然、B工場の物が当たりと言うことになります。特に、図の右の領域のCPUではかなり高いオーバークロック性能が期待できる場合があるのです。
今までやってみたオーバークロックで、電圧などを上げないでもかなり高い所までできたものが有ります。
一つは、セレロン300Aで、300MHzを500MHzに、もう一つは、ペンティアム1.6Aで1.6GHzを2.2GHzまで単純にオーバークロック(電圧などいじらないで)して安定して使用できました。
但し、冷却が面倒で、1.6GHzのCPUは今でも使っていますがオーバークロックはしていません。(メモリーを増やして、余計なソフトなどを取ってしまった方が動作は速い)