ああ花粉症

 会社に入って10年位した頃であろうか、春先になるとやたらとくしゃみが出て、鼻水が止まらない。目がかゆくなる。今なら、すぐに花粉症と言うことになるのだが、当時は、そんな名前も無い。

日立は、3月から4月は海流の影響で天候が不順であるから、風邪を引いたのだろうなどと考え、医者も風邪薬などくれたり、はやり目じゃないかと目薬を差したりした。

 とにかく、下をみて仕事をしていると、水のような無色透明な鼻水がスーッと垂れる。不便なので、鼻紙を丸めて鼻の穴に入れて仕事をした。

夜になると鼻づまりで苦しい。上を向いて寝るとのどが乾いてしまうから横を向いて寝る。上になった鼻の穴は次第に鼻水が下の方に移動し、空気が通るようになる。その状態で数回呼吸をするとくしゃみが出て、また鼻の穴が鼻水で詰まる。

 そんな状態が、10年も続いた頃、ようやく、花粉症と言う言葉が一般的になってきた。なるほどそんな病気かと納得したのであるが、それと同じようなアレルギー性の病気が、英国などでもあったことを小説で呼んだことを思い出した。

「hay ferver」(枯草熱)」と言う。調べて見ると牧草を乾燥させた時にかかるアレルギー症で牧草の中の植物の花粉によるものである。歴史的に言えば、英国にも中世には枯草熱などはなかったと言う。大航海時代以降海に進出した英国は、大型帆船を大量につくり、森の木を伐採してしまい、その後が牧草地となり、羊牧が盛んになって、牧草の中にアレルギーを起こす花粉を出すものがあるらしい。

 日本の「スギ花粉症」などというものは、それ以前には無かったのであろうか?

確かに日立の周辺の杉の木は、戦時中から戦後にかけて植林されており、ちょうど、昭和40年代前後から花粉を多く飛ばすほどに成長している。その後も、殆ど間伐もせず、ますます花粉を飛ばすようになったのかもしれない。

いまや、花粉症は国民病である。小生が苦しんでいた頃、色々と冷やかしていた連中も自分やら家族やらが花粉症になり、他人ごとでなくなっている。

 昔から杉はあるのになぜ、花粉症が増えたかについて、色々なことが言われているが、一番、もっともらしいのが、戦後、衛生状態が良くなり、寄生虫である「回虫」がいなくなったと言うものである。「回虫」がスギ花粉の抗体ができるのを妨げていたと言うのである。次が、エンジンの「排気ガスに含まれる何か?」によると言うものである。

煙草のみの中には、やめたくない理由として煙草をすうと花粉症にならないなどとも言っている。 花粉症の症状がいやなので、北海道や台湾に行く奴もいる。

しかし、小生の場合、年をとってきたら症状は軽くなった。

日本も、英国ももとはといえば、環境破壊が原因であろう。
 花粉が飛ぶ前に「東京マラソン」を計画した慎太郎も暖冬で花粉の飛散が早いのまで気が回らなかったか?