漢詩(その17)

 詩人は、心を打つ風景、情景など様々なものに触れて詩を作り、素晴しい詩はそれを読んだだけで、心を打たれます。

しかし、それについて何かと解説をしたくなるのが人の常。文章で色々と解説することも有りますが、詩の心を想像して書画を書くとことも広く行われてきました。

 芭蕉が「夏草や つわものどもの 夢のあと」と詠った裏には、高館から衣川を見て「国敗れて山河あり 城春にして草青みたり」と杜甫の「春望」の詩が心にあったのでが、杜甫の「春望」と芭蕉の句をそれぞれに画を追加したらどうなるでしょうか?

二人が見た風景は、全く違うものでしょう。杜甫が見た唐の時代の内乱の跡の景色を芭蕉の句につけてもマッチングしないでしょう。

 しかし、我々には、中国の情景を想像することは難しいので、書画が描かれていると言うことは、詩を理解する助けにもなるでしょう。

勿論、描かれている書画が、詩に匹敵すれば最高でしょう。

 江戸時代に発行された「唐詩選画本」などにはほとんどの詩に絵画が付けられ素人分かりがするようになっています。

水墨画では多くの画題が漢詩に求められています。この場合が、詩が書画の元となっているのです。

 色々な漢詩の中で、もっとも画題にされているのが、柳宗元の「江雪」ではないでしょうか。

 

                

                            「江雪」 劉旦宅・画 (詩与画・唐詩三百首)