「私の水中カメラ」

  大石さんの素晴しい写真はどうやって取っているのかとのご質問が沢山ありましたので、「私の水中カメラ」でカメラを紹介して頂きます。
 

 水中カメラは一般的には、陸上で使用しているカメラを水圧に耐えられる箱の中に入れ、外部から必要な操作が出来るようにしたものを使っています。

このような箱をハウジングと呼んでいます。
 ハウジングの材質はアルミ合金鋳物が主流ですが、削りやすい樹脂を使用したものもあります。又中が見えている方が安心だということから、透明なアクリル樹脂の板を張り合わせて作ったものもあります。
 
左が私のアルミ合金鋳物製のハウジング、右が中に入れている一眼レフカメラ(ニコンF90)です。レンズは、いろいろのものを使っていますが、今は魚の群れを撮るために超広角の焦点距離16ミリのフイッシュアイレンズを付けています。

         

ハウジングとカメラ本体                            ハウジングに組み込んだカメラと裏蓋

 ハウジングの耐圧水深は75mです。ハウジングの外側に、レバーやダイヤルが付いていますが、レバーはシャッター用、ダイヤルは撮影モードを選択したり、露出補正をする時に使用します。いずれも回転部の気密にはOリングが使用されています。

ハウジングの裏蓋を外した所の写真です。ハウジングカメラにピッタリ合せて作られています。カメラハウジングに入れると、自動的に内部の歯車等と噛合うように作られています。

 カメラを入れ、裏蓋をかぶせ、裏蓋に付いている2箇所の留め金をかけると裏蓋はしまります。気密はOリングです。
 
さて太陽光線は、海の中に入ると、水に吸収されます。赤、黄、緑の順序で吸収されやすく、青が一番吸収され難く、遠くまで届きます。2m位までなら、あまり変化はありませんが、3m位になると赤色はもう茶色に見えます。

 この為水中写真を撮る時には必ずフラッシュをたきます。この為水中専用のストロボをハウジングに取り付けています。私の場合は超広角のレンズを使っていますので、その照らす範囲が広く、2灯ストロボが必要です。

 

水中カメラ

ハウジングストロボを取り付けた私の水中カメラはなんと重さが7kgもあります。でも水中では軽く300g位です。万一の水没に備え保険に入っています。

 ダイビング器材を背負うと28kg位あります。内訳は器材10kg、ウエイト4kg、空気タンク14kgです。これに水中カメラを提げると、35kg位になります。

これでは海辺を歩いて、海に入るのはしんどいです。それで今はボートダイビングと 言い、ボートで潜る所まで連れて行ってもらって、潜っています。

35kgを背負った時は重いですが、海に入ると0kgです。始めはBC(チョッキのような浮き袋)に空気を入れているからです。最初は水面に浮いています。全員揃うと、ガイドの指示で、BCの空気を抜きます。そうするとじょじょに沈んで 行きます。なんとも言えないいい気持ちです。

 最近はコンパクトデジカメが普及したため、誰でも簡単に水中で写真が撮れるように なりました。今は水中専門雑誌「マリンフォト」も発行されています。

 これからも海の中のすばらしい世界をお見せしたいと思っていますので、ご支援のほどよろしくお願いします。

用語解説(常陸国住人)  Oリング
 外から圧力が加わる容器で外の圧力で液漏れなどがしないようにするシールの一つとして使われます。ゴムで出来た丸いリングを想像してください。
リングですから、長さがあっていれば、複雑な形状の溝にもはみ出すことなく入れることが出来ます。
溝を切ったボディ、平らな蓋、Oリングでシールが出来るのです。これは、圧力でOリングが蓋とボディの隙間側に押し付けられて、漏れを防ぐのです。
Oリングは上下の面でシールするのではなく上下の面が作る隙間にOリングが押し付けられてシールするのです。
このカメラのOリングの溝は相当複雑であることが2番目の写真から分かるでしょう、(ボディ側にOリングが入っています)
圧力が高くなれば、押し付けられる力も大きくなるのです。
 シャッターなどは普通のカメラのようにボタンをおすと言う訳には行きません。圧力高くなると押したのと同じ事になるからです。
従って回転軸を使い、Oリングでシールして回転力を中に伝え、歯車やてこでシャッターなどを動かします。絶対に漏れない方法としては、マグネットを内外において、力を伝えることもあります。