漢詩(その10)

 唐の都、長安、そこは8世紀中頃、玄宗皇帝の時代が最盛期で、人口百万を数えた

世界の中心であった。唐詩もまた全盛期で、李白、杜甫、など多くの詩人が、都の隆盛をたたえています。

 しかし、楊貴妃の色香に惑わされた玄宗が政事をおろそかにし、安禄山の乱で衰え、9世紀末、黄巣の乱が起こり、10世紀の初めに国は滅び、今日残るのは、大雁塔小雁塔のみとなったのです。

最初に、中国を訪れた1975年の1月、大雁塔に登り、朝もやのかかる目の下の一面の凍った大地が思い起こされます。

それからも、何回も、西安を訪れましたが、町の変貌は極めて大きく、大雁塔辺りも

昔の面影はありません。塔のみが1300年来の形を残すのみです。

   1975年                  1985年               1996年

都の隆盛を描いた幾つかの詩を見てみました。李白杜甫、その詩を紹介します。

李白は、情景を、杜甫は自分の気持ちを描き、「古希」の出典になっています。

 

(注釈) 

五陵――長安の北部、遊び人が多い所とか

金市――長安の西部、外国商人なども多く栄えた所

酒肆――キャバレー?

朝回――朝廷から帰る、すなわち勤めを終える。 典春衣―春着を質に入れる

  の政治は、まだ暗い早朝から始まり、昼前後に終ってしまうので昼間から

  風光を愛で、酒が飲めたと言う。

酒債――ツケ  尋――ヒロ:8尺、常――16尺  七十と対句となっている。

?蝶――蝶  蜻?――トンボ

最後の2行――風光を愛で、それと一緒に過ごし、しばしの間、それにそむかないように過ごそう(過ごしたい)