漢詩(その8)
日本人は、何でも「三大――」と言うのが好きです。
漢詩の世界でも、盛唐の三大詩人として、李白、杜甫、王維を上げている。確かに詩の数の内容も、この三人が優れている。
そして、万葉の歌人と言えば、柿本人麻呂、山部赤人、山上憶良 俳人は、芭蕉、蕪村、一茶などと三人組にする。
しかし、三人のどの詩が一番好きかといわれると、いささか困る。それぞれに、非常に幅広い題材について歌っている。
あえて言わせて貰うと、李白は鋭い感性で題材を処理し、杜甫は歴史などとの関連を考えながら題材を処理し、王維は仏教的背景の下で題材を処理すると勝手に解釈している。
それぞれの詩人の詩の中で、好きなものは沢山あるが、数首ずつあげさせてもらう。
【李白】
【杜甫】
【王維】
(言葉の注釈)
李白の第二句――長江の三峡辺りの五つの地名が入っています。君とは月のこと
第三句――擣衣――出征した夫を待つ妻が、杵で布を打つ(柔らかくする)
玉關――玉門関――西の最果ての関所です。
杜甫の第一句――家書――便り
第三句――潦倒――投げやりな気持ちーー医者に酒を止められた?
王維の第三句――元二――人名 安西――西の果て(今のトルファン付近)
渭城――長安の西のはずれ、此処まで皆が見送る慣わし
陽関――西の関所(甘粛省のはずれ辺り)
個々の詩の注釈はしません。先人が幾らでもやっています。
ただ、漢字の字面を眺めているだけでも雰囲気が分かるでしょう。