電鉄線跡地利用と団地内排水路工事(その2)

  当初計画と問題点

 

5月頃、団地の中で市の職員が測量をしていたので、聞いたら下水道工事の測量ですというので、下水管が駄目になったのか気にも留めなかったのですが、6月の市報で、団地内に用水路のバイパスを造る事になったと言う記事が出て、6月29日に説明会をやると言う通知が来ました。

 団地内の道路を、100mも掘り返し、1m角の暗渠を造り、団地横の用水路が大雨の時に水が溢れるのを防ぐと言う事らしいのです。電鉄線が無くなり、跡地を掘り返して暗渠を造るのが容易になったのです。

以前にも何回か水が溢れ、団地側から改修を申し込んでいたのですが、下水道工事と言うことだと国の補助金も1/2出るということで、条件が整ったのです。

しかし、例によって、お役所のやる事、「左様、心得ろ!」と言う説明だろうと思ったので、事前に質問事項をまとめ、それに回答するように申し込むべく、資料を纏めてみました。

 

 これには、幾つかの仮定とデータが必要です。

1.  降水量(仮定)           60mm/hr位の降雨量があり、その60%が流れ込む

2.  上流の降水面積(仮定)     ざっと見て100ha

                      概算水量10ton/sec

3.  用水路の流速(仮定)      谷川など2−3m/sec(ネットで調べた) 

増水時は、4m/secとする

4.  水路断面(大体)          U字溝部分              1.2m

                      上部ブロック部            2.52m

                       合計                 3.72m

     3.72×4=14.9ton/secとなり、道路の冠水は起こらないはず。

 

 (下水道局の計算でも面積117ha、降水量46.2mm/hr、55%で見て、11.2ton/hr)

流速4mで、道路までは溢れることは無い勘定となる

 

 この計算で分かるように、計算上は水が溢れて道路が冠水することなど起こらないはずですが、数年前に、冠水したこともあり、ブロックの所までは何回も溢れているとの事です。

結論として、ほぼ、L字型に曲がっている部分などの水路抵抗が大きく、市が考えている案では駄目だろうと、写真などとって資料を事前に提出しました。

 

A―D 個人の所有で草刈をしない

B 道路が沈んで亀裂が入る

C カーブ部分で、ブロックの矩面は個人の土地

D 公園の角で直角のカーブ

E 冠水部分

F 冠水部分

団地内水路と冠水状況

 案の定、説明当日は、計算の仮定が甘くこれでは駄目だということで、とりあえず、曲がって居る所の草を刈っておくなどの処置を依頼し、市もその部分は個人の土地なのでと言いながらも、草刈対策もきちんとしました。

        

水路横の道路のクラック                      個人所有の土地ののり面

        

水路の直角部分(向こう側は個人の土地)                同じ部分(市で草刈をした)

 

中学からの道路(水が溢れ白く砂が溜まっている)

 その後、当方の見解の回答が来たので、下水道課の課長なども入れ、当方も詳細写真などを持っていって打ち合わせを行いました。この水路以外にも、公園部分には、中学校から流れこむ水もあり、この排水溝が不十分で、道路の上に流れ出すという問題も有ります。

お役所の仕事ですから、すでに予算は取ってあります。しかも、下水道工事として暗渠の作業だと国の補助金の比率が高いということもあり、市の財政逼迫の折から、本年度中に工事を済ませたいとの意向です。

 L字部分は公園で、ここを削るのは都市整備課との打ち合わせがいるので、市の中で打ち合わせますということで、ここは終りました。

 少しでも良くなり、道路の冠水が無くなり、床下浸水などが無ければ、反対はしないと言っておいたのです。

しかし、7月25日、先に市が想定した以上の雨が降りました。公園の辺りは30cm以上も冠水です。

 しかも、更に下流の以前、工事をして国道の下のバイパス水路を作った所も、バイパスの効果なく、冠水してしまいました。

       

 Cの部分                           Eの部分(道路側)

         

Eの部分(水路側)                  Fの部分(新しい排水路機能せず)

市の関係者を呼んで、見てもらい、さてどうするということになったのです。市はコンサルなど頼んで検討を始めましたが、お互い頭が痛いことでした。

 

「水のエネルギー」

 ある深さに溜まった水が流れ出す(底からの場合)と水は次の二つのエネルギーを持ちます。一つは水面の高さh(m)で決まる位置エネルギー(mgh)でgは重力加速度で9.8m/sec

もう一つは流速v(m/sec)で決まる運動のエネルギー(1/2mv)です。

水はこの二つのエネルギーを持って流れているのですが、位置のエネルギーはあらゆる方向に働くのに対し、運動のエネルギーは、流れていく方向にしか働きません。

 水道の水が蛇口から出るのは、水の持つ圧力、すなわち位置のエネルギーで決まっているのです。

それをすごい速さで流れているから、横向きのバイパスを造ればそちらへもその勢いで流れるだろうと勘違いして作ったのが、国道のところのバイパス水路です。

これは、直角の水路ですから、水がある程度の深さになってこないと十分な水流にならないのです。

 さて、団地内の水路は、これから下水道課と一緒に検討して、冠水が起こらない程度まで水位を下げることが出来るかも知れません。しかし、こちらの流れを良くすると、下流側の国道横はますます、問題となるでしょう。

こちらの担当は、河川課ですがーーー

(実際には、水の持つエネルギーはもう一つあります。それは回転のエネルギーです。 鳴門の渦潮、津波など、別の形のエネルギーです)

 

「おまけ」

 男が立って小便をしても飛び散らないのはなぜ? それは、位置のエネルギーや運動のエネルギーの他に、もう一つのエネルギーを利用しているからです。

竿の中の流路は、鉄砲の銃身と同じように螺旋が少し付いているのだそうです。それで回転しながら飛ぶので、飛び散らない。女性はそうは行かない。

男も年を取ってくると銃身がやわになってやはり駄目!!!