平成20年度の記録品

 

 電力流通機器(変圧器、ガス開閉装置など)は、世界的な経済の発展で、中近東などへの輸出と国内の変電所機器が老朽化しつつあって、そのリプレースで、昨年度まで、大変、活況でした。海外の輸出受注は、今回の経済危機で大幅に減って来ていますが、国内のリプレース需要は、まだ続くでしょう。しかし、今後、厳しくなることは明白です。

昨年度の記録的な製品について、AEPのご好意で写真を入手したので、T友会の皆さん他に、お知らせします。

 

超高圧(275kV、230kV)の変圧器は、完全にリプレースの時期に入ってきました。超超高圧(500kV)初期のものはそろそろでしょう。しかし、これ以外の新設案件は、中近東などしばらくは大幅に減ることが予想されます。

T友会の後輩達のますますの努力、特にこの際、技術力を磨いて将来に備えることを皆さんと共に祈り、激励していきましょう。

 

1.500kV超大容量変圧器

    

  原子力発電所向け500kV超大容量変圧器とその輸送

 3月中旬、国道245号線を通行止めとし、夜、工場を出発して、一夜かかって、日立港まで送られました。途中の、信号機は旋回して邪魔にならないように、また歩道橋は上下して、製品が通せるようになっています。

 輸送重量も製品で500トン近く、トレーラー含みの全重量750トン近くにもなり、トレーラーの全長60mにもなります。

時速数kmでゆっくりと進んでいきます。

 

   昇降式歩道橋(右側の信号は旋回できる)

 

2.電圧位相調整変圧器

     

        超高圧電圧位相変換変圧器(左:国内向け、右:輸出向け)

 電力系統が複雑になり、色々な負荷が接続されてくると、電圧だけでなく、位相(電圧と電流のずれ)も調整する必要があります。この方式は、日立独自の特許に基づいています。

 

3.分解輸送変圧器

 

     超高圧分解輸送変圧器            

次世代型の変圧器です。

昭和50年代頃までは、内陸の変電所変圧器は輸送重量200トン位までを、組立て状態でJRの特殊貨車で輸送していました。

しかし、今日では、駅の引込み線も撤去されてしまい、このような輸送が不可能になりました。

今では、製品を工場試験後に、分解し現地で組み立てる分解輸送変圧器が主流となっています。日立では、大型クレーンを使わない独自の方式で500kV変圧器まで分解輸送で製作してきました。今後のリプレースなどで大きな威力を発揮するでしょう。

 

4.シリコーン油入り不燃変圧器

 

      66kVシリコーン油不燃変圧器

 これも次世代型変圧器です

 不燃変圧器には、22kV級など電圧が低く小型のものは、乾式やモールド式などがありますが、66kV級では、SF6ガスを採用したものが使われてきました。

しかし、SF6は地球温暖化への影響も大きく、新たにシリコーン油を使った変圧器を開発、実用化しています。

都市部の地下変電所などの66−77kV級変圧器の主流になっていくでしょう。