別冊宝石」(読書その1)

 「別冊宝石」と言う雑誌は、昔は、宝石社が出していた推理小説月刊誌「宝石」と並行して発行された推理小説の特集をしていたものです。

「宝石」は戦後、江戸川乱歩などが、日本の推理小説の興隆を祈念して、さまざまな事を行ってきた中で中心的な活動をしてきた雑誌です。

昭和21年に「宝石」創刊号が、昭和25年に「別冊宝石」創刊号が発行され、その後、昭和39年まで継続してきたのですが、その使命を終え、雑誌の名前まで光文社に身売りをしてしまいました。

 「週間宝石」は、その名前の名残ですが、全く、違ったものになってしまいました。

しかし、光文社の中に、「ミステリー文学資料館」なるものが作られ、推理小説に関する資料が残されているようです。

私が、中学生時代、丁度、「別冊宝石」が海外の推理小説の特集号を作家別に出していました。この価格は、当時でも150円と言う高価なもので、とても新刊は買うことが出来ませんでした。

 したがって、那珂川を越えた石塚町(今の城里町)の古本屋まで、自転車乗って買いに行ったものです。

本の縁に赤い塗料を吹き付けた本(新古本)を見つけて、早速、買い込んで、家に帰り、むさぼるように読んだものです。

レイモンド.チャンドラー,アガサ.クリスティーなどと言った作家の特集号などを見つけると、本当にうれしかったことを覚えています。

私より、十歳位上の年代で、推理小説が好きになった人達は、アメリカ兵が残していき、古本屋で売っていたパルプマガジンを買って、辞書を引きながら読んだという人が多いようです。

 その後、早川ミステリー文庫とか、創元推理小説文庫とかで、海外の推理小説が本格的に紹介されるようになりましたが、私の推理小説の原点は、「別冊宝石」です。

思えば、小学6年の時に、肺浸潤で入院して、やる事もないので、母に古本屋から本を借りてきてもらって、手当たり次第読んだことが、読書の原点です。

そして、戦前出版された「立川文庫」での時代物、「岩窟王」「十五少年漂流記」などの冒険物、「西遊記」「里見八犬伝」などの伝奇物、「冒険活劇文庫」に連載されていた小松崎茂「地球SOS」などのSF物など様々な分野に読書が広がっていきました。「血沸き、肉踊る」「意外性を感じる」「SENCE of WONDER」「想像力、空想力を刺激する」といった読み物が性に合っているようです。

 そして、これが、私の読書の原点です。

これからも、様々な読書の分野について書き綴って生きたいと思います。